トドメ


 その日、教皇宮から出された触れは聖域中を沸かせた。聖闘士のみならず、神官から雑兵に至るまでが寄ると触ると噂し合った。

『全黄金聖闘士の召集』

 それも通常ならば、黄金聖闘士が呼ばれるのは教皇宮の『教皇の間』のはずだが、この日はコロッセオにて執り行われるとされた。無論、望む者は誰もがコロッセオの観覧席に入ることが許される、と……。これは士気を高めるためと思われた。
 昨今、何とも信じ難いことに、女神《アテナ》を称する娘が東洋の島国に現れた。女神はアテナ神殿に御座すのだから、当然、それは騙り者であろうが、問題はその偽女神に正真正銘の聖闘士たちが従っていることだった。
 聖闘士は神話の時代より受け継がれし聖衣を得た者たち──その宿星の持ち主でなければ、纏うことも許されず、偽者などはありえない。
 ならば、その聖闘士たちは聖域への叛逆者ということに他ならず、討伐隊も差し向けられた。
 だが、驚くべきことに、その五人の青銅聖闘士たちは本来ならば、遥か上位者たる刺客・白銀聖闘士を退けてしまったのだ。
 正しく由々しき事態に業を煮やした教皇は全黄金聖闘士の集結を命じたわけだ。
 隔絶した小宇宙と戦闘力を誇る、黄道十二星座をその身に宿した最強の聖闘士たち……。
 その内の何人か──例えば、蠍座のミロや牡牛座のアルデバランなどは聖域に常駐し、頻繁に姿を見せるが、そうでない者もいる。任務で外を飛び回っているらしく、存在を囁かれるだけの者もいるのだ。
 それが一堂に会する瞬間に立ち会えるのだから、興奮を通り越して、狂喜乱舞するのも当然だった。聖域で最大のコロッセオに集う人の群れ……。聖域に在る殆ど全ての人々ではないかと思われる。

「聞け、者ども」
 コロッセオ中に響き渡る通る声に、沸き立っていた人々が静まり返る。声の主は聖域を統べる教皇その人だった。さすがに一声のみで、従わせる力を有している。
「皆、既に知っていよう。畏れ多くもアテナを騙る小娘が小賢しくも我が聖域《サンクチュアリ》に挑戦してきていることを。そして、愚かにも青銅聖闘士の小童どもが数人、その偽アテナを奉じおった」
 一同は騒然となる。確かに漠然とした噂は流れていた。紛れもない聖域への青銅聖闘士たちの叛逆。討伐のために向かった白銀聖闘士が信じ難いことに返り討ちにあい、幾人かは傷付いて帰ってきたとも聞く。
「無論、赦せることではない。しかも、騙り者どもはこの聖域に攻め入ろうと画策しておる」
 教皇が一旦、言葉を切ると、騒き《ざわめき》がコロッセオを支配する。
「故に私はこれ以上にない、万全の備えで迎えることとした。黄金聖闘士の召集である!」
 熱狂の渦に全てが放り込まれた。興奮し、拳を振り上げ、猛き歓声に沸き立つ。
 最強の聖闘士たちが今こそ、この地に集う。たかが青銅聖闘士を迎え撃つために──万全も万全、度を越した備えである。
 だが、興奮の坩堝にある者たちには意味のないことだ。今はただ、輝ける闘士たちの姿をその目に焼き付けようと、教皇の次の言葉を待つ。
「さぁ、ここに集え! 黄金聖闘士たちよ」
 光が…、眩さなどいうには生温い、正しく目を焼くほどの光芒が出現した。爆発する光は八つの輝きに収斂し、人型をなした。
 陽光を弾き、美しく煌く黄金の鎧──黄金聖衣を纏う八人の黄金聖闘士だ。教皇の両脇に四人ずつ立っていた。正に綺羅星の如き、輝ける黄金の闘士たち……。

 コロッセオが、揺れた。既に意味のない喚声が怒涛の如く轟く。
「蠍座《スコーピオン》のミロ様! 牡牛座《タウラス》のアルデバラン様!」
「デスマスク様だっ。蟹座《キャンサー》の──このところは、余りお見かけしなかったが」
「あれは、もしや、魚座《ピスケス》のアフロディーテ様? 何と、お美しい」
「もう何年もお姿を拝見していなかったが……更に麗しくおなりで」
「シュラ様だ。あの逆賊を討ち果たした我らが英雄、山羊座《カプリコーン》様!!」
「何と雄大な、廉潔なる小宇宙だ。正しく神の如き……」
「乙女座《バルゴ》のシャカ様に違いない。さすがは最も神に近き男」
「氷の魔術師とはあの御方か。水瓶座《アクエリアス》のカミュ様。炎のような髪をなさっているが……」
 見知った黄金聖闘士の名を口々に叫び、知らぬとしても噂から、その“銘”は明らかとなる。
 だが、ここに集いしは八人の黄金聖闘士。他の四人──射手座《サジタリアス》は亡く、双子座《ジェミニ》は行方不明──以来、十三年、新たな宿星の持ち主は現れていない。射手座に至っては黄金聖衣までが行方知れずだ。
 牡羊座《アリエス》と天秤座《ライブラ》はこの場に現れなかったが、それこそ、存在そのものを熱狂する者たちは知らされていない。
 いや、誰もそんなことに留意してはいなかっただろう。


☆        ★        ☆        ★        ☆


 熱狂が、次第に困惑へと変じていく。
 その場に在る残る一人の黄金聖闘士……。
 胸を張り、その小宇宙を示威するが如く居並ぶ黄金聖闘士の中で、僅かに俯き、静かに立つ獅子座《レオ》の黄金聖闘士……。
 獅子座の黄金聖闘士の存在は、誰もが知っていた。時折、獅子宮から守護結界強化の小宇宙が上がるからだ。だが、その“銘”を持つ者の名は一部の例外を除き、誰も知らない。
 触れも出されぬ、その理由《わけ》をこの日、誰もが知ることとなる。
「……おい、あれは」
「あぁ。だが、まさか──」
「獅子座の黄金聖闘士? ……あいつが?」
 熱狂の喚声が困惑の騒きに変わる。
 黄金聖闘士たちも夫々の思いで、横目で獅子座の黄金聖闘士を見遣る。だが、反応はない。ただ、その場に在るだけ……。
 信じ難い──そんな雰囲気がコロッセオを支配し始める。
 まさか、そんな! あり得ない。信じられん。いや、認められない!! なぜなら──……!

「──アイオリアさんっっ!!」

 遂に、その名が叫ばれた。発したのはアイオリアを慕い、その教えを請いたがっていた聖闘士候補生の少年だった。数は少なくとも、そんな者も確かにいた。
 だが、その瞬間、人々は困惑より恐慌の渦に叩き込まれた。
「う…っ、嘘だろうっ! あのアイオリアがっ」
「黄金聖闘士!? 獅子座の黄金聖闘士だとっ。本当なのかっっ」
「馬鹿なっ! 逆賊の弟が……」
「し、信じられん。兄弟揃って、黄金聖闘士だったのか」
「何を言っているんだ。その兄は、あの逆賊だぞ!」
「そうだっ。あのアテナへの叛逆者ではないか」
 口々に言い立てるのは己を護るため。如何に彼らが、これまで“逆賊の弟”を打擲《ちょうちゃく》してきたかが解るというものだ。
 だが、その“逆賊の弟”が実は黄金聖闘士であり、黄金聖衣を纏い、教皇の下に従う姿を見せ付けられれば、今までのようなわけにはいかない、と誰もが察するよりない。
「──静まれ!」
 教皇の一括に、嘘のように静まり返るコロッセオだが、水を打ったような静けさに誰もが息が詰まるような思いを味わう。
「ここに揃いし八人の黄金聖闘士たち……。彼らが守護る限り、我が聖域は安泰」
 たった今し方の混乱を全く無視した言葉に、人々は更に声を失った。

「だが……皆も見たいであろう。黄金聖闘士の、その実力を」
 座した教皇が手を振ると、五人の男が引き出されてきた。よく見ると、一応は聖衣らしきものを身につけているが、何れも破損が酷い。
「白銀聖闘士……」
 傷付いた白銀聖闘士たち──恐らくは日本の青銅聖闘士抹殺の任を負いながら、果たせずに戻ってきた者たちだ。当然、砕かれたのは聖衣だけでなく、その身にも深いダメージを負っている。だが、手当を受けた様子なく、立っているのも、やっとの有様だ。
「さて、青銅風情に敗北し、おめおめと生きて戻ってきた白銀聖闘士よ。本来ならば、万死に値するが……、今一度、チャンスを与えよう」
 怯えに彩られていた白銀聖闘士の顔に僅かに生気が戻るが、
「黄金聖闘士一人と戦え」
 それは死刑宣告に等しいのではないだろうか。
「無論、倒せなどとは言わん。そう、一撃……いや、体に触れられれば良い」
 それが希望の持てる条件か否か、判断のしようもなかった。白銀聖闘士とも隔絶した実力者たる黄金聖闘士を相手としても、『体に触れる』くらいは簡単ではないのか? 息を呑み、見守る観客たちの殆どがそう考えた。
 それが甘い考えであることを知っているのは聖衣を持つ者たち──つまりは青銅、白銀の聖闘士たちだ。己が力を知る聖闘士《かれら》であるほどに、黄金聖闘士の実力のほどを、その差を弁えているのだから!
 だが、引き出された白銀聖闘士たちには、それしか生き延びる術は、途はなかった。
「さて…、誰が請け負う?」
 教皇は仮面の下に笑いを滲ませ、黄金聖闘士たちを見渡した。

「あーぁ、下らねぇ。どうせ、俺かシュラなんだろーなぁ」
 小さく呟いたのはデスマスクだった。間にシャカを置いて、立っているシュラが軽く嘆息した。アフロディーテも肩を揺らせる。
「仕方がないね。適当に遊んでやったら?」
「そんなのを、あの教皇様がお望みかね?」
 シャカは幾歳か年長の聖闘士たちの会話を黙って、聞いていたが、閉ざされた瞳の奥で、意識は反対側に並ぶアイオリアに向けられていた。
 何しろ、シャカとアイオリアとは数日前に、教皇の御前で『千日戦争』を演じたのだ。そして、正しく名の通りに『千日戦っても勝負がつかない』と思われた対決は思わぬ次第により、唐突に終わったのだが……。
〈……まさか、教皇は〉
 黄金の獅子を手の内に収めたと、我ら黄金聖闘士にも知らしめるために、このような茶番を? シャカの疑問は直ぐに晴らされることとなる。

「獅子座《レオ》のアイオリア! 前へ」
 教皇が、宣言した。即座に獅子座の黄金聖闘士は前に出てくる。その動きには澱みも躊躇いもない。
「……おいおい。一番、似合わない奴じゃないか」
「アイオリア……」
 デスマスクさえもが顔を引きつらせた。
 アイオリアの隣にいたミロが思わず、追いかけかけたが、その腕をカミュが引きとめる。見返せば、カミュが小さく首を振る。ミロも唇を噛み、アイオリアの後姿を見遣るしかなかった。
「アイオリアよ、相手をしてやれ。黄金聖闘士のその力、存分に見せてやるがよい」
 アイオリアは何も言わず、コロッセオの中央闘技場に降り立った。
 手負いの白銀聖闘士が身構えたが、相手があのアイオリアだというのには、やはり困惑を隠せぬままでいる。ところが、
「待て、アイオリアよ。お前が聖衣を着けていたのでは、さすがに勝負にならん。お前は聖衣なしで戦え」
 ハンデということになるのか? だが、手負いとはいえ、相手は白銀聖闘士五人だ。それを生身のままで迎え撃つとはさすがに無茶ではないのか?
 誰もが、聖闘士ですらが──黄金聖闘士以外は考えたものだが、アイオリアは翻るマントを外したかと思うと、その身に纏う黄金聖衣も解き放ったのだ。

 教皇の足元に、咆哮する黄金の獅子が鎮座する。今にも獲物に襲いかかろうと疾駆する猛き百獣の王の美しさに、一瞬、誰しもが目を奪われたが、我に返り、闘技場に目を戻す。
 そこには見慣れた姿のアイオリアが確かにいた。
 常に聖衣を纏わずに、その身一つで静かに立ち続けた男が……。

「ど、どうなるんだ?」
「幾ら、黄金聖闘士とはいっても、聖衣なしでは……」
「だが、白銀聖闘士も傷付いているし」
 予測など、立てられるはずはない。ただ、息を呑み、唾を呑み、見守るだけだ。
「お、怖気つくな。聖衣もない奴に、我らが負けるはずがない」
 白銀聖闘士は己を奮い立たせる。しかも、相手がアイオリアであるというのが、ある種、僅かな希望を抱かせた。
 これまで、アイオリアから最強の黄金聖闘士だと思わせるような凄まじい小宇宙など感じたことはない。誰に何をされても、何と罵倒されても、決して抗することのない臆病者だと思ってきたのだ。
 教皇の右腕が振り上げられた刹那、白銀聖闘士は連携するために視線を交わし合う。
 一方のアイオリアは身構えることもなく、ただ立っているだけだった。
 そして、教皇の手が振り下ろされる。
「始め!」
 通る声が開始を宣言した、その瞬間には誰しもが信じ難い光景を目にする。

 その場に昏倒する白銀聖闘士三人。
「なっ…!?」
 残る二人は惑い、動きを止める。アイオリアに襲いかかろうと駆け出そうとしたが、その姿を一瞬にして見失ったのだ。と思った瞬間には三人が打ち倒されていた。一歩どころか、半歩すら動かぬ内に!
「馬鹿なっ。いつの間に──」
「奴はどこだ!」
 恐らく……倒された三人は自分が蹴られたのか、殴られたのかも解らず終いだったろう。勿論、観客もアイオリアの動きを追うことはできなかった。彼らの目にはアイオリアが消え失せ、三人がいきなり倒れ伏したようにしか見えなかった。
 残ったのはペルセウス座のアルゴルとヘラクレス座のアルゲティ。双方、相当に傷は深いが、まだ諦めてはいなかった。
「アルゲティ! 後ろだっ」
 その声に、振り返りながら、飛び退る。だが、攻撃はなかった。ただ、アイオリアは立っているだけだ。
「く…っ。おのれっ」
 簡単に背後を取られたことが腹立たしい。おまけに、情けをかけられたかの如く、そこで攻撃してこなかったことが許せない。
「潰れろっ」
 今、出せる全力を以て、技を仕掛ける。白銀聖闘士の中でも一際、大柄で怪力自慢の男だ。まともに受ければ、たとえ黄金聖闘士であろうとも──誰もがそう思った。
 だが、アイオリアは避けずに、片手を掲げただけだった。その掌に光が集う。
「ぐっ!?」
 反発に声を上げたのはアルゲティの方だった。アイオリアは微動だにせず、巨体が弾き飛ばされる。
「何と! 小宇宙だけで、アルゲティのコルネホロスを凌ぐとは」
 アルゴルが呻いたのも当然か。聖衣などなくとも、黄金聖闘士の実力はやはり隔絶している。白銀聖闘士如きでは歯が立たないのか?
 絶望に支配されるアルゴルの前で、アルゲティは今一度、勝負を仕掛ける。
「うおおおーーーっ」
 渾身の力で振り下ろされた両腕は、だが、アイオリアを捉えることはなかった。地を砕きはしたが、その上にアルゲティも倒れ伏すこととなる。
 軽々と頭上に跳んだアイオリアの蹴りの一撃で、白銀聖闘士随一の巨体は沈んだ。既に満身創痍だった聖衣が更に砕け、飛び散る。細かな破片は十分に凶器となり得る。
 それが着地したアイオリアにも襲いかかるが、当然、小宇宙により防御している。アイオリアの体を包み込む淡い輝きに、破片の殆どは阻まれた。殆ど、全てが。
「──!」
 アイオリアが僅かに顔を歪めた。幾らか大きな、スピードのあった破片が小宇宙の防御壁を突破して、左頬を傷付けたのだ。
「躱し損ねた?」
 黄金聖闘士が一様に眉を顰める。
 黄金聖衣には及ばぬとはいえ、白銀聖衣も並の堅さの物質ではない。破片をまともに喰らえば、怪我では済まないのだ。ガードするのは当然だ。万に一つの見落としなど、あり得ないはず──常ならば、だが。
 その傷の意味を、黄金聖闘士たちのみがほぼ正確に理解した。
 やはり、アイオリアは──……。

 だが、何も気付かぬ観客はアルゲティの巨体が倒れたのに沸き上がる。どよめきと驚愕の声、次第に熱に浮かされたように歓声を上げる。最早、“逆賊の弟”などとアイオリアを見下している者はいない。
 今はひたすらに、想像を絶した黄金聖闘士の力に酔い痴れていた。
 そして、偶発的とはいえ、血が流れた。それが僅かなものであっても、興奮を掻き立てる。
 当のアイオリアといえば、傷に微かに触れ、その瞬間には癒してしまった。だが、指先には僅かに滲んだ血が残った。
 それを舐め取り──彼は微かに笑んだ。凄絶な、笑みだ。
 半瞬ばかり、閃いたものだったので、気付いたのはやはり黄金聖闘士のみだったろう。
 熱狂の只中にある者たちは、近視眼になっている。
 もし、人々がその様を認めていれば、震え上がったに違いない。真空中で沸騰していたはずの水が一気に凍結するか如く……。
「カミュじゃあるまいし」
 ミロの呟きも強ち的を外してはいなかったろう。喩えに使われたカミュですらが、顔を引きつらせたのだから。
 方や、年長者たちは別の理由で、肝を冷やしていた。
「おい……拙いんじゃ」
「もしかして、今のでスイッチが入っちまったのか」
「まさか。直接攻撃されたわけじゃないし……」
 さすがに息を詰める三人に挟まれたシャカは教皇に意識を向ける。その気配は相変わらず、どっしりと構えており、揺るぎない。
〈こんなところで、大事な“駒”を使い切るはずもないが〉
 そんな考え方そのものに、唾棄したくなる思いだ。だが、それが現実だ。
 黄金聖闘士であろうと、今は成行を見守るよりないのは変わりない。
「……らしくない」
「ミロ?」
「全然、あいつらしくないじゃないか。あんな、やり方」
 「白銀聖闘士の相手をしてやれ」とは教皇の命令だが、力の差は歴然なのに、ああも力のみで叩き伏せるなど、確かにアイオリアらしくはなかった。

 そして、そのアイオリアに対せねばならないのは残るペルセウス座のアルゴルのみだった。白銀聖闘士で最上級とされた聖闘士の一人だったが、かなりの傷を負い、恃みの聖衣も主たる呪具であった“メドゥサの盾”も破損したままだった。
 だが、こんな有様でも、何故、今日まで生かされてきたのかが漸く解った。
〈やはり、教皇は恐ろしい御方だ〉
 聖衣を纏わぬ黄金聖闘士と戦えと、幾らかの期待を持たせながら、これは紛れもない死刑宣告だったのだ。
〈士気上げのために死ね、と……。それが我らの、最期の務めか〉
 そういう形でならば、まだ聖域の役に立つのだと。青銅聖闘士如きに敗れたりとはいえ、白銀聖闘士でも筆頭格とされた自分を、聖衣もなしに倒せば、黄金聖闘士の力を見せ付けるには十分だ。
 ある意味、栄えあることではないか。黄金聖闘士と戦い、死ねるのならば、本望というものだ。だが、
「それが、お前とは……」
 一対一で真向かったことがないではない。だが、これほどの威圧感を味わったことはない。
「よもや、お前が、獅子座の黄金聖闘士だったとはな」
 笑い話もいいところだ。何も気付かず、侮るような振舞いをしたことも一度や二度ではなかった。
 独り言に近かったが、アイオリアにも見事なほどに反応がない。感情を見せない翠色の瞳だけが違和感を誘う。
 不意に、自分を倒すために、唯一つの勝利のために、自ら両目を潰した少年の姿を思い出した。
 信じた女神のために、友のため仲間のために、光も命も擲《なげう》ち、戦った少年──いや、立派な男だった。
〈紫龍よ。俺も残る命、アテナのために捧げるぞ〉
 女神が真実、この聖域に御座すか否か──それはもう判らない。
 あれほどの男が信じる者ならば、その娘こそが真の女神なのかもしれない。
 だが、その娘に会うこともなく、それは聖域の女神も同じこと。ならば、今まで信じてきたものを貫くのみ!
 ここで、どれだけ小宇宙を高め、向かっていこうと、自分は獅子座のアイオリアに倒されるのだろう。そして、己が燃やした小宇宙の高まりに比例し、迎え撃つ聖域の士気も上がるに違いない。
 そうなれば、聖域に乗り込んでくるという紫龍たちにも、更なる障害を生むかもしれないが……。
〈お前たちなら、それも打ち砕くかも…、しれんな〉
 そして、あの男たちが従う女神とやらも……。その姿を見られないのが残念だ。

「──行くぞっ。アイオリア!」
 死に瀕したが故か、その小宇宙は異常なまでに燃え上がった。観客から、どよめきが上がる。
「ホゥ、これは」
 教皇すらが感嘆の呟きを漏らした。
 白銀聖闘士の域を遥かに超え、限りなく黄金聖闘士の小宇宙へと迫る。蝋燭の炎が燃え尽きる刹那の輝きに等しいのかもしれないが、勇者ペルセウスの名を冠した聖闘士の小宇宙の高まりは今、絶頂へと達した。
 その圧力が砂塵を巻き起こし、観覧席にまで及んだ衝撃に悲鳴が上がる。
 まともに受けているはずのアイオリアだが、全く動じず、逆風の只中にいた。
 ゆっくりと、その右腕が上がり、アルゴルに向かって突き出された拳の周囲に放電が生じる。
「うおおおーーっっ!!!」
 光の洪水と光の乱舞が激突する。全身全霊を小宇宙の燃焼へと費やしたアルゴルは既に本能だけで保っていたようなものだった。
 だが、そのアルゴルの猛き小宇宙が乱舞する光に切り崩されていく。

「……アルゴルも、よく、やったな」
「あぁ。しかし、あれが限界だろう」
 強大な小宇宙を、どこまで持続させられるか。その点でも、黄金聖闘士は白銀・青銅聖闘士とは別次元に立っている。
 その瞬間、アルゴルは見た。無数ともいえる光の軌跡を。縦横無尽に走る光条によって、己が小宇宙が切り崩されていく。薄皮を剥ぎ取られるかの如く……。
〈これが……〉
 黄金聖闘士の、光の……。
 その身が受ける衝撃はなきに等しかったが、急速に己が小宇宙が失せていくのが判った。
〈何と、遠い……〉
 この黄金聖闘士たちに、あの男たちは立ち向かおうというのか。打ち砕き、進むなど、やはり全くの夢物語なのか──それが白銀聖闘士筆頭とされた男の最後の思考だった。
 狂瀾する光が鎮まった後の闘技場の有様に、熱狂していた観客も絶句する。其処彼処に倒れ伏す白銀聖闘士五人。最後まで戦ったアルゴルの周囲は陥没していた。彼自身の最後の小宇宙の爆発によるものだろう。
 ただ、更にその周囲には無数の深く鋭い亀裂が走っていたのだ。放射状に地面が切り刻まれ、まるで、月面の輝条《レイ》を思わせる有様だ。
 それが何者によって、為されたのか──勿論、誰もが今は理解していた。


★        ☆        ★        ☆        ★


 勝敗は決した。正に圧倒的だった。聖衣の有無も、五対一という数の優位も、全くハンデとはなり得なかった。
 立っているのはアイオリアのみなのだから!
 そして、傷付いたりとはいえ、五人の白銀聖闘士が全員、地に沈められるのに要したのは実質、一分足らずだったのだ。
 常なれば、勝負がつけば、大歓声が湧き起こるものだが、さすがに先刻までは熱狂していた群衆も色を失った。
 顔色一つ変えず、息一つ乱さず、やはり静かに立ち続ける男に……。
 そして、その──黄金聖闘士の実力というものに……。これで、黄金聖衣を纏えば、一体どれほどの!?

「それまで」
 静けさに一石を投じることができたのは教皇しかいない。
「白銀聖闘士よ。お前たちもよくやった。黄金聖闘士を前に臆さず怯まず、よくぞ戦った。その意気に免じ、敗北の罪も減じよう。女神の聖闘士として、慰霊地の墓碑に名を刻んでやる故、安心して眠りにつくがよい」
 それこそが死の宣告だろうか。だが、教皇の声音は限りなく優しかった。
「き、教皇様……」
 声は何れの白銀聖闘士のものだったろうか? とにかく、五人にはまだ辛うじてだが、息はあるようだった。連れて来られた時同様、人の手によって、連れ出されていく。

「……トドメは刺さなかったわけか」
「だって、殺したら、術が解けてしまうじゃないか」
「そりゃそーだ。こんな茶番で、そこまで、やるわきゃないな」
 教皇が「相手をしてやれ」としか言わなかったのも、それ故だろう。
 その教皇は一人佇むアイオリアに声をかける。
「御苦労だった、アイオリアよ。さすがだ」
 ゆっくりと教皇を振り仰ぎ、微かに頭を垂れる仕種で礼を示したアイオリアの右手が上がる。次の瞬間、光が飛来し、輝ける獅子座の黄金聖衣がアイオリアの体に装着されたのだ。
 完全に獅子座の黄金聖衣をアイオリアが意のままに扱っていることを、誰もが認めざるを得ない瞬間だ。
 そして、観客たちの視線を一身に浴びながら、黄金聖闘士たちの元へと戻っていく。だが、「お、お待ち下さいっ。教皇様!」
 声を上げたのは神官の一人だ。アイオリアの身分を以前より知っていた高位神官ではない。
「何か」
「納得がいきませぬ。確かに、その者の力量は認めざるを得ませぬが……。しかしっ…、しかし、その者はあの逆賊の弟ですぞっ!!」
 コロッセオ全体に動揺が走る。それは決して、忘れてはならないことではないのか? 栄えある黄金聖闘士が、あの許し難き逆徒の係累などとは!?
 動揺が囁きを生み、次第に騒きへと化す。
「あ〜ぁ。絶対、言い出す奴がいると思った」
「というより、その点はきっちり、クリアしとかなければならないんじゃない?」
「お? それじゃ、もしかしなくても、出来レースかぁ」
「あり得るね」
 シュラは僚友二人の会話を聞きながら、反対側の元居た場所に落ち着いたアイオリアを見遣った。あちらの他の三人の気遣わしげな視線だけでなく、全ての目を払いのけるが如く、瞑目していた。
 その間にも弾劾は続く。
「いや…、その者とて、あの兄と同じく、いつ聖域に牙を剥くやもしれませぬ。斯様な者を黄金聖闘士に列するなど、危険極まりないのではありませぬかっ!?」
「クッ…、牙を剥くとは如何にも獅子だがな。案ずるな、心配は無用だ。あの愚かな兄とは違い、アイオリアはこの私に絶対の忠誠を誓っている」
 聖域や女神にではなく、「この私に」と言う辺りに、教皇の強い意志を感じるのは黄金聖闘士たちだ。
「しっ、しかし、心の底では何を考えていることか。思えば、此度の偽アテナの一件とて、この聖域を混乱に陥れる好機とも見なせましょう。実は偽アテナに組するつもりではないのかっ。叛逆者どもに呼応して、何をしでかすか」
 だが、アイオリアには全く反応がない。隣のミロたちの方がハラハラしているのに、目を閉じたまま、沈黙を貫く。
「何故、答えぬかっ! やはり、疚しきものを抱えておるからでは──」
「その辺にしておけ。肯定しようと否定しようと、難癖をつけられると分かっているから、黙っているだけだ」
「なっ、難癖などとは──」
 教皇は、だが、片手を上げ、神官を制した。
「もう一度言うが、心配は無用だ。アイオリアは既にこの十年、獅子座の黄金聖闘士として、聖域に尽くしてきたのだからな」
「何と…、十年も」
 さすがにこの言葉には誰もが絶句する。それでは他の黄金聖闘士と同じく、少年の頃より既に獅子座を拝命していたわけだ。それを悟らせもせず、周囲からは“逆賊の弟”と罵倒されながら、聖域のために任に就いていたというのか。
「それも、お前たちの想像のつかぬような厳しき任を、常に独りで果たしてきたのだぞ」
「想像の、つかぬ?」
「実際、命が危ぶまれるようなことも多々あったが、アイオリアは全て切り抜けてきた。あぁ、あれはシュラ。お前が控えていたのだったかな。キマイラ討伐は」
「ハ…、ハイ」
 いきなり水を向けられたシュラも、返答には詰まる。確かに、そういうことはあった。
「キ、キマイラですと?」
「あの、伝説の魔獣を…、独りで?」
 今度は騒然となるほどに『キマイラ討伐』とは衝撃的だった。
「見事、討ち果たしてきた。そうだな、シュラ」
「……ハ。私は何もする必要もありませんでした」
 コロッセオが再び、どよめきに揺れる。魔獣キマイラなど、誰も見たことはない。ただ、それが恐怖すべき存在であるのは皆、知っているし、相対したいとは望まないだろう。

「既にアイオリアは十二分に、忠誠を行動で示している。無論、その兄の所業は無視できぬもの。故に今日まで、獅子座の黄金聖闘士拝命の触れすら出せぬままであったが、何れは、と思っていた。その機会を得られたという点では、アテナの騙り者に感謝すべきかもしれぬな」
 どこまで本気かはしれないが、教皇にここまで言われると、さすがに反論する者も出なくなる。
 だが、その教皇は仮面の下で口許を歪めた。
「とはいえ、確かに口では何とでも言えるもの。だが、真に本気でなければ、口にできぬこともある。アイオリアよ。お前は鷲座《イーグル》の魔鈴とは昵懇にしていたはずだな」
 ハッとして、アイオリアを見たのはミロだった。教皇の意図も明らかだ。
〈また…、また試すおつもりかっ〉
 先刻までは心底、信頼しきっているかの如くアイオリアを立てていた教皇が、一転、今度は試すのだ。
 観覧席の其処彼処でもヒソヒソ話が始まる。聖域に戻らず、行方不明になっている白銀聖闘士・鷲座の魔鈴とアイオリアは親しいことを誰もが知っているのだ。
 聖域ではハグレ者になりがちな日本人の魔鈴と“逆賊の弟”が馴れ合っているだの、慰め合っているだのと、好き勝手に噂していたものだ。当然の如く、ありがちな下卑た噂を言い立てる者も少なくはなかった。
「その魔鈴の弟子のペガサス星矢が、愚かにも日本で、アテナの騙り者を奉じた青銅聖闘士の一人なのだ」
 大仰な物言いはコロッセオ中に言い聞かせるためか。
「あの星矢が」
「何と、愚かな」
「やはり日本人などに、聖衣を与えるものではない」
 星矢は魔鈴の弟子というだけに、この聖域で修行を積み、ペガサスの聖衣を得たのだ。
 全ては小宇宙が示すもの。宿星がある限り、人種などに意味はないものを、何故か、そのような考え方が蔓延《はびこ》っている。意図して、流布した者がいるようでもあるが、差し当たり、今は関係のないことだった。問題は、
「その星矢、お前も随分と目をかけていたと聞くが」
 そうなのだ。星矢もアイオリアには懐いていて、姿を見ると、手合わせをせがんでいた。
 アイオリアもまた、魔鈴の許可を得た上で、よく稽古をつけていたのだ。それが他の聖闘士候補生の目に止まり、彼の手解きを望む者が増えていくのだが、それもまた別の話だ。

「さて、獅子座のアイオリアよ。ペガサスを討てるか?」
「……聖域に仇為す者にかける情けなど、ありませぬ」
 初めて、アイオリアが口を開いた。静かな低い声に、シン…、とコロッセオが静まり返る。息を呑む音すらが唱和するほどだ。更に、
「たとえ、それが実の兄であったとしても……」
 それほどに厳しい返答が躊躇いなく発せられるとは誰も思っていなかっただろう。
「ハッハッハッ! あの時、お前が今少し年嵩であったなら、お前をあの逆賊の討伐に差し向けたものを。さすれば、無為の十三年を送らせることもなかったのだがな」
 アイオリアの言葉に、満足そうに教皇は頷き、恐ろしいことを淡々と言った。裏切り者とはいえ、実の弟に兄を討たせるなど──現実となっていたなら、誰もがアイオリアを“逆賊の弟”と蔑むどころか、怯え、恐れただろう。
 アイオリアの反応に、共に並ぶ黄金聖闘士ですらが背筋に冷たいものを感じたのだから!
 今のアイオリアは、完全に教皇の意のままに操られる人形のようなものだ。「討て」と命ぜられれば、黄金聖闘士でも意に介することなく、向かってくるだろう。
 そんな心中なぞ、留意する素振りなど見せず、教皇は立ち上がった。
「皆もよく分かったであろう。黄金聖闘士の力のほどを。彼らが在る限り、この聖域は安泰。叛逆者どもの命運も風前の灯」
 コロッセオの冷たい動揺が、次第に熱を帯び始める。興奮と熱狂が甦るのに、数瞬と必要としなかった。誰が叫んだのだろうか。再び熱に浮かされた観客は口々に教皇を讃え、黄金聖闘士の名を叫んだ。その中には獅子座のアイオリアの名もあったのだ……。



 興奮冷めやらぬ人々は意気揚々と持ち場に帰る。
 黄金聖闘士たちも己の足で十二宮へと向かっていく。その姿を間近に見せることで、更に士気を高めようということなのだろう。
 黄金聖闘士の中にも、付き合いやら何やらで、纏まりができる。シャカのように独りでサッサと行ってしまう者もいるが、年嵩のデスマスク、シュラ、アフロディーテは揃って、歩く。
「何だかな、いいように使われたのかな」
「それが俺らのお役目だろう。聖域のため、いやいや、教皇様の御為に」
「デスマスク、言いすぎだ」
「フン…」
 機嫌が悪そうだ。シュラとて、気持ちが晴れないのは同様だが……彼の、アイオリアのあんな有様を見せ付けられれば、致し方がない。
〈あんなことまで、言わせるなど〉
 まさか、兄の、アイオロスのことまで引き合いに出されるとは。実際に彼を討ったシュラにしてみれば、こんな思いを彼の実弟たるアイオリアにさせたいなどとは思わない。
『アイオリアを、頼む』
 そう願いながら、逝ったアイオロスに、何と詫びればいいのだろうか。

「何にせよ、様子を見るしかないね」
「様子って」
「だって、誰か死ななきゃ術は解けないんだよ。それとも、どっちかが命を捧げるかい? あの子の目を覚まさせるために」
 私はゴメンだよ、とあっさり言うアフロディーテに二人は黙り込む。
 デスマスクはカリカリと髪を掻いた。
「結局、先送りってことか」
「一寸、シュラ。本気で馬鹿なこと考えてないだろうね」
 シュラは黙したまま、答えなかった。誰かが、彼の前で死ななければ、術は解けない。それはやはり、ペガサスたち青銅聖闘士の誰かということになるのか。
〈だが、そうなれば、アイオリアは……〉
 術が解ければ、我に返り、そして、知ることになる。己が行いを……。
 その時のアイオリアの受ける衝撃と苦痛を思えば、やはり何とかしなければならないのだろうが──。
〈俺がお前の前で死んでも、お前は哀しむのだろうか〉
 たとえ、兄の仇であろうとも──……。
 その想像は思いがけないほど、甘美なものに感じられた、が、
「コラ、シュラ。何、考えてんのさ」
 アフロディーテに軽く小突かれ、さすがに慌てる。確かに今、何てことを考えていたのだろう。
「いい加減にしなよ。あの子の意志の毅さは私も知っている。それでも今回は“彼”の方が上回ったということさ。だから、あの子は“彼”に屈した」
「アフロディーテ……」
「でもね、あの子だって、覚悟の上で“彼”に立ち向かっていったんだろうからさ。これ以上は侮辱だよ」
 いつまで経っても、アイオリアを「あの子」呼ばわりするが、アフロディーテは恐らく、黄金聖闘士の誰よりも、アイオリアを対等な同じ黄金聖闘士として認めていた。だからこそ、冷たいようで突き放してはいても、それが正当な評価だった。
「ま…、本当に完全に屈しているかも、まだ判らないしね」
「何だと?」
「そりゃ、まだ良心の部分を残しているとか何とか、あいつも言ってるみたいだけどな」
 デスマスクも少々、異論ありげな様子だ。
「脳を直接、支配されたら、俺たちだって、抗するなんてのは」
「おや? 蟹座の黄金聖闘士ともあろう君が、碌な抵抗もせずに陥落するのかい」
「う〜ん」
 何とも言いようがなかった。実際にそういう目に遭ってみないことには──だが、それこそ、考えてみても始まらないことだと気付く。
「そう。なるようにしかならないということさ。あの子のことも、我々のことも──そして、アテナのこともね」
 既に彼らは十二宮に入っている。周囲を気遣う必要もない。アフロディーテの言葉に、上方を見上げるが、女神が御座すとされるアテナ神殿は見えない。
「……小宇宙も感じられんのに、よく皆、信じられるもんだよな」
「何にせよ、事態は動いた。“彼”の妄執が勝つか、真なるアテナが勝つか。見物じゃないか」
「お前は…。どうして、そう他人事のように」
「所詮は他人事だよ。今更、アテナの御許に馳せ参じるなんて、ガラじゃないしね」
 それだけは彼ら三人に共通する思いだった。


 少し遅れて、シャカを除く年少の黄金聖闘士たちも十二宮に向かっていた。ただ、アイオリアは一緒にいるわけではなく、他の三人、ミロ、カミュ、アルデバランがその後を窺いながら、歩いているのだが。
 ミロとアルデバランは聖域に常駐することが多く、黄金聖闘士では聖域に一番、馴染んでいるので、声をかけてくる者が多かった。適当に応じながらも、彼らの目は先を行くアイオリアに向けられている。見送る者たちも、さすがにアイオリアは遠巻きにしている。
「あれは試しなどではないのだな」
「ミロ?」
「イーグルやペガサスのことを教皇が持ち出したことだ」
 最初はアイオリアを試しているのかと思った。だが、既に幻朧魔皇拳によって、その自由意志を奪い、手中に収めたのだと言わんばかりだ。
「……黄金聖闘士《おれたち》に対する警告、ということかな」
「どういう意味だ」
 親友の推測に嘆息するカミュの傍らで、アルデバランが太い声を無理に顰める。
「お前だって、ずっと聖域にいれば、感じていただろう。教皇に対する不信が次第に高まっていったのを」
「あぁ…、それか。確かに、両極端な言動が目立っていたからな」
「両極端?」
 弟子を取ってからというもの、カミュは聖域を離れることが多かったので、実感が薄い。
「神か悪魔か、ということだ。確かに教皇は聖域でも近隣の村々での活動でも、慈愛に満ちた神の如き御方と崇められている。だが、一方では酷く厳しい面を持ち合わせている」
「聖域を統べる者として、それは当然なことだ。だが、限度はある。特に側近の中には、不審な死に方をする者もいてな。何か、教皇の秘密でも知ってしまったからではないか、という噂が立つほどなのだ」
「……噂に過ぎない、のだろう?」
「まぁな。だが、俺はそんなことより、老師とムウの方が問題だと思う。完全に敵対するつもりのようだからな」
 黄金聖闘士召集に最後まで応じなかった天秤座と牡羊座の黄金聖闘士。盟友と愛弟子──夫々の教皇との関わりを知っていれば、尚更に不信が募る。
 そして、日本で女神を称する城戸沙織に会い、戻ってきたアイオリアだ。彼は城戸沙織を真なる女神だと認め、そして、教皇宮に乗り込んでいってしまったのだ。
「城戸沙織とやらが本当に我らがアテナならば、アイオロスの叛逆にも、やはり裏があったということになる」
 だからこそ、アイオリアも教皇に談判に及んだのだろうが……だが、黄金の獅子は教皇の手に落ちた。
「つまり、同じ目に遭いたくなければ、黙って従え、ということだろう?」
「業腹だな。……とりあえず、様子を見るしかない辺り、尚更、腹が立つ」
 苦りきって、アルデバランが舌打ちする。黄金聖闘士も随分と軽く見られたものだ、と。
「……シャカも何故、割り込んだのだろう。こんなことを言っては何だが、彼がいなければ、みすみす幻朧魔皇拳をアイオリアが食らうこともなかったのではないか」
「あいつの考えは、どうもよく解らんからな」
 昔から、孤立することの多かった乙女座の黄金聖闘士は、だが、件のアイオリアと長く聖域を離れているムウとは幾らかマシな交流があったように見られたのだが……。
 シャカにはシャカの思惑があるには違いないが、見当などつくはずもなかった。
「差し当たり、偽アテナとやらと青銅聖闘士をどう遇するか、か。真先に当たるのはお前だぞ、アルデバラン」
「やれやれ。だが、彼奴らの覚悟のほどは見てみたいものだ」
 どうとでも受け取れる牡牛座の言葉だったが……。

「あっ、あの、アイオリアさん!」
 前を行くアイオリアに果敢にも声をかけた者がいたのだ。一人ではない。数人の聖闘士候補生だった。よく、アイオリアに稽古をつけて貰いたがっていた少年たちだ。
「おい、いいのか?」
 アルデバランがさすがに不安そうに尋ねるが、他の二人も咄嗟にどうすべきか迷った。以前のように、黄金聖闘士の身分を振りかざして、割り込んでも意味はないし、アイオリアの状態を悟らせるわけにもいかない。それこそ、様子を見るしかない。
「アイオリアさん。その…、凄かったです。さっきの──」
「バカ! アイオリア様って、呼ばなきゃダメだろう」
「そうだよ。何しろ、獅子座の黄金聖闘士様なんだぞ」
「そ、そっか。あ、申し訳ありません」
 騒ぐ少年たちを、だが、その獅子座の黄金聖闘士は感情のない瞳で見下ろすだけだった。ただ、興奮している少年たちはそこまで気付かない。
「アイオリア様。その…、また稽古をつけて下さいますか?」
 一人が思い切って、願いを請うが、やはり反応はない。
「もう前のようにはいかないよ。きっと、お忙しいんだ」
「でもさ──」
 口々に騒ぐ少年たちを前に、凍り付いていたその翠色の瞳が僅かに揺らいだ。彼は顔を歪め、額を手で押さえた。
 同時に、その小宇宙も揺れたのを後ろにいる三人もはっきりと知覚した。
「アイオリアさん? どうしたんですか」
「だから、様だって──」
「…………どけ」
「え?」
 どうでもいいようなことで揉めていた少年たちは一様に、アイオリアを見返した。
 何故か、苦しげな様子なのに、少年たちは初めて気付く。何か、変だと。
「アイオリアさん、どうしたんですか」
「……どけと、言っている。俺に、近付くな」
 低い、呻くような声は彼らには聞いた覚えのないような響きだった。いつだって、諭すような優しい声音で、応じてくれたものを。
「アイオリア、さん?」
「アイオリア! 早く戻るぞ」
 いきなり、後ろから来たアルデバランの巨体がまるで、抱えるようにアイオリアを掻っ攫っていく。余りの光景に、少年たちも目を丸くする。
「──アイオリアさん!!」
 そう呼び続ける彼は多分、コロッセオで、その名の戒めを解いた声の主なのだろう。

「待て、お前たち」
「スコーピオン様。アクエリアス様」
 黄金聖闘士が直接に聖闘士候補生如きに声をかけてくることはまずない。思わぬ、だが、栄えある瞬間に殆どの者が頬を紅潮させ、畏まるが、一人だけ畏怖《おそ》れる様子もなく見上げてきた。
 ミロは軽い既視感《デジャ・ヴュ》を覚えた。
「スコーピオン様。アイオリアさんはどうしたんですか。どこか、お悪いのでは──」
「おっ、おい。よせよ」
 他の者が袖を引くが、食い下がるような眼差しを向けてくるのだ。そこで、ミロは気付いた。誰と、ダブるのかを。
「……落ち着け。アイオリアは大丈夫だ」
「でも…!」
「大丈夫だ。あいつは、強い」
 彼の肩に手を置き、真直ぐに目を合わせ、噛んで含めるような──だが、力の籠められた一言に、少年たちが目を瞠る。
「あいつは…、黄金聖闘士《オレたち》の中でも、本当に強い。だから、大丈夫だ。信じろ」
 そうだ。アイオリアは強い。あれほどの心の毅さを持った奴はいない。だから──!
 目を合わせていた少年は、やがてコクッと頷いた。
「よし。それじゃ、お前たちも戻って、自分の為すべきことを果たせ」
「──ハイッ」
 少年たちは駆けていった。女神の聖闘士を、目指すために……。
「……今の候補生、何となくだけど、ペガサスに似てるな」
「そうなのか」
「あぁ、雰囲気がな。あいつもキラキラした目で、アイオリアを見上げてた。黄金聖闘士の俺に対しても臆さず、真直ぐに睨んできたっけ……」
 懐かしむように少しだけ遠い目をしたが、ミロは一つ頭を振り、親友を見返した。
「急ごう。アイオリアが心配だ」
「あぁ」
 急ぎ、アルデバランの後を追いながら、ミロは先刻の自分の言葉を口の中で繰り返した。
「だから、大丈夫、か……」
 信じたいのは誰あろう、自分たちなのだろうな。


 一方、先を行くアルデバランは殆ど抱きかかえている状態のアイオリアが酷く苦しんでいる様子に、十二宮に入ったところで、一旦、下ろして様子を窺った。本当は自宮の金牛宮まで連れて行き、落ち着かせ、場合によってはヒーリングをしてやるつもりだったのだが……。
「アイオリア、大丈夫か」
 大丈夫ではないだろう。元来、半端ではない我慢強さで、負傷していようと、体調が悪かろうと、決して外には出さない彼がこれほど苦しんでいるのだ。想像を絶する苦痛であるに違いなかった。
「……これが、幻朧魔皇拳なのか」
 アルデバランは腹の中に重石でも抱えたような鈍い感覚を味わわされた。
 頭を抱え、体を震わせ、痛みに耐えているアイオリアの姿を見れば、『脳を支配する』という伝説の魔拳の弊害であることは疑いない。
 となると、ヒーリングなど、何の助けにもならないだろう。どうにかできるとしたら、魔拳の使い手たる教皇その人だけか、それとも、教皇ですらが代償もなしに解くことは適わぬのか?
「誰かが、死ななければ、解けない、か」
 どういう条件なのだ、これは。贄は『人』でなければならないのか? 正しく魔拳といわれる所以だろうか。

「……う」
 少しだけ、アイオリアの呼吸が落ち着いてきたようなのに、我に返る。
「アイオリア」
「……アルデ…、バラ、ン?」
 声が──聞き慣れたものだった。消耗し、弱々しいのは仕方がないが。
「アイオリア、正気に?」
「ここ、は……」
「十二宮だ。白羊宮の手前。アイオリア、お前──」
「痛ッ…! ぐ……」
 そこまで、だった。再びアイオリアが苦しみ出す。会話など許さぬと監視でもされているかと疑心暗鬼に陥るほどのタイミングだ。
「アイオリア!!」
「寄るなっ。アル、デ…バラン、離れろっ。俺から……」
 最後の、アイオリア自身の意思による言葉だったろう。
 思わず、後退ったアルデバランの前で、アイオリアはのたうちながら、それでも、痛みに耐えようとしていた。だが、その動きも次第に緩慢なものとなり──動かなくなる。
「……アイオリア?」
 不安げに声をかけるアルデバランなど見向きもせず、ゆっくりと立ち上がったかと思うと、アイオリアは十二宮の階段を登っていった。幾分、フラつきながらではあるが。
「お前…、まだ戦っているのか。幻朧魔皇拳の支配と」
 声は遠く、届いているようには思えなかった。暫し、立ち尽くし、その後姿を見送っていたが、「アルデバラン!!」
 背後からの呼びかけに振り向くと、ミロとカミュが駆け上がってくるところだった。
「おう、来たか」
「アイオリアは?」
「あぁ…、今、先に」
「……どうした?」
「いや、別に」
 僅か数瞬とはいえ、正気返ったことを話したところで、事態の解決に繋がる見込みはないに等しい。友人のために、何もできない無力感を味わうのは自分だけでいいと思えたのだ。

 それから、三人は特に話すこともなく階段を登り、自宮の守護に入っていったのだ。
 勿論、上方の宮へ向かうミロとカミュが獅子宮を通る時も、アイオリアは何の反応も見せず、視線すら向けてこなかったのだ。
 本当に、何の手の打ちようもないのか? 迫る青銅聖闘士を贄に差し出さぬ限り、術が解けることはないのか? ただ、唇を噛みしめるだけなのか。黄金聖闘士が揃いも揃って!?
 嘆いたところで、やはり事態が変わるわけではない。
「カミュ、お前はどうするんだ。氷河のこと」
 天蠍宮で別れる際、やはり、それだけは確めておきたいと思った。前にカミュは「討たねばならないのなら、自らの手で」と言ったのだが、傷付くと解っていて、そんなことをさせたいとは思わない。だが、
「向かってくるのならば、全力で迎え撃つだけのことだ」
「……カミュ。だが、アテナのことも」
「それは、氷河たち次第なのだろう。彼らは示さねばならないのだ。自らこそが真なるアテナの聖闘士であるということを」
 結果は、その瞬間にこそ明らかになるのだ。その城戸沙織が真なる女神であるか否かも。
「……厳しい、な」
 階段を、更に上へと登っていく親友の厳しさに、ミロは静かに嘆息した。



 事態の変化──女神の騙り者と付き従う青銅聖闘士の聖域への来訪は、正しくその劇的な変化といえた。
 ただ、それに先んじて、一人の青年が聖域に姿を現した。実に十三年振りに自宮たる白羊宮に足を踏み入れた牡羊座のムウは即座に停止させていた宮の機能を復活させ、直ちに守護結界も甦らせた。
 それは存在すら忘れられていただろう牡羊座の黄金聖闘士が戻ったことを、聖域中に知らしめた。
 当然、他の黄金聖闘士や教皇も、ムウの行動を窺っていることだろう。
 だが、教皇からの呼出もなく、ムウもまた、教皇宮に赴くこともせず、ただ待っていた。
 そう、待っていたのだ。時の訪れを。女神の訪れとともに──……。
〈シオン。やっと…、この日が来ました〉
 亡き師へと語りかける。真の教皇たる彼の人は、既に十三年前、現在教皇の座に在る者によって、命絶たれたのだ。
 仮面で顔を隠そうと、小宇宙を擬態しようとも、彼の人を師として仰いだムウが誤魔化されるものではない。
 だからこそ、ムウはジャミールへと身を潜めたのだ。
〈あの頃の私は、本当に幼すぎた〉
 我が身を守ることが精一杯で、ただ遠くから見るだけの無為の日々……。聖域との接触も殆ど断ち──それでも、細い糸を繋げながら、時機を待った。
〈だが、今は違う〉
 ムウは成長し、教皇の魔手を逃れた女神も己が運命を知り、聖域に戻ってくるほどに立派になられた。
 無論、簡単にカタがつくはずもないが。教皇を名乗る彼は、ありとあらゆる手段を以て、阻止にかかるだろう。それにしても、その打ってきた手の一つがまさか──!
「アイオリア。よもや、貴方が……」
 あの者の手に落ちるとは!?

 四宮上の獅子宮に在る友人の小宇宙は酷く不安定だった。
 顔を合わせたのは十三年前に別れた時が最後。だが、小宇宙による接触はここ十年は続けてきた。どんな逆境も彼の輝きを損なうことはできなかった。明るく健やかで、真直ぐな気質をそのまま映したかの如き冴えた小宇宙の持ち主のはずだった。
 だが、今の獅子宮の守護者の小宇宙は闇く荒れていた。
「幻朧魔皇拳……。代々の教皇にのみ、継がれし伝説の魔拳をも我が物としていたとは。やはり、恐るべき男ですね」
 教皇──いや、双子座の黄金聖闘士サガ!
 ムウは勿論、アイオリアも実はその正体を十三年前から知っていた。知らされていたのだ。兄アイオロスが真の教皇シオンを害したという衝撃的な言葉とともに。
 当時の幼いアイオリアに抗う術はなかった。内心では必死に否定しつつも、サガに反論も出来ず、亡兄《あに》を疑ってしまい、従うよりなかったアイオリアはシオン教皇の弟子であるムウにも常に慙愧の念を抱いていた。
 だが、十三年を経て、日本で城戸沙織に会い、彼女こそが真なる女神だと彼は認めた。そして、兄は逆賊などではなく、女神を救ったのだとも……。
 聖域に戻った彼は、直ぐに教皇の、いや、サガの元をおとなったに違いない。
「普段は冷静なくせに、いざとなると熱くなりすぎるのは変わっていませんね」
 などと嘆息交じりに評している場合でもないか。女神と青銅聖闘士たちが今正に乗り込んでこようというのに、獅子座のアイオリアまでが敵に回れば、厄介なことこの上ない。だが、
「それもまた、試練、ということか」
 神なる存在は実に無慈悲で厳しきもの。それは我らが女神も変わらない。そして、時として、その厳しさは女神御自身にも課せられるのだ。
「私は、見届けるのみ、か」
 それでも、可能な限りの助力はしよう。やがて、この白羊宮に現れるだろう青銅聖闘士たちに途を指し示し、その聖衣だけでも修復を……。
「……貴方には貴方の思惑があるのでしょうね。ですが、それはこちらも同じこと」
 既に白銀聖闘士をも凌ぎ始めた青銅聖闘士たち──勿論、黄金聖闘士を白銀聖闘士と同列に考えるべきでないことは自らも黄金に列するムウはよく知っている。
 だが、それでも、彼ら青銅の少年たちの可能性は無限と思えた。それを信じ、賭けるに値するほどに!
 そうだ。彼らの可能性が、八方塞と見える友人をも救うかもしれない。
「……獅子を手駒にしようなどと生かしたままにしたことは、貴方の足を掬うかもしれませんよ」
 挑むように、十二宮の上方を見上げたムウに応える声は勿論、ない。


★        ☆        ★        ☆        ★


 獅子宮──守護者たる獅子座のアイオリアは微動だにせずに、眼下に聖域全体を見渡せる入口に立っていた。
「……痛ゥ」
 時折、激しい頭痛に襲われる。壁に手をつき、体を支えるが、一向に治まらず、痛みの余りに膝をついてしまう。

『アイオリアさん』
 名前は何といったか? 先刻、声をかけてきた聖闘士候補生の少年──だが、別の顔が脳裏でダブる。
『アイオリア!』
 同じように、輝いた眼差しで見上げてきた……彼の名は何だったか?

「…………星、矢」
 唇はその名を呼ぶことに慣れていたのだろう。だが、意識はどこか遠い。再び襲いくる頭痛に、満面の笑顔が蹴散らされていく。
「俺、は……」
 何と戦っているのだろうか。この痛みは何だ? 何故……、
 全てが曖昧になっていく感覚と記憶と、意識はやがて強制的に目覚めさせられる。


「アイオリア! しっかりしてくれよっ」
「……獅子宮を通る者は、誰であろうと…、殺す」
 それが弟子のように、弟のように可愛がっていた少年だと、彼には解っていた。解ってはいたが、絶対的な『命令』の前には些細なことでしかないはずだ。
「……覚悟はいいか、星矢」

邪魔者は、殺せ…

 『命令』遂行のために、躊躇いなく振るわれる拳は少年を幾度となく吹き飛ばす──だが、心の奥底が悲鳴を上げていた。

駄目だ、止めろ
彼を、殺すな……

 鬩ぎ合う二つの認識の衝突は次第に彼の精神そのものに瑕疵《キズ》を負わせていく。
 そして、小宇宙も──……。

「トドメだ、星矢」
 狂乱する小宇宙の変調が、少年の不屈の闘志から衝撃を受けた瞬間、奇蹟が起きる。



 オチの纏めに苦労しました〜。そこだけで、三日かかったぞ;;; 『赤目リアvs白銀聖闘士』 の辺りが『トドメ』関連だけど、『お題』=『主題』にはならないのが輝です。難しいっスね。でも、獅子宮の戦いのアイオリアは目見開いちゃって、瞬きもしてない感じでマジに怖い★
 白銀聖闘士も一応、まだ息があった展開で、メイン対決のアルゴルとアイオリアはアニメ版では一寸だけ接点あり。つか、声がね、他作品でも兼ね合いの多いお二方で──田中秀幸さん(アイオリア)と神谷明さん(アルゴル)といえば、山田君と里中君in『ドカベン』 槙村秀幸と冴羽リョウin『シティハンター』(この二作品にはアルデバランのオマケもつけられる★ ハッパの岩鬼&海ちゃん) 序でに工藤勇作と毛利小五郎in『名探偵コナン』なんてのもあるけど……。
 因みに黄金聖闘士の並びは抜けた宮は飛ばした宮順で交互に、教皇の左に『タウラス・レオ・スコーピオン・アクエリアス』右に『キャンサー・バルゴ・カプリコーン・ピスケス』の並びです。シャカを除いて、年中組が揃い、ミロ・カミュの親友コンビ+気遣っているアイオリアが並んでいるのが偶然にしても出来過ぎですね。
 にしても、再度長編記録更新。おかしい。こんなに長くなるはずなかったのに……黄金聖闘士の会話が増えたせいだ。

2007.06.03.

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