ギリシャ・ワイン 現在ではワインといえば、フランス・イタリアなどが盛んだが、ギリシャこそがワイン発祥の地である。 5,000年程前、ヨーロッパのブドウ栽培やワインの醸造技術の基本が築かれたとされている。 酒神ディオニュソスが発明しブドウ栽培や醸造法により、ワインは人間に齎され、古代ギリシャの人々に叡智と生きる喜びを与えた。 ワインは気分を高揚させ、精神を解放する。その恵みに、古代ギリシャ人──殊に重労働や貧困に喘ぐ農民たちはディオニュソス神を厚く信仰し、根強いディオニソス信仰はヨーロッパ芸術にも多大に影響を及ぼしている。 イスラムに支配されたために、フランス・イタリアなどからは後退したが、東地中海にせり出した山の多い半島とエーゲ海に浮かぶ島々という多様な土地。一年の内、実に十ヶ月が晴天という温暖で低湿度の地中海性気候と、ブドウ栽培に適した砂礫の多い土壌──正しく神々に愛された風土が今尚、300種ものブドウ品種を生み出し、良質のワインを齎している。
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ネメア
ペロポネソス半島東部のネメアは、ブドウ栽培が主要産業の人口5,000人の小村で、ギリシャ国内でも高品質のワイン産地として知られている。 ネメア博物館によると、この地では2,500年程前からブドウ栽培が行われていたとされる。ネメアの丘は古代からブドウ樹に覆われ、この地方特有の生態系が、ブドウ栽培にも多くの恵みを齎している。 ブドウ畑は砂と粘土から構成される標高350mの丘陵地に広がり、ブドウの成熟期に北から冷涼な風が吹き、寒暖差により良質のブドウが収穫できる。 また、古代よりギリシャ神話の英雄ヘラクレス生誕の地としても知られ、地元品種アギオルギティコ種で造られる赤ワインは『ヘラクレスの血』と称される。 その銘柄には『ネメア』『ネメア・リザーブ』『クロース・ネメア』『クロース・ネメア・リザーブ』『ドリピオ・ネメア』『ツァンタリス・ネメア』などがある。 飲み頃温度は室温、15〜8℃ほど。(木陰で、小宇宙で冷やせば、何とか保つかも^^) ★ ☆ ★ ☆ ★
アギオルギティコ種 Agiorgitiko (アジオルジティコ種)
ギリシャの赤ワイン用黒ブドウ品種。ペロポンネソス半島ネメアでの栽培が多いため、ネメアNemea種とも呼ばれる。栽培地の高度差によって、多様性のあるワインを生み出すが、海抜450〜650mの畑が長熟で、洗練されたものになる。 ギリシャ特選の赤品種といっても過言ではない。古代種ブラック・オブ・ネメアを祖とし、古代から知られ、古くから、この品種からできる深紅色のワイン──『ヘラクレスの血』は世界にも名を馳せるほどである。
関係あるようで、ないけどネメア繋がりで☆ ネメアの獅子
ギリシア神話に登場する化け大獅子。母はエキドナ、父はその子オルトロス。ネメアの谷に住みつき、人や家畜を襲い、恐れられていた。 勇者ヘラクレスが女神ヘラの嫉妬により、狂気に染まり、家族を死なせた罪を贖うための『ヘラクレスの十二の難行』に於ける『第一の難行』が、このネメアの獅子の討伐だった。 いつしか、己が故郷の脅威となっていた大獅子は分厚い皮膚と、更にその下には筋肉が変じた甲羅があるといい、矢を通さず、剣も通じないため、ヘラクレスも苦戦したが、棍棒で叩き、悶絶させたところを三日間締め上げ、さしもの化け獅子も絞め殺された。 これより以後、その皮はヘラクレスを守る鎧の服となり、頭から被っていた。 また、『ヘラクレスの十二の難行』にて殺された存在《もの》は全て星座として、空に上げられたため、このネメアの獅子も夜空に昇り、『獅子座』となった。
ヘラクレスは後に射手座となるケンタウルス族のケイローンとの関わりも深かったりします。まぁ、神話ってのは結構、無茶苦茶なところがあるけど、面白いもんだよね。何処の神話も^^ 『ネメア』各種は何でもいいから、いつか飲んでみたいなぁ。でも、入手しにくそうだ。
2007.09.24. |