珠玉の刻



「先生、どうですか? サーシャは」
 これ以上ない不安を浮かべ、診察中の自称名医・佐渡酒造に何度となく尋ねる古代守だが、名先生は答えてくれない。
 漸く診察を終えると、肩を揉みながら、守を見返した。
「まぁ、心配はいらんじゃろう」
 その第一声で守は安堵の息をつく。最愛のスターシャの忘れ形見、唯一人の娘サーシャにまで、何かあってはそれこそ、生きていけない。
 一息ついた佐渡は相変わらずの調子で酒瓶を取り、ついでに守にもお裾分けをしてやった。
 心を静めるにはコレに限る──佐渡の持論だ。
「しかし、ただのカゼってわけでもなさそうじゃ」
「どういうことですか」 
「うむ。こう度々、体調を崩すのはどうもな。イスカンダルでもそうだったのかね」
「……いえ、そんなことはありませんでした」
 わずかに返答が遅れるのに気付いたが、佐渡は敢えて、無視した。
「となると、やはり、イスカンダルと地球の微妙な違いが影響しとるのかもしれんのぉ」
「そうでしょうか?」
「赤ん坊は想像以上に脆い存在じゃよ。大人なら何でもないことも、赤ん坊や子どもには大きな負担となりうるもんじゃ」
「では、どうしたらいいんでしょうか」
「そうじゃな。まぁ、ある程度まではイスカンダルに環境を合わせた宇宙ステーションなどで育てるのが一番、無難かのぉ」
 宇宙ステーションや小惑星基地ならば、気候や大気成分だけでなく、重力数値の変換も可能だ。
「宇宙でですか。しかし、私は……」
 守が口籠もった。
「そうか、長官の申し出を受けたのじゃったな」
 そうなのだ。地球帰還後、休養を兼ね、サーシャとともに日々を過ごしてきた守だが、つい先日、藤堂長官より要請されていた参謀の任を引き受ける決心をしたのだ。
 ガミラスとイスカンダルを、そして、最愛のスターシャをこの宇宙から永遠に奪い去った正体不明の敵の存在を前に、無為のままではいられなかったのだ。
 その矢先、誰よりも大切な娘に異変が生じた。微熱とはいえ、発熱が多くなり、その都度、容態が重くなっていくのでは心配で目を離せない。

「困ったのぉ。君のことじゃ。一度、引き受けたものを直ぐには断れんじゃろうしなぁ。となると、誰かに養育を任せるという手もなくはないが……」
 守は佐渡の手当で今は落ち着いて、眠っているサーシャの額にそっと手を置いた。わずかだが、熱が下がっているように感じられる。
 この愛娘を他人の手に委ねるなぞ、とても考えられないことだ。どうしても、そうせねばならぬとしても、任せられる者などいるだろうか?
 現在、地球外に住む一般市民はまずいない。地球防衛軍関係者か宇宙天文台や宇宙ステーションの職員などに限られてくる。

 ──しかし、待てよ。防衛軍関係者……

「そうか。あいつがいた」
 近しい者でありすぎて、直ぐに思いつかなかった。
「あいつ? 誰かね」
「あいつですよ。真田! 真田ですよ」
「な、ぬぁにィ? 真田君じゃとぉ〜〜」
 佐渡の驚きが尋常でなかったのは無理もない。
 真田志郎。ヤマトの技師長で防衛軍一、地球有数の天才科学者である。ヤマトに於いては守の弟の古代進艦長代理の良きアドバイザーだ。技師としてだけでなく、戦術家としての才もあり、ヤマトの危機を幾度も救っている。守にとっては宇宙戦士訓練学校以来の大親友で、最も頼りになる人物である。
 頼りになるのは知っているが、佐渡は唸った。
「確かに真田君は近々、イカルス天文台への赴任が決まっとる。しかし、真田君とはねぇ。彼は独り者じゃろう。子育ての経験もないじゃろうし、幾らなんでも……」
「ですが、他に頼める人間など思いつきませんよ」
「──とはいえなぁ」
「もちろん、真田の意向は聞きますよ」
 言いつつも、守の中では既にそちらに傾いていたのだ。


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 佐渡と話した翌日には守は真田を捕まえた。
「これでも、結構、忙しい身なんだが──何の話なんだ?」
 カップを手に、真田は穏やかに笑いかけた。
 これでも、などとは控え目すぎる言い方だ。新任務が発令されるまでは、科学局局長を務める真田志郎の周辺はその引き継ぎで慌ただしい。
 白色彗星による危機の際、局長の任を放り出してしまったわけだが、それも現実の白色彗星の脅威とヤマトの活躍により、不問に付された──はずだったが、イスカンダルを巡る謎の敵出現以後、何故か、真田は科学局局長の座を退き、小惑星帯のイカルス天文台台長を任じられたのだ。
 傍から見ると、左遷以外の何物でもないが、その裏事情というものを古代守は知っている。
 ともかく、それは今は関係のないことだ。いや、この際は“渡りに船”というべきか。
「イカルスにはいつ、発つんだ」
「後、十日ほどだ……また、お前とはろくに話もできなかったな。全く仕方がないとはいえ、俺たちはすれ違いばかりだな。お前が地上勤務に落ち着くかと思えば、今度は俺の方が宇宙勤務とは──よくよく、だな」
「そうだな……」
 いつになく歯切れの悪い親友に、真田が少し眉を顰めた。
「どうしたんだ、古代? 俺に話があるんじゃなかったのか」
 一向に進展しそうにないのを自分から進めようと促した。
「あぁ、その……」
 気負ってきてはみたものの、いざとなると、やはり言い出しにくい。真田は今度は守が口を開くのを待ってくれた。
「実は頼みがあるんだ」
「頼み? 何かと思えば。どうした、改まって」
「サーシャのことなんだが」
「サーシャ、がどうかしたのか」
「最近、具合が悪くてな」
 これには真田も慌てた。サーシャは親友の娘であると同時に、地球の大恩人であるイスカンダルの最後の血を受け継いだ唯一の存在でもあるのだ。
「何だって? 酷いのか? お前、ついていてやらないと」
「昨夜から佐渡先生が看てくれているから、大丈夫だ。だが、先生が言うには成人するまでは地球にいる限りは良くはならんらしい」
「佐渡先生が……そうか」
 地球とイスカンダルとは遠く離れた兄弟星といっても構わぬほどに似通っていた。勿論、住人も殆ど同タイプの人類だ。でなければ、守とスターシャという異星人間に子どもは生まれなかっただろう。それでも、やはり、微妙な『兄弟』の違いの影響が病という症状《かたち》で表れているのだと、真田は推測した。

 だが、数瞬、遅れて、その言葉のもう一つ別の意味合いにも気付かざるを得ない……。
「! 古代、まさか、頼みって!?」
「真田、頼む、聞いてくれ。サーシャを預かってくれないか」
「な……」
 さすがに真田も十秒ほどは言葉も出ない。
「何を馬鹿なこと、言ってんだ。正気か、古代」
「勿論だ。よくよく考えてのことだ」
「よくよくって……そんな無茶言っといて」
「お前以外に頼める相手なんていないよ」
「そういうことじゃなくて……いや、それにしたって、俺には無理だ。赤ん坊の世話なんて」
 結婚もしていないし、当然、子どももいない。経験がないと断ろうとしたのだが……、
「でも、真夜ちゃんの面倒はずっと見てきたわけだろう。立派に経験あるじゃないか」
 こういう時、お互いに家族についてまで何でも知っている間柄というのは困りものだ。
 ちなみに真夜《まや》とは真田の七歳年下の妹である。

「それは違うぞ。俺が面倒を見始めた時、あいつはもう小学生だった。赤ん坊の世話とは分けが違う。第一、小惑星なんかに連れていったら、不自由するのは目に見えている」
 真田に一気に言われ、守が沈黙する。
 小惑星も宇宙ステーションも子どもを育てる環境ではない。何せ、最低限の設備しかないのだ。だから、家族のある者も宇宙にはいわゆる、単身赴任である。軍施設なら尚のこと。それでも、辛うじて、家族ごと受け入れられるのは最初の入植地であり、最大の月面基地ぐらいだったが、月も他の惑星基地も白色彗星の攻撃で惨憺たる状況である。
 余りにも悄然とする親友に真田も嘆息した。
「なぁ、古代。長官に申し出てみたらどうだ? 事情を話して、改めて辞退したいと」
「真田……」
「サーシャだって、父親と一緒にいるのが一番だ。それにお前は地球のために十分すぎるほど、働いた。それくらい、許されるさ」
 守は、だが、視線を落としたまま、語らない。
「古代?」
「真田、俺には……本当はサーシャをちゃんと育てていく自信がないんだ」
「──何を言い出すんだ、古代」
 思わぬ言葉に身を乗り出し、守に詰め寄る。
「サーシャにはお前しか、いないんだぞ。そのお前が俺に預けるなんて、娘を見捨てるって意味にもなりかねない。そんなことを将来、サーシャに言えるのか? 知られても構わないのかっ?」
 その叱責は重く心に圧し掛かった。父親の責任──それは解っているが……。
「おい、古代。何とか、言えよ」
 珍しく真田が焦れているようだ。こと家族に対しての無責任さは徹底的に嫌う真田である。解ってはいたが、守が口にしたのは別のことだった。
「……イスカンダル星人の成長速度が速いのは知っているだろう」
「それは──一年足らずで成人するんだったな。サーシャもか?」
「多分。スターシャが言っていた。サーシャはイスカンダルの血の方を色濃く受け継いでいるようだと……地球の血で抑制されて、多少は伸びるだろうが、それでも──」
 古代守は改めて、真田に頭を下げた。
「だから、一年だ。一年だけでいいんだ。真田、引き受けてくれないか」
「お前、まだ、そんなことを…!」
「お前だから頼むんだ。お前でなければ、こんなことは言わない」
 自分の命すらも大事な唯一人の弟も信頼する親友だからこそ、預けられる。預けてきた。

 だが、真田にしてみれば、その信頼もこんな言い訳にされるのでは不要なものだ。
「願い下げだな。一年だけだと? その一年が一番、肝心なんじゃないか。その一年を一緒にいてやれなくて、何が父親だ」
 真田は憤然と席を立った。
「お断りだ、古代。そんな頼みが受けられるか」
「真田!」
「それ以上、言うなら、お前とは絶交だ」
 低く怒声を言い放つと、背を向けて、歩き出す。そして、律儀に自分の分だけの支払いを済ませると、店を出ていってしまった。
 その間、真田は一度も守を振り向かなかった。


 店内には気まずい雰囲気が漂っていた。揃って顔は売れているので、あの古代守と真田志郎が何やら、深刻そうに話していた挙句、真田の方が激怒して、古代を置いていってしまった状況が何とも奇妙で……無論、話の内容までは分からない。絶交すると宣言するほどに怒りながら、叫んだりしなかったのは真田らしい。
 それでも、二人が喧嘩別れしたという噂は急速に広まり、二十四時間後には防衛軍日本支部員の殆ど全てに知れ渡っていたりする。
 だが、より大きな気まずさは守の裡にあった。
「……真田が怒るのも無理はないな」
 真田の言葉の正しさは解っている。解ってはいるが、どうしようもないのだ。
 昨日まではサーシャを他人に預けるなど、露ほどにも考えていなかった。だが、その必要性と真田という具体的な相手に思いついた瞬間から、今まで気付かなかった感情をも知ってしまった。
 ……そして、知った以上、それを振り払うことも忘れることもできなかった。


 日が落ちて久しく、夜空の星を打ち消すようにメガロポリスのイルミネーションが煌く。
 佐渡動物病院の看板にも一応、明りが点るが、時折、点滅を繰り返している。そして、その周辺には照明が少なかった。病院の所在地はメガロポリスの外周部で、再開発地域に程近い。メガロポリスにもまだまだ、そういう場所は残されている。
 そんな煤けた建物を窺う人影があった。防衛軍科学局員の制服──真田志郎である。
 こんな怪しげな場所を、もとい、佐渡動物病院をわざわざ、訪れるのは嘗てのヤマト乗組員くらいなものだ。しかし、真田は入るのを躊躇い、中の様子を探るかに玄関前をうろついていた……が、
「サナダサン、ナニヲシテイルノデスカ?」
 突然、声をかけられ、反射的に振り向くが、誰もいない。
「サナダサン、ココデスヨ。ココ」
「? アナライザー!」
 頭上に自称万能(?) ロボット・アナライザーの頭部だけが浮かんでいた。
〈そうだった。ここにはこいつがいたんだ〉
 隠れるだけ、無駄だった。
「サドセンセイガマッテマスヨ。ナカヘドーゾ」
 カチャリと玄関のロックが外れる音がしてから、アナライザーの頭はふわふわと飛んで、二階の窓へと姿を消した。
 肩を竦め、真田はきちんと玄関から入った。

「よう、真田君。久し振りじゃのぉ」
「お邪魔します、先生」
 挨拶を返しながらも、真田の目は病院内の様子や気配を探るように周囲に配られている。
 気づいた佐渡がニヤリとした。
「古代君なら、おらんよ。サーシャちゃんの熱も引いて、落ち着いてきたので、夕方、戻った」 
 本当はここで暫く預かっても良かったのだが、守がどうしても帰ると聞かなかった、と続けると、真田は安堵したような残念なような複雑な表情を浮かべたが、口にしたのは、
「別に私は古代に用があったわけでは……」
「まぁ、丁度いいところにきてくれた。酒の相手が欲しかったのでの。ささ、ぐっと一杯」
「え? はぁ……」
 真田に紙コップを押しつけ、手酌をする。
「おーい、アナライザー。ツマミが足りんぞ。どんどん、持ってきとくれ」
「ハイハイ。リョウカイシマシタ。デモ、センセイ。オサケノアイテナラ、ワタシモイルノニ」
「何をブツブツ言うとるんじゃ。早よ、せい」
 そうして、暫くはただ、酒を飲み交わすだけだった。
「センセイ、ワタシニモイッパイクダサイ」
「おーおー。さぁ、飲め。盛大に飲め」
 佐渡はアナライザーに一升瓶の残りを気前よく振りまいた。酒を浴びるとメーターが乱れ、ランプは明滅し、ヒックヒックとしゃくり出す始末。毎度のことだが、真田も呆れる。ロボットが酒に酔うはずがないのに、アナライザーなら、本当に気分良く酔っ払い、酒の味も分かるのでは、と思えるのだ。
「おーい、ミー君。ミー君、どこじゃ」
 これまた無類の酒好きの愛猫ミー君を呼んだが、出てこない。
「センセイ。ひっく、コノタテモノナイニ、ひっく、みークンハ、ひっく、イナイデスヨ。ひっく 」
「何じゃと。じゃ、お前、探してきてくれんか」
「ワタシガ、ひっく、デスカ?」
「見つけてきたら、一番、上等の酒をやる」
「ひっく…♪ サガシニイッテマイリマァ〜〜ス」
 アナライザーは飛び出していった。

「……あいつ」
 科学局随一の科学者は完全に脱力していた。
「楽しい奴じゃて」
 一升瓶を置くと、佐渡は真顔になった。
「その分では早速、古代君が話に行ったな」
 真田はまじまじと佐渡を見つめる。
「まさか、先生が唆したんじゃないでしょうね。あれ」
「まーさか。宇宙で育てた方が無難じゃと示唆はしたがの……幾ら君が何でもできるからといって、赤ん坊の世話まではそりゃ、無理じゃろうて。それにしても、よほど怒ったらしいの」
 守がサーシャを連れ帰ったのも、真田がここに来るかもしれないと思ってのことのようだ。
「当然でしょう。あろうことか、古代の奴、サーシャを育てる自信がないなんて、言ったんですよ」
「ほう……古代君がそんなことを」
「全く、私は古代を見損ないましたよ」
 酒が入って、多少は興奮しているのかもしれない。こんな真田は滅多に見られない。
「しかし、何でじゃろうかのぉ」
 新たな一升瓶の封を切りながら、疑問を投げかける。
「真田君は気づいとるんじゃろう? そう言わざるを得ない古代君の胸の裡を」
「……えぇ、多分」

 宇宙の彼方に輝いていた美しき蒼き星とともに消えた彼の星の最後の女王……スターシャの忘れ形見であるサーシャを大切に立派に育てなければ、と思う反面、亡き妻の面影を既に偲ばせる娘を見ているのが辛い──そんなところだろう。

「だからといって、父親の責任を放棄するなど、許されるものではないでしょう。サーシャには古代しか頼れる者はいないんですよ」
「それは正論じゃがな。ワシには古代君の気持ちが少しは解るような気がするよ」
「え?」
 佐渡は新しい酒を美味そうに飲んだ。
「絶対に失えない相手というものが人間にはおるものじゃ。それを失った時の心の傷ほど大きいものはない。傷を癒すにはそれなりの時間と方法が必要なんじゃよ」
「……古代の場合はサーシャと離れることだと?」
 納得できない様子で真田が問う。
「君が解らないのなら、君にはまだ、そういう相手が現れていないか、失っていないからじゃよ」
 失わぬに越したことはないが。

 失えない相手。失ってはならない存在……。
 ユキが死んだと思われた時の古代進の様子。
 テレザート星が爆発した後の島大介の言動。
 そして、今は古代守……。

 黙り込んだ真田のカップに手酌を重ねつつ、
「古代君が迷いながらも、君に頼んだのは取りも直さず、絶対的に信じとるからじゃ。相手が君でなければ、口が裂けても、そんな弱音を吐く奴じゃあるまい。君たちは親友じゃろう? その古代君の気持ち、真田君なら、察してやれるはずだと思うがの」
 そして、佐渡はぐっと酒を呷《あお》った。
 真田は何も言えなかった。



 あれから二日。慌ただしいのは変わらないのに異様に注目を浴びてしまっている。
 古代守と言い争った件が尾ヒレ、背ビレ、胸ビレ、腹ビレ……とにかく、妙に歪曲されて広まっているのだ。中には真相を聞いてくる者もいるし、長官からまで問い質されるしで、散々である。もっとも、長官は別にしても(それでも全ての事実は伝えていない)一々、応じる義務はないし、暇もない!
 八日後にはイカルスの人だし、放っといた。
 そんな中、科学局内を移動中、後ろから呼び止める知った声に振り向くと、二〇代半ばの女性技師が歩み寄ってきた。
「ま……柴本君。何か?」
「局長、目を通しておいて下さい。早目に」
 と、ファイルを押しつけられる。上目遣いに向けられる意味ありげな瞳の色に些か怯む。
「あ、あぁ。分かった」
「それでは失礼します」
 柴本技師は元来た方に歩き去っていった。
 その背中を見送り、真田はファイルを開く。表紙裏にメモが貼りつけてあった。
『今日、仕事が上がったら、官舎に行きます。こっちの方が早いだろうけど、待ってるから。逃げないで、ちゃんと、帰ってきなさいよ』
 真田は思いっきり溜息をついた。
「……あいつには誤魔化しは、効かんだろうなぁ」
 早々に仕事を片付けなければならないか……メモをポケットに突っ込むと歩き出した。


 結局、この日、真田が官舎に戻ったのは二二時を回っていた。これなら、早い方だろう。
 勝手に上がったお客は居間で本を読んでいた。
「──真夜」
「あぁ、お帰り、兄さん。偉い偉い。ちゃんと、帰ってきたわね」
 肩越しに顔を向けた柴本技師がにこやかに言った。
「あのなぁ、ここは俺の部屋だぞ。何で、遠慮せにゃぁならんのだ」
 真田は不機嫌そうに柴本真夜を睨んだ。
 そう、彼女こそが真田の妹・真夜嬢である。
 先に記しておくが、名字が違うのは既婚者であるため──ではない。柴本は彼女の本名だし、柴本家の養女になったわけでもない。だが、二十年余り、二人は紛れもなく兄妹であった。
「兄さん、食事は?」
「軽くな。だが、何か食いたいな。あるのか?」
「ちゃーんと、作ってあるわよ。着替えてきてよ。用意しとくから」
 頼むといって、真田は居間を離れる。
 ついでにシャワーを浴びて戻ってくると、食卓には完璧に夜食の用意がされていた。
 それも真田の好みのもので、疲れを取りやすく栄養価も高い料理が並んでいる。真田はつい口許を綻ばせた。口では、まるで母親のように何やかやと喧しい妹だが、こういう気遣いは十二分にしてくれるのだ。
 食事の間は真田も真夜も本当に話したい話題は持ち出さなかった。自分が作るより、よほど好みに近い味付けに、案外、料理上手になったものだと内心、感心したりもする。

 だが、食後の口直しの一杯を用意しながら、早速、真夜が本題に入る。
 無論、例の噂についてである。
「どういうことなの? 色々、言われてるけど、どれもこれも信憑性に欠けるったら」
「俺が聞いた限りでもな。全部、デタラメだ」
 人が黙っているのをいいことに、好き勝手に話を作ってくれている。よくまぁ、あれほど、バリエーション豊富に展開させられるものだと呆れるやら、感心するやら……。
「それじゃ、真相は? 守兄さんと喧嘩──というか、口論したってのだけは本当なんでしょ」
 真夜は兄の親友をも兄同様に慕っていた。守も妹のように真夜を可愛がってくれたものだ。
「……実はな」
 わずかに言い澱んだが、真夜には全てを話す心積もりで帰宅したのだ。順を追って、説明する。粗方、聞き終えた真夜は嘆息した。
「なるほど。サーシャちゃんが原因ってわけか」
 サーシャには真夜も何度か会っている。あの幼さで故郷の一方と母を失ったとは──幼いながらに、サーシャ自身も漠然と感じているところがあるらしく、痛ましい。
「守兄さんも辛いわね……」
「解ったようなことを言うじゃないか、真夜」
「兄さんは解らないの? 守兄さんの気持ち」
 咎めるような口調に視線のオマケ付。
 何か言い返そうとして、結局、押し黙った。

 ガスラミ星が消滅し、イスカンダル星が暴走した時、守は宇宙の塵と化すイスカンダルと運命をともにしようとした。スターシャがいるから、スターシャも残るなら、ともに……。再度の脱出のチャンスも見送り、それどころか、再び、イスカンダルを暴走させようと無茶までした。
 あの時…、傷付いたイスカンダルの上空で、風防越しに認めた古代守の表情は忘れられない。
 守が脱出したのはスターシャもともに来ると思ったからだ。だが、スターシャは守とサーシャだけをヤマトに送り、自らは──守は心ならずも生き残ってしまったことになるのだろうか。
「それでも、サーシャがいる限り、あいつは生きなければならないはずだ」
「それはその通りだけど、生き続けていくには生きるための力がいるのよ。でも、今の守兄さんにはその力が不足しているのだと思うわ」
 何だか、佐渡先生と似たようなことを言うな、と真田は七歳も違う妹を感心して見やった。
「私だって、柴本の両親が亡くなった時はそうだったんでしょ? 私は全然、覚えてないけど」
 真夜は三歳になるかならないかで、実の両親を飛行機事故で亡くした。祖母に預けられていたのだが、その祖母も息子夫婦の急死にショックを受け、頓死してしまったのだ。
 他に身寄りもなく、施設に預けられそうなところを柴本夫妻の旧友であった真田夫妻に引き取られたのだ。時に真田志郎は一〇歳だった。

「兄さんだって、澪姉さんの事故の時はそうだったんじゃない?」
「……痛いところ突くね。お前」
 七歳の時、月面での事故で亡くなった姉。しかも、真田は自分の両手両足をも失った。それを知った時のショック……。精神の疲労の方が激しく、義手義足を着けてのリハビリが始められるようになるまで、一年以上を要した。それも両親の甲斐甲斐しい看病があってのことだ。
 事故から、三年後に真夜が真田の家に迎えられた。
 怯えきった子ウサギのように震えていた、小さな小さな真夜──今でもはっきりと鮮やかに思い描ける情景だ。
『今日から、貴方の妹よ』
 突然、母から兄になるのだと告げられたのには驚いたが、真夜の存在は事故以来、内に籠りがちだった真田の心をも開いていったのだ。
 そして、それは真夜にもいえた。面倒を見てくれる優しい兄や新しい両親の前に、失った両親の記憶は次第に薄らいでいった。
 その真田夫妻も五年後に揃って亡くなった。因縁というか、これも事故死だった。
 以来、兄妹二人だけで生きてきたのだ。無論、二人を気にかけ、援助してくれた恩師などはいたが……。
 確かに真田と真夜は血は繋がってはいない。だが、二人は掛けがえのない兄妹なのだ。

 真夜は実の両親を今では殆ど思い起こせない。残された数葉の写真で、似ているなとは思っても実感が湧かない。ただ、自分をこの世に生み出してくれたことには感謝している。家族をなくし、異星からの攻撃に苦しみ──辛いことは多々あったが、それでも、生きていることに喜びを感じられる。だから、真夜は成人した時に柴本の名を継いだのだ。とはいえ、真田の名を忘れたわけでもない。
 そして、真夜は兄の性格を誰よりも、よぉく知り尽くしていた。
「それで、二日間、考えた結果は?」
「…………」
「観念しなさいよ。結局、兄さんに大親友を見捨てられるはずないものね」
「だからって、簡単に引き受けられるか。赤ん坊の世話なんだぞ」
「赤ん坊ったって、精々、数ヶ月でしょう? すぐに手がかからなくなるんじゃないの」
 何とも、あっけらかんと言ってくれる。それはまぁ、確かに事実の一端を示してはいるが──余りに楽観が過ぎるような気がしてならなかった。
 全く…、一瞬、蘇っていた過去の情景はやはり幻かもしれない。あのいたいけだった妹は一体全体、どこにいってしまったのだろうか???
「他人事だと思って……」
「あら、そんな薄情じゃないわよ。私もイカルスにさえ行ければ、手伝うわよ」
「手を回せってのか?」
「悪い話じゃないでしょう? 私だって、守兄さんのお役に立ちたいもの」
 真田はソファに身体を沈めて、天井を仰いだ。
 「絶交だ」などと宣言しつつも、気にはかかるし、引き取ることも考えないではない。だが、地球を遠く離れた小惑星帯で男手一つで子育てしようなど、とてもではないが、正気の沙汰ではないのだ。
 しかし、考えようによっては隔離された環境もサーシャには良いのかもしれない。何しろ、一年で成人するのだ。あれよあれよという間に……。昨日まで、同い年だった子が翌日には年下になっている。一年経てば、サーシャは大人になっても地球人の赤子はまだまだ、赤子のままだ。地球では奇異の目で見られるだろうし、友達も作りようがないだろう。
 それならば、いっそ……。

 真田は厳しい目で、妹を見据えた。
「真夜。お前、本当に手伝えるのか?」
 介助は一人は欲しい。イカルス赴任はあくまでも任務だ。つきっきりというわけにはいかない。だが、赤子の間はつきっきりでなければならない。目を離すわけにもいかないのだ。
「もっちろん。でも、人事の方は私にはどうにもできないんだからね」
 だから、手を回して貰わないと、というわけだ。
「後、八日か──いや、七日だな……」
「何言ってるの。引き継ぎやら、準備やらがあるんだから、一両日中には決めて貰わないと」
「そ、そうだな」
 だとしたら、急がないと──長官にはきちんと事情を説明し、力を借りるか……。
 その前に古代守ともう一度、話すべきなのを真田はすっかり忘れていた。
 一方、真夜嬢といえば、
「子育てかぁ。それも守兄さんの赤ちゃんだもんね。サーシャちゃん、可愛いし。ラッキー♪」
 少々、ミーハーが入っているかもしれないが、地球を滅亡の瀬戸際から救ってくれた亡きイスカンダル女王への恩返しの思いもあるのは十分に解っていたので、真田も苦笑しただけだった。


 イカルスへの出発当日、地球防衛軍軍用宇宙港。

 どの宇宙港よりも慌ただしい喧騒に席捲されている。
 イスカンダルを巡る戦闘から、ヤマトが戻り、一ヶ月半。新たな謎の敵の存在が明らかになったものの、その所在は依然、謎のままだ。
 白色彗星帝国との戦いで、大損害を被った防衛軍の各地域・宙域の組織・軍備の再編成も急ぎ、進められている。人的損害も同様で、貴重な生存者は正に“ひっぱりダコ”で、日々が忙しい。
 そんな中、真田志郎はこの日、第一線を離れ、イカルスへ向かうのだ。
 これにはヤマトの乗組員も首を捻りまくっているのだが、実は彼らばかりか、軍上層部すらにも極秘とされた計画が関わっているのだ──が、ここで明かすわけにはいかない。
 そんなわけで、多忙な元ヤマト乗組員は真田の見送りにこられる者が皆無であるという有様だった。暇なくせに「永の別れでもあるまいに」などと面倒がっている御仁もいるが……^^;

「……本当に済まない、真田」
「謝るくらいなら、今から考え直してくれても一向に構わないんだぞ」
「兄さん。今さら、意地が悪いわよ」
「いや、真夜ちゃん。真田が言うのももっともだよ。おまけに、君にまで迷惑かけて……」
「やだ! 私は迷惑だなんて、思ってないですよ。こぉんな兄貴なんかでもお役に立てるんなら、もうっ、遠慮なく使っていいんですから!」
「え? あ、ハ、ハハハハ……」
「いい加減にしろ」
 軽く小突かれ、真夜は悪戯っぽく舌を出した。まるで、堪えていない。真田は苦虫を噛み潰したような表情で睨むだけだ。防衛軍きっての天才科学者もこの妹相手では調子が狂うらしい。
 とはいえ、真夜も表情を改めると、
「けど、サーシャちゃんの面倒はちゃんと見ますから、本当に心配しないで、守兄さん」
 真夜は微笑み、傍らの揺り籠を窺った。
 そこに眠っているのは勿論、サーシャだ。
 当然ながら、イスカンダルを脱出した時に比べても、大分大きくなっている。もう、赤子とはいえないかもしれない。
「うん──よろしく頼むよ」
 そして、守は腰を屈め、母親に似た娘の淡い金髪を優しく撫でた。
「……サーシャ、元気でな」
 そんな様子に、娘を託されることになる兄妹は意味ありげに視線を交わした。
 スヤスヤと眠るサーシャの額にキスすると、守はもう一度、親友を見返す。
「真田」
「解っている。何度も言うなよ」
 真田も負い目を負わせるつもりはないのだ。笑みを浮かべ、守の肩を叩く。
「約束した以上、責任を持って、預かるよ」
 真田がそう言うのだ。責任の一言が彼の口から出たのなら、不安を抱く必要などない。
「そろそろ、時間だな。古代、お前も新任務の方、張りきりすぎて、根を詰めるなよ」
 新任の参謀は苦笑した。
「サーシャちゃんの様子はマメに連絡しますから、楽しみにしていて下さいね」
「ありがとう、真夜ちゃん」
 ……別れの時──確かに永の別れではなかろうが、やはり、様々な感情が胸の裡には渦巻く。

 古代守は宇宙へと続く船の軌跡をいつまでも、いつまでも追い続けていた──……。


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 ──時が経つのは早い……・
 イスカンダルの血を引く娘が幼児から少女へ、そして、華やかな美しさを纏った女性へと成長するのも早かった。

「何と、言った? 古代」
 亜空間通信にタイム・ラグなどあるはずもないが、地球とイカルスの距離を思わせるような長い沈黙を生むほどに、厳しい声音だった。
「澪はお前に会えるのを、それは×2っ、楽しみにしているんだぞ。ガタガタ言っとらんで、さっさと迎えにこい」
『だが……本当にそれでいいのか? 真田』
「良いも悪いもあるか。そういう約束だろう」
 妙な胸騒ぎを覚え、真田は微かに眉を顰めた。
『それはそうだが、お前は──』
 画面の中で視線を泳がせた古代守は躊躇った末に口を開いた。
『真田、気付いてるか? お前も前は俺に対してはあの子をサーシャと呼んでいた。だが、いつの間にか、澪って呼ぶようになっていた』
 意表を突かれたように真田の表情が動く。
 既に外見は一五、六歳の少女となり、成長も緩やかになってきたサーシャはイカルスの一員として、作業に加わるようになっていた。いつまでも、話し相手が真田と真夜の二人だけであるのは考え物と案じてのことだ。
 イスカンダル星人の成長速度については一般には知られてはいない。そのため、真田の姪という触れ込みなのだが、真田澪──それが真田の亡き姉の名であるのを勿論、守は知っている。
 そんな大切な名前を無理に頼み込んで、預けた娘に贈り、育ててくれた。どれほどの愛情を注いでくれたか、その一事だけからでも……。
 そして、真田も困惑を露にしていた。
「それは、習慣って奴で……」
『そうか? だが、それだけ、あの子を可愛がってくれているのも解るんだ。サーシャもお前たちを慕っている。サーシャからのビデオ・メールは大体、お前たちの話題ばかりだからな』
 メールの中で、サーシャは真田を「お父様」と呼ぶ。確かに、守にもそう呼びかけてくれるのだが、親密度の差を感じるのは勝手だろうか?(ちなみに真夜は「真夜姉様」だ。間違っても、「お母様」とか「叔母様」などとは呼ばせないように、かなり小さい頃から教育していた^^;)

 そう……慈しみ、愛しみ、育てたからこそ、生まれた新しい“家族”の絆は血の繋がりが全てではないと教えてくれる──そうなるだろうとは娘をこの親友に預けると決めた時から予想していた。なのに、嫉妬に似た感情を抱いてしまう。
 だが、それ以上に自分の勝手さから、その家族を消してしまうのに躊躇いもあったのだ。
『……もし、あの子がイカルスに留まってもいいと思っているのなら──』
「冗談じゃないぞ。いつまで、そうやって、あの子を振り回すつもりだ」
 珍しく苛立ち、尖った声に遮られる。
「そりゃ、俺だって、澪は──サーシャは可愛いさ。ここまで、父親の気分を味えるとは思っていなかったしな……だから、言わせて貰うぞ。お前はサーシャの父親だろう。これから、あの子が一人立ちするまでは傍にいてやれ。第一、そんなことを直接、尋ねて、確かめるつもりか? そんな選択を強いられるのか」
 一気に言ったのは確かに自分にも手放したくない思いがあるからだ。
 躊躇せずに選んでくれるなら、それも良かろうが、本当にそんなことをさせようものなら、恐らく澪は選択に苦しむだろう。実の親か、育ての親か。守か、真田と真夜かを。
「まぁ、まだ時間はある。よく考えろ」
 幾分、消沈した守の気のない挨拶を最後に、地球からの画像は消えた。
 ブラック・アウトした画面に、真田は溜息混じりに首を振った。

「全く、困った奴だ」
「でも、すこぉしは気持ちが動いたんじゃない?」
「……引き際は心得ているさ」
 微妙な間が伝える兄の心境の複雑さに笑うが、
「いっそ、私が澪ちゃんを貰っちゃおうかなぁ」
 爆弾発言に真田は目を剥いた。
「優柔不断な父親どもなんか、放っておいて、姉妹仲良く、手を携え、協力し合って、暮らすのよ。美しい光景じゃない」
「……誰が姉だよ。お・ば・さ・ま」
 もちろん、一悶着☆
「まっ、それは奥の手というか、それこそ、最後の選択だけどね」
 冗談めかした中にも、可愛い妹(!?)を気遣う気配が確かにある。最後の選択──まるっきり、冗談で言っているわけでもないのだ。
 しかし、守にも言ったように考える時間はまだ残されているはずだった。
 真田は幾らか疼く頭をさすりながら、そう自分を納得させた。

 それほど、遠くない未来に訪れる悲しい帰結を彼らが今、想像できるはずもなかった。
 ただ、サーシャと澪という二つの名で育った少女は決して不幸せではなかった。
 人々に愛され、過ごした短い時間は美しく輝いていた。

 ……それだけは確かなことである。

《了》

YUKIKO様よりの頂き物☆大感謝



 本作はサイト開設前に、『航海班画廊』のYUKIKO様の御厚意で、置かせてもらっていた唯一のヤマト小説です。ところが、先月で先方のサイト様が閉鎖(ブログのみ継続☆)となりまして、この機に自分トコでも上げようかという気になりました。
 ま、世間では第一作リメイクの『宇宙戦艦ヤマト2199』も進んでまして──限定公開も近場でやっているので、大画面で堪能してまいりました。っても、色々と変わっている設定もあるわけで、殊にキャラの変化にはやっぱり、どうだろう? と感じる部分が大きいのは昔のファンってことなんかねぇ。
 別に今の時代だからっていっても、古代が熱血でもいいじゃないの、とか。幾らなんでも、島君軽すぎるだろ、とか。合理的って、真田さんだって、食事を楽しむくらいはあるでしょうよ、とか? ま、突っ込みどころがあっても、それも楽しめてしまうのが『ヤマト』という作品なのかな、と思いつつ、続きを待っています。
 唯一の輝の『ヤマト作』については──やっぱり、オリ・キャラが出てきます。最初に超限定コピー誌を書いたのも随分、昔のことですが、どうしても気になるところを多少、修正した程度で、話の展開は全く変わっていません。キャラ設定も、それこそ、昔のまんま……変える必要を全く感じなかったんだよねぇ。
 本作はオリ設定話の序章のような位置づけだったんですが、結構、あっさりと纏めた記憶はあります。ただ、余りに時間が経ちすぎていて、どんな話を考えていたのかも、大分、曖昧になってます。だから、続きは無理かなぁ。オリ・キャラの真夜君を使った別の話なら、可能性がないでもないですけどね。

2012.07.17.


 『宇宙戦艦ヤマト』──やはり自分からチャンネルを合わせた最初のアニメでした。しかして、お気に入りが真田&古代・兄の親友コンビつーのが輝らしいといえば、この上なく、らしいかな?
 で、短編でもオリ・キャラがいるのも輝らしい。何となく、真田さんのあの面倒見のよさから弟妹がいるかな? と連想されたもので。ただ、お姉さんの事故もあるので、かなり年下で、しかも、養子という設定に変化していきました。本当はもっと長いネタの序章みたいなものですが、短編用にラストをあっさり仕上げ☆(も、気力が…)


 ただ、『永遠に』で真田さんが預かっているはずのサーシャを誰も全く気にしていないのが大疑問でした。成長の秘密も澪=サーシャとも知らないなら、“幼いサーシャがいるはず”と誰も考えないのは何故!? 特に古代叔父様……ユキのことで、他は吹っ飛んだか? こじ付けが割りと得意な輝もこれだけはどうにもカバーできませんでした。
 それはそうと『ヤマト3』の惑星ファントムで真田さんが見た幻が守とスターシャだったのには狂喜しました♪(小説版だと喋るし) でも、どうせなら、澪も一緒にいて欲しかった。

『1998年2月 あとがき・再編集』

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