往く道


「俺たちは戦隊だ。死ぬ時は一緒だし、そもそも誰も死なねぇ」

 そういうことを何度も言ってきた。でも、実際のところ、本心ではそういう覚悟だって、してたんだ。
 最後の戦いに臨む時、一人、また一人と仲間を足止めに置いてきた時も「死ぬなよ」と願っても、『二度と生きている仲間』には会えないんじゃないかと──それこそ、覚悟した。
 愈々、デーボスとの決戦に見えようという時にはアミィを氷結城の外に逃がしたのも……プレズオンが来てくれていたのも幸いだった。

 “地球のメロディ”を受け取り、仲間たちが生きているも判った。これで、アミィも大丈夫だと安心した。ただ、ウッチーの声だけがなかった。それだけが気がかりだったけど──デーボスに全力全開の一撃をかまし、崩壊していく城で、やっぱり俺は覚悟を決めた。
 突撃してきた獣電竜たちの気配を感じながら、皆の永い永い戦いも、やっと終わるんだと思った。これで、もう一度、トリンにも会えるかな、とも……。
 その瞬間、思い出したのはアミィの顔だった。それも最後に城外に押し出した際の驚き、そして、怒りながらも悲しそうな顔……。

「……ストロベリー・パフェ、一緒に食べる約束だったっけ」

 交わした約束も思い起こす。あの時は厳しい状況だったけど、まだアミィも笑っていた。
 このまま、本当に諦めてしまったら、きっと、もっとアミィは悲しむだろう。いや、アミィだけじゃない。他の仲間たちはもちろん、関わった人たちの中にも泣いてくれる人はいるはずだ。
 皆が明るく、笑って暮らせる世界を取り戻したかった。なのに、悲しませてしまうんじゃ、本末転倒ってモンじゃないか。
 ダメだ。諦めるわけにはいかない。どこまでも足掻いて足掻いて──傷だらけでも、格好悪くたって、何だって良い。
 絶対、帰る。


☆       ★       ☆       ★       ☆


 そんな俺の思いに、獣電竜たちが応えてくれた。ガブティラだけじゃない。仲間の“相棒”たちも揃って、俺を助けてくれた。一体となり、一丸となって──カミツキ合体した中に取り込まれていたのか? とイアンに尋かれたけど、正直なところ、どうなっていたのかは解らない。
 ただ、本当に全ての獣電竜が俺のために集まり、その“中”で守られていたような感覚だけは強く残っていた。そうして、地球に戻るまで、俺は多分、眠っていた。夢の中で、獣電竜《みんな》から、仲間たちの戦いぶりを教えられた。

 イアン、ノッさん、ソウジ、アミィ、ウッチー、
 ラミレスと優子さん、鉄砕と真也さん、ドクターと弥生、
 そして、トリンと親父……。

 当然だけど、皆が必死に全力で、それこそ、命懸けで戦っていた。
 特にウッチーは──あの瞬間のプテラゴードンの哀しみや、“相棒”に対する慈しみまでも全てが丸ごと、伝わってきた。
 もちろん、プテラゴードンだけじゃない。“相棒”を想う獣電竜《みんな》にも、やっぱり心はあって……切ないくらいに胸が詰まる思いだった。
 ガブティラも、獣電竜《みんな》も、こんなにも俺たち“強き竜の者”を愛してくれているんだってな!
 幾ら後継者が出来たからって、永い永い間、それこそ、スピリットになってまで、寄り添い続けてきた半身が旅立とうとしていくのを感じていたアンキドン、ブンパッキー、ブラギガスの痛みは計り知れなくて……。
 だから、俺だけじゃない。獣電竜も一緒にせめて、地球に連れ帰らなきゃって!! そりゃ、実際には俺の方が連れられていくんだろうけどさ。
 でも、俺が強く強く思えば、願えば、念じれば──きっと叶う。そう確信していたんだ、夢の中なのにな。信じていたんだ。必ず、また仲間たちに会えるってさ!



 それは俺だけの思いじゃなくて──……。

 俺が今、地球《ここ》にいるのは、間違いなく、奇蹟ってモンなんだろう。
 俺の願い、獣電竜たちの願い、仲間たちの願い、旅立った友達の願い、親父の願い……。
 そして、“地球”の願い──飛び切りブレイブな、奇蹟だ。
 そんな奇跡を起こしてくれた何もかも全てに、大感謝だ!

 そうして、俺たちはこれからも、“竜の道”を往くんだからな!!



 書いたのは最終回から2Wの頃でした。まだまだ腑抜けた調子で、こちらで考えるのは『キョウリュウ』のことばかりと、相当に重症でした。(なので、『トッキュウ』へのシフトが相当、遅れた^^;) それでも、何とかラスト・バトルに絡めた話も──『ブレイブ・フィニッシュ』を聴きながら、書いたんだったっけ☆
 最初は当然? ウッチーのことに絡めた話をと思っていました。突撃していったダイゴは直接にはウッチーのことを知らないはずだけど、その辺は想像しつつ、ウッチーと会った時にどう出るかとか。でも、どう頑張っても、その後が書けない。今はまだ無理なのか、永遠に無理なのかは謎……と思ってたら、一年経っても、無理だった;;;
 だもんで、主役なダイゴ君と獣電竜たちの話という感じに仕上がりました。
 でも、あのラストだと、一番、切なかったのって、本当のスピリット・トリオ(弥生じゃなくて、トリン込みね)なのかな、とか思ってしまいますね。
 で、ラストを迎えての感想も未だに上手く纏められず、ただひたすら、書くだけだったなぁ。

2015.03.19.
(Pixiv投稿:2014.02.23.)

伝説小部屋 小説