チビたちのお祝い TERU

6年目の誕生会?

オフ友のTERU君からの『6周年お祝いイラスト』
試しに「何か描いてくんない」と言ったら、くれました♪ いやぁ、言ってみるもんだねぇ☆
でも、チビたちが来るとは予想外だった^^ 本トにラブリーな奴らだぜいっ!
つーわけで? ↓ に触発小噺をば★ 初『ケロロ軍曹』っス;;;


 とある秋の長閑《のどか》な日。
 すっかり涼しくなり、夏バテから復活したケロロ軍曹。この日も新たな侵略作戦考案中──かと思いきや、何やら、日向家地下の軍曹さんルームでゴソゴソと。何してるんでしょうね。また、ガンプラ作りですかね?
「軍曹。あれ、何してるの」
「おぉ、冬樹どの。アルバムの整理であります」
「アルバム? へぇ、見てもいいかな」
「どうぞであります」
 物珍しそうに覗き込む冬樹くん。知られざるケロン星人の実態を垣間見られるかもしれないという期待があるようです。
「随分とたくさん、あるね」
「見ていたら、色々と思い出して、懐かしいであります」
「ハハ、軍曹。これ、お父さんじゃない。怒られてるの?」
「ちっ、チガウであります! それは──」
 いやぁ、盛り上がってきたようです。

「冬樹〜。冬樹、いるの? って、何やってんのよ、あんたたち」
「あ、姉ちゃん」
「おー、これは夏美どの。何って、見ての通り、アルバムの整理であります」
「整理って……、どこが?」
 あ〜ぁ、夏美ちゃんが突っ込むのも無理はありません。軍曹さんルームの床一面に、ケロロ軍曹の秘蔵?写真が散らばっているのですから。
「もう、足の踏み場もないじゃない」
「いやぁ、思い出に浸っていたら、いつの間にか」
「あるよねぇ、こういうこと。ボクも本を片付けようとか思ってても、つい開いちゃって、片付けどころじゃなくなること、良くあるもの」
 片付けには忍耐が必要のようです。
「それにしても、これじゃあ」
 なるべく、写真を踏まないように注意している夏美ちゃんですが──、

『くぉら、ケロロ。なんばしとってか』

「きゃあっ! 何っ、何なの! 今の誰っ!?」
 突然、上がった『声』に実は怪談嫌いの夏美ちゃんはかなりビビっています。
 それを見た二人は笑いますが──学習能力、ありませんよね。
「やだな、姉ちゃん。それ写真だよ。軍曹のお父さんの声だよ。ホラ、前に来たこと覚えてるでしょう。音も入るんなんて、凄いよね」
「相変わらず、怖がりでありますなぁ。夏美どのは──ムグッ」
 一気に距離を詰めてきた夏美ちゃんの必殺パンチがケロロ軍曹にHIT☆しました。色んな『声』がかなり上がったようですけど;;;
「写ってるのがあんたでも、写真だから、踏まないように気を付けてたっていうのに、何よ、その言い草は。さっさと片付けなさいっっ」
「……ばび…」


★      ☆      ★      ☆      ★


「あ〜ぁ、結局、大して片付けられなかったであります」
「しかし、お前。わざわざガキの頃のもんまで持ってきていたのか」
「え〜★ だってぇ、大事な思い出じゃ〜ん♪」
「それにしても、本当に懐かしいでござるな」
 片付け中にやってきたケロロ小隊の面々も、手伝わされた模様です。ただ、子どもの頃からのお付き合い、のギロロ伍長とドロロ兵長もやっぱり、少しばかり遠い目をしていますね。
「ぶ〜っ。どーして、軍曹さんと僕が一緒に写ってるのがないですか〜TT」
 一人毒吐いてるのはタママ二等兵。仕方がないでしょう。ケロロ軍曹に尻尾があった頃はタママ二等兵はまだ生まれていないんですから。
「でもー、クルル先輩だって、たまに写ってるのあるのにぃ」
「クークックックックッ★ 何なら、CGで合成してやろうか。一枚につき、カレーライス一皿でどうだい? ホレ、こぉんな感じに」
「わぁ♪ 是非、お願いしますですぅ」
 でも、赤い顔を更に真赤にして、激怒したギロロ伍長が引ったくって、ビリビリに破いてしまいました。
「やめんか! 妙な過去を捏造するなっ」
「クークックックックッ★ 何だよ、先輩。つれないぜぇ」
「喧しいっ」
 どんな捏造写真だったんでしょうね。

「それにしても、今は憎ったらしいけど、チビの頃はあんたでも一応、可愛かったのね」
「な、夏美どの。その言い方はあんまりでは……」
 軽くショックを受けるケロロ軍曹はさておき、
「あ、姉ちゃん。ホラ、これ。伍長もいるよ」
「え〜、ギロロのチビの頃? どれどれ」
「い゛、うわ〜ッ、見るな〜〜!!」
「いいじゃないの、減るもんじゃなしに。わぁ! 本ト、可愛いじゃない」
「かっ、可愛い? カワイイ?? 夏美が俺を…、かわいい、と……」
 あらぁ、どっちの方向に衝撃を受けているのか、今一つ判りませんね。

「でも、何してるの、これ。誕生パーティとか?」
「えー? あー、これでありますか。これはドロロの……いや、ゼロロの誕生会でありますよ」
 知らないお友だちのために言っておくと、ゼロロってのはドロロ兵長が改名する前の名前なんですよ。
「へぇ、ドロロのね」
「え? 拙者でござるか」
「そうだったでありますな、ギロロ伍長」
 心当たりがないのか、意外そうな当のドロロ兵長ではなく、もう一人の証人に話を振るケロロ軍曹ですが、
〈夏美が……夏美が俺を、かわ、いい☆ と?〉
 只今、別次元と交信中の模様です。

「でもさ。これ、ドロロ写ってないよ」
「あー、そういうことが多かったんでありますよ。ゼロロは超オクテというか、恥ずかしがり屋さんで、いざ写真を撮ろうとすると、いっつも隠れてしまったのであります。だから、まともに写っているものはレアなのであります」
「えぇっ!? ケロロくん、そんな──僕は別に隠れてたわけじゃ……」
「い? そ、なの??」
 シラ〜★
「ヒッ、ヒドいよ、ケロロくん〜〜TT」
 あ〜、その頃からカゲ薄かったんですね。

「ただ、ゼロロの誕生会といっても、本当にその日だったわけではないのでありますが」
「どうして?」
「判らなかったのであります。誕生日が。ゼロロは教えてくれなかったでありますから──」
「……誰も、誰も聞かなかったじゃない〜」
「れ? そうだったっけ」
「シッ、シドいよ、ケロロく〜〜んTT」
 あちゃぁ、トラウマ・スイッチ幾つも入れちゃってー。後のこと知りませんよ。

「ま、まぁまぁ。それでも、誕生会はやったげたじゃん。こっちで勝手に決めちゃったけどぉ」
「勝手って、あんたね」
 夏美ちゃんも呆れ顔ですが、冬樹くんは笑って慰めてくれています。
「でも、二人とも楽しそうじゃない? 写ってないけど、ドロロも楽しかったんでしょう」
「グスグスTT それは……」
「音も入ってるかな」
 ポチッとな☆

『ゼーロロッ、誕生日、おっめでとう♪』

「あ、これ、軍曹さんの声ですぅ」
「あんまり変わってないわね、あんた」
「しっ、失敬な。我輩は十分、大人になっているであります」
 でも、確かに余り声変わりはしていないみたいですね。
「まだ、続きあるかな」
 ポチポチッとな★

『おめでとう、ゼロロ』

「い? 今の誰? 誰の声なの」
「何だか、ママの声に少し似ていたような気がするけど」
 それは裏事情というものです^^; 忘れましょうね、冬樹くん。
 さぁ、ケロロ軍曹! 衝撃的事実を御披露下さい☆
「今のはギロロ伍長でありますよ」

シン……

 まだ秋になったばかりだというのに、空気が凍りついたみたいです。
「えぇ〜〜っっ」
「ウッソォ、変わりすぎよ」
「よく、こんなに渋くなったねぇ」
「ボクは大人になっても、軍曹さんみたいに余り変わらない方が良いですぅ。尻尾が取れても、きっとラブリーなボクにはあんなオジサン声は絶対に似合わないですぅ」
「だっ! 誰がオジサン声だッッ」
 おっと、伍長ってば、いつの間にか現世に舞い戻っていたようです。
「俺で驚いていて、どーするっ! 兄ちゃんなんか、もっと凄かったんだぞっっ」
 おおっと、これはかなりの爆弾発言です。

「兄ちゃん? それって、ガルル中尉のこと? へぇ、伍長。本当は普段は兄ちゃんって、呼ぶんだ」
 いや、冬樹くん。今の突っ込みどころは、そこじゃないんじゃないかなぁ。
「見てみたいな。ね、伍長。写真持ってないの。ガルル中尉の子どもの頃の写真」
「もっ、持ってるわけがあるかっ。大体、こんなモンを任務地にまで後生大事に抱えてくるのはケロロくらいなもんだ」
「えー、残念。声変わりする前のガルル中尉の声、聞いてみたかったのにな」
「何気に酷くね? ギロロ……」
「落ち込むほどのことじゃないでしょうが。ホーラ、もう全部、片付けて。そろそろ、夕食の準備するわよ」
 夏美ちゃんの指令に、ケロロ小隊の面々は我に返ったように残りの写真を片付け始めました。何というか、すっかり手懐けられて…というよりか、餌付けられているんじゃありません?

 ともかく、こうして、高い高い秋の空の下、平和な侵略者たちの、ありふれた日常が過ぎていきます……。どうやら、本当に侵略が完了する日への道程は果てしなく険しいようです。

おしまい^^



 裏事情……チビギロと秋ママの中の人は同じ★ しかし、チビガルが登場するとしたら、一体、誰が当てるのだろうか? 想像できん。……大人な中尉の大塚明夫さんのまま??
 今回の地の文は『某ナレーターさん』を意識してみました^^
 何はともあれ、TERU君。お祝いイラスト、大サンクス☆

2007.10.06.

『オマケのオマケ』

 宇宙イモの成れの果てを、それでも、美味そうにホクホク食べている夏美を見ていると、胸がじんわりと温かくなってくる。視線を感じたか、夏美が振り向いた。
「なーに?」
「い、いや。何でもない」
「ギロロも食べなさいよ。美味しいわよ」
「あ、あぁ…」
 頬が熱くなるのは焚火のせいだ。そうに違いない。
 焚火をかき回し、焼き宇宙イモを取り出す。確かに、地球産とはまた違い、美味かった。
「ねぇ、ギロロ。本当はお兄さんと仲いいんじゃない?」
「なっ、何だ? いきなり」
 不意を突かれて、狼狽えてしまうとは、確かに俺もまだまだだな。
「だって、そんな感じしたもの。お兄さんと戦ったりするの、嫌じゃないの」
「任務だっ。戦士は個人的感情なぞ、戦いには持ち込まん」
「でも……」
「大体、そんな迷いなど持ったら、あいつは容赦なく、その隙を突いてくるに決まっている」
「そうやって、可愛い弟を鍛えているんだ?」
「かわっ!? ☆●×◎▲□」
「照れなくたって、いいじゃない。私にも冬樹がいるから、お兄さんの気持ち解るわよ」
 駄目だ。何も言い返せん。
 俺は黙って、焼き宇宙イモを頬張った。
 食うことに専念する俺に、夏美は明るく笑った。


 焚火の後始末をして、夏美も家に引き上げていった。
 テントに潜り込んだ俺はいつも身につけているベルトを外し、バックルの蓋を開いた。そこにはお守り代わりの夏美の写真が入れてあるが──その下にはもう一枚、別の写真が隠してあった。
 映っているのはまだ尻尾も取れないチビの頃の俺と──ガルル、いや、兄ちゃんだった。

『ギロロ、幼年学校入学おめでとう。まだまだ道を歩み始めたばかりとはいえ、今日からはお前の戦士の一人だということを忘れるな』

 あの頃から、兄ちゃんは俺の目標だった。今でも──そうなんだろう。今日、一緒に遊……いや、作戦に従事して、再確認した。
 だが、いつか必ず越えてみせるぞ。

『受けてやるぞ、ギロロ』

 そんな声が聞こえるような気がした。


 拍手より☆ 余りにタイムリーすぎた兄弟ネタ♪ 少年ガルルは沢梅陽子さんだった……。

2008.02.07.

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