『ガンダム???』 お礼SS No.1
「婚約のお祝い?」 「あぁ。あいつもやーっと、年貢を納めたようだからさ。相棒としては一応、祝ってやらないとな」 スノーの言いようには苦笑するしかない。喜んでいるくせに、素直じゃないな。 「で、何を贈るつもりなんだ」 「あぁ! これこれ。チョイ前に見付けてさぁ。結構、良いだろ?」 携えていた箱の蓋を開けた途端、妙な気配が湧き上がってきた。何だ、この箱は封印代わりか? 何も気付かないスノーが取り出したのはティーカップのセットだった。確かに中々、小洒落たデザインの綺麗な品だった。見かけは、だが。 俺は黙り込んでしまった。相変わらず、鈍いというか……とにかく、こんなモノを贈り物にさせるわけにはいかない。 「どーしたよ、レオン」 「いや…。それは止めた方がいいな」 「えー、何で?」 「何でも何もないよ。とにかく、それは自分で使ってあげろよ」 だから、このカップたちもスノーの下に来たんだろう。 「まぁ、贈り物の方は、ちゃんと新品を買って、贈れよ。相棒の婚約祝いなんだろう」 スノーは一寸だけ不満そうだったが、結局、それは自分で使うことにしたらしい。 後で、さり気なく確め、ホッとしたものだった。
『ガンダム外伝・コロ落ち』 お礼SS No.56
「おかしいわね。地図では確かに、この辺なんだけど」 「間違ってるんじゃないのか。この地図」 「うーん。十日前の情報なんだけど……」 「その十日の間に、湖が消えちまったってことだろう。干上がっちまったのかねぇ。あ〜ぁ、水浴びでもしたかったのになぁ」 「なぁに、馬鹿言ってんのよ。暑さで頭も沸いたの」 「あ゛〜、そぉかもぉ☆」 前衛コンビの軽口はいつものことだが、予定していた給水が行えないのは問題だ。 「参ったな」 無論、今現在、水がスッカラカンということはないが、今後の給水予定を考えると、ここで補給できないのは正直、痛い。とはいえ、仮にも作戦行動中でもあるので、水だけを求めて、予定外の行動を取るわけにもいかない。 ただ、この先の予定ポイントでも水場が消えている可能性もなくはない──水に余裕のある内に、少し時間を取られても探しておくべきかもしれなかった。 「……どうするかな」 「隊長」 思案に暮れているところへの、呼びかけに我に返る。 「何だ、レオン」 「あの…、二時の方向は緑が多いようです。もしかしたら、水場もあるのかも……」 少々、自信なさげではあったが、カメラを向けてみると、確かに緑がチラホラ見える。 「アニタ。どうだ?」 「そうですね。ここからでは確認はできませんが、もしかしたら──」 「大した距離じゃないし、行ってみましょうよ、隊長。少し寄り道するくらいの余裕はありますよ」 マイクの提案に、一度だけ時間を確かめ、レイヤーは隊に移動を命じた。 結果として、水場はあり、『ホワイト・ディンゴ』隊は水を補給することができた。 「お手柄だったな。レオン」 「いえ……」 短く答えたレオンは水場を見遣り、目を細めた。キラキラと陽光を弾く煌きの中、フワフワと光の珠が漂っている。その存在を捉えているのはレオンだけだったが……。 「……まだ、こんな処にいるとは、思わなかったな」 光の珠の正体は、いうなれば“水の精霊”とでもいうべきモノだった。無論のこと、誰にでも見えるものではなく、また、見えたからといって、その意思まで理解できる者は更に少ない。 レオンは、その数少ない者であり、こちらに水場があると、彼らが教えてくれたのだ。 「有難う。……大地を、こんな状態にしてしまったのに」 荒れ果てた大地。砂漠化の進む大陸。それでも、彼らも踏ん張るのように、生きている。そして、荒らしてしまった人間であるのに、水場まで導いてくれた。 せめて、必要な分だけ、汚さないように使わせて貰おう。 心の中で、感謝の念を贈ると、光は纏わりつくように漂い、遠ざかっていった。
『ガンダム〜COLLECTION?』 お礼SS No.103
ある日の昼下がり、 「そういや、ノア。知ってるか? 今、女性将兵《ウェーヴ》の間で、一寸したブームになってんだけど──」 昼食を平らげ、最後のコーヒーを飲んでいる時、スノーがシャトル仲間に披露したのはマスコットのようなものだった。 「何だ、これ……。ガンダム、か?」 「おー、一応、お前の目にもそう見えるんなら、大したもんだなぁ。何と、手作りだぞ、これ」 伝説と化したモビル・スーツらしきマスコットは仲間たちの手から手へと渡っていく。 「フェルト生地か? 手作りっても、売ってるのか、こんなの」 「まさか。趣味の手作りだよ。他にもバリエーションが幾つか、あるぜ。ホレ」 「赤いのやら、青っぽいのやら?」 他のスタッフには馴染みがないが、ブライトには直ぐに判った。 「ガンキャノンに、ガンタンクか」 「さすが、ホワイト・ベース艦長殿。じゃ、これは?」 プランとぶら下がる白いものは勿論、 「ホワイト・ベース……。よくもまぁ^^;;;」 ブライトは殆ど感心していた。 「そんなに似てるのか」 「かなりデフォルメされてるけど、特徴はよく出てるな。作り方とかも出回ってるのか」 「誰が始めてのかは分からんけどな。因みに、こいつはジャニスに作ってもらったんだ。巧いだろう」 さり気ない愛妻自慢は置いとくとして──WBとその搭載MSが機密扱いなのは今も変わらないが、実際に目撃した将兵はジャブロー以後、少なくはない。記憶を頼りに作ったものがいるのだろう。 更には、こんなオマケまでが☆ 「フッフッフッ。極め付きがまだあるぞ」 「何だよ、勿体つけるなぁ」 「フッ。これだー!」 仲間たちの前で、プランプランと揺れているのは──! 「──!?」 ゲホッとブライトはコーヒーを噴き出しかけた。何とか堪えて、飲み干したら、今度は気管に入ったらしく、噎せ返ってしまう。 ギャハハハとスノー以下、シャトル・スタッフたちは大爆笑☆ 「それ、ノアか? 似てる似てる」 「可愛いじゃないか。何、クルーの作り方もあるわけか」 「アハハハハ^^ 俺も彼女に作ってもらおっかなー」 「いいな、それ。いっそのこと、シャトル・スタッフの証として、皆で持つか」 そして、また爆笑の渦が。一人、ブライトだけが顔を真っ赤にして、震えていた。一寸だけ、涙目になりながら。 その上、追い討ちの如く、 「こ〜ゆ〜のもあったりして♪」 ブライト・マスコットに添えられた、もう一つのマスコットに一同が噴き出す。 「ギャハハハ! それっ、ヤシマ大尉だろ」 「受けるっ。受けすぎ」 「ノア〜、やっぱり、お似合いじゃないか」 「ホレ、ノア。こいつもジャニスのお手製だぞ。お二人さんの恋の成就を願って、特に丁寧に作ったんだぞ。さ、進呈しよう」 「いるかっ!!」 「ん〜? ジャニスの心遣いを無にする気か」 「お前の遊び心の間違いだろーが!!」 一頻りやり合い、スノーが軽くヘソを曲げた。 「フンッ。それなら、これはミライさんにやるよ。で、お前が嫌がったこと、ブチまけてやる」 「スノーッ、テメッ」 普段は職務に関しては強い責任感を持つスタッフたちも、今は普通の若者たちに過ぎなかった。
『ガンダム拍手』纏めです。 『オリジン』完結記念? もしくは『オリジンΖ』開始記念??(いきなり、ブライトがヤバいことになってましたけど)嘘だろ;;; 突っ込まれそうなぐらいに、ガンダム拍手少ないなぁ。いつの間にか、100本越えてるのに、外伝含めて、三本だけかいっ! いや、短編て、やっぱし難しいッスね。(←言い訳) 大体、ネタにしても、日本はガンダムつーよりかファンタジー・ネタ? 拍手一本目は入江さんとりんださんからのゲスト様作品に応じて、書いたような^^ 外伝物もすっかり、レオンが視える人扱いでした。三本目はPepsiキャンペーンのBE@RBRICK記念でした。凄い久々に書いたガンダム・ネタがこれかいって感じですね。
2011.07.31. |