起 点


 「艦隊増設? 何だ、それは」
 半ば以上が呆れ顔で、アレックス・キャゼルヌ少将が後輩に間うたのは、昼の士官食堂にて、食後のコーヒーの頃合だった。
 その後輩であり、当イゼルローン要塞の司令官ヤン・ウェンリー大将は肩を小さく竦めて、
「言葉通りですよ。制式艦隊をもう一つ増設しようという案が出ているんだそうです」
 居合わせた者達の間から、とても感心したとは思われない溜息が上がった。
 ヤンとキャゼルヌの他には、ダスティ・アッテンボロー少将、ワルター・フォン・シェーンコップ少将、イワン・コーネフ、オリピエ・ポプラン両少佐にフレデリカ・グリーンヒル大尉、といった顔触れだ。尤も、この半数は顔突合せれば、何事かをやらかすのではないかと、ムライ少将あたりが眉を顰めるメンバーだとユリアン・ミンツは思ったりもしたが……。
 司令官を筆頭に要塞幹部が昼の井戸端会議とは何事だと、ヤン・ウェンリー一派に反感を持つ者からは指摘されそうだが、過日、移動式巨大要塞侵攻に際し、『敵国』たる銀河帝国はかなりの打撃を被った。
 当面、戦闘の心配はあるまい。無論、警戒態勢は引き続き、取っているが。
 大体、その敵大部隊を退けた功績者に絡む資格なぞ、後方にある輩にあるはずがない。それがイゼルローンの将兵達の偽ざる思いだろう。
 その輩が浮かべたらしい『沈みそうな船』に乗るかどうかはともかく、ネタとしては面白い。
「へえ〜。そんなヨタ話、一体、出所は何処です?」
「おいおい、ヨタ話はないだろう。アッテンボロー」
 ヤンは苦笑して、士官学校の後輩を見たが、
「じゃあ、何て表現すれば良いんですか? 今の同盟の何処に、制式一個艦隊を一つでも増やす余力があるって言うんです。仮に艦艇を揃えられたとしても、運用する人員はどうするんですか。まさか、一万艦全艦、一人で動かせる無人艦隊にでもしようってんですか。それなら、話は別ですけど」
 ……んなもん、出来るわきゃない。いや、出来ないこともないだろうが、主力戦力になるはずがない。
「確かにそれはそうだがね」
 確かに、艦艇だけならば、揃えられぬこともないのだ。アムリッツァでの(傷だらけの)残存艦隊などが、あるにはある。掻き集めれば、誕生時の第十三艦隊程度の様相は保てるだろう。
 問題なのは……、
「第一、制式艦隊を預けられるだけの第一級指揮官がいないでしょう。これをヨタと言わずして、何と……」
「アッテンボロー、そう自軍の指導者層を扱き下ろす事もあるまい」
「別に扱き下ろしているわけではありませんが……」
 キャゼルヌに諌められて、少し困ったようにその髪を掻き回したが、
「でも、事実でしょう? 察するに軍内部のトリューニヒト派から出たんじゃありませんか、このヨタ話」
 余程、この表現が気に入っているのか、あくまでも拘る青年提督にヤンも苦笑は隠せない。
「ビュコック提督のお話からすると、そうらしいね」
「道理で、正常《まとも》な発想ではないわけですな」
「全く全く、一空戦乗りに過ぎない俺でさえ、そのくらい解るのにな」
 シェーンコップ少将がどちらかというと面白がる口振りで言うのに、珍しくポプラン少佐が同意する。コーネフ少佐やグリーンヒル大尉も同感らしい。尤も、この二人は殊更に大声で、自らを主張したりはしない。

 一方で、キャゼルヌ少将は思案顔を見せた。
「しかし、とりあえずは案なるものが出ているからには、満更、ヨタでもあるまい。当てがあるんじゃないかな?」
「そう…、らしいです。さすがに今直ぐというわけではないでしょうがね」
 先日の大要塞侵攻に、政府は政府なりの危機惑を触発されたらしい。アムリッツァ以後、自由惑星同盟軍の戦力は激減しており、目下のところは帝国との『国境』警備に当たるヤン・ウェンリー指揮下のイゼルローン要塞に頼るより他はないのだ。
 譬え、政府がどれ程にヤン一派とその戦力を警戒しようとも、対帝国軍事行動に関してはヤンに掣肘を加えられぬ現実《こと》は判然としてしまった。
 今度の制式艦隊増設案はその辺の思惑が絡み、出たのかもしれない。現在、ヤン艦隊に匹敵する艦隊は首都星に在る第一艦隊だけである。これでは『万が一』の場合、同盟には成す術がない──と。
 これは『万が一』の事態をヤンが引き起こすと考えた上での発想だが、当の本人からすれば、迷惑な話である。人を自分の物差しで測らないで欲しい、とは切なる希望だが、如何せん、世の決まり事の如くなっているのには殆《ほとほと》、困り果てる。
 となると、艦隊増設の話もヨタ話と笑っていられなくなるかもしれない。余り、愉快な話ではないが、この場の全員がその解答を導き出していた。
「艦艇数はともかく、司令官の候補者は数名、上げられているようですよ」
「ほぅ、誰です」
 シェーンコップ少将も意外と興味津々である。
「そうだね、最有力候補は二人いて、一人はモートン少将」
 「あぁ、成程」と言った声が周囲から上がる。

 ライオネル・モートン少将。
 アムリッツァ会戦では、第九艦隊の副司令官を務め、負傷した司令官に代わり、その残存艦隊を最後まで率いた有能な指揮官だ。既に中将に任じられるだけの功績と手腕を持つはずだが、会戦後、たった二千隻程度からなる独立辺境部隊の指揮官に甘んじていたとは、同盟軍にとっては惜しいことではないだろうか?
 尤も、その敗戦故に、軍は戦力不足であり、預けられるだけの艦隊もなく、また純粋に能力からだけで、人事が行われるわけではないのが昨今の同盟軍であるからして、当然といえば、当然かもしれない。残念ながら──。
 モートン少将は敵要塞迎撃にも加わり、ヤンの指揮下でもその手腕の確かさを示した。
「なぁるほど、一人がモートン少将というのは納得しますがね。残る一人というのは誰なんです。他にめぼしき人材がありますか?」
 シェーンコップに負けず、アッテンボローも興味津々、大津々という表情で尋ねる。
 そんな後輩にヤンは悪戯心を出した。
「当ててみろよ、アッテンボロー」
「何です? そんな出し惜しみすることはないでしょーが。教えて下さいよ」
 文句を言うアッテンボローの隣で、彼らの共通の先輩が呟いていた。
「もう一人か。そういえば、いない事もないな」
「そうですね。私も心当たりは一人いますよ」
 帝国生まれの要塞防御指揮官も相槌を打つ。
 年長者達の反応に、アッテンボロー少将は腕を組んで、考え込む。そして、十秒ほど経って、ポンと手を打った。
「解かった。カールセン提督でしょう? モートン少将と並んで、ガイエスブルグ要塞迎撃戦では際立った動きをしていたし」
「あぁ……カールセン提督も確かに有力候補の一人だけどね。でも、最有力ではないんだ」
「えっ!? 違うんですかっ。てか、カールセン提督を凌駕する上級指揮官なんて、他にいないじゃないですか!」
 猛将タイプと称されるラルフ・カールセン少将が最有力でないとは!? 本気で驚いている若い提督の傍らで、両エースがヒソヒソと、
「おい、ポプラン。お前は見当ついてるか?」
「馬鹿にするなよ。俺だって、それくらい解かるぜ」
 面白がるようでいて、穏やかな笑みを崩さないコーネフに、ポプランは少しムッとして見せた。

 皆が皆、確信めいて言うものだから、一人だけ想像の付かないアッテンボローは顔を引きつらせた。つっとまだ若い、若すぎるそういう事には疎いだろう少年に目が向く。
「まさか、ユリアンは解かってないよな」
「えーっとー、解かりませんけど、もしかしたら、そうかもしれない人は──」
 気を遣って、考え考え言ったような言葉にアッテンボローは頭を抱えていた。
「ええーーっっ、ユリアンも知ってる奴って、誰だ? 誰だよ」
 アッテンボローには本当に見当も付かないらしい。
 ヤンは苦笑して、自分の被保護者の少年を見遣った。
「ユリアン、教えてやりなさい」
「でも……」
「いや、坊や。多分、君の想像通りだと思うよ」
 シェーンコップ少将が意地の悪い笑みを返して言う。
 少し気が進まない風だが、ユリアンはアッテンボローを見上げ、一言、
「アッテンボロー提督」
「……何だ?」
「ですから、もう一人はダスティ・アッテンボロー提督じゃないかと」
 一瞬、数瞬、十数瞬の沈黙があった。次にはアッテンボローは「へっ」とも「はっ」ともつかない間の抜けた反応を示していた。そして、口をパクパクさせ、先輩である司令官を見返す。
「そういうことだよ、アッテンボロー」
「そんな、冗談でしょう?」
 柄にもなくアッテンボローは戸惑っていたが、
「まさか、そんな冗談を言う謂れはないだろう。少将にはそれだけの能力も実績もあると、判断されてのことさ。どうしたんだ? 高く評価されて、嬉しくないのかい」
 アッテンボローが何かを考え込むような表情なのに、ヤンは軽く眉を顰めたが、アッテンボローも直ぐにそんなヤンに気付き、
「あぁ、それ以前ですよ。何だか薄気味が悪くてね。今まで、さんざっぱら、上層部からは嫌われてきましたからね。少将までなれたのも、ヤン提督の付録《オマケ》みたいなもんでしたから」
 それは半分は事実で、半分は虚偽だった。
 確かに上官の覚えは甚だ悪いアッテンボローだったが、軍人としての、指揮官としての能力の高さは何人たりとも認めざる得なかった。士官学校を卒業した少尉任官以後、六年で少佐まで昇進したが、それはヤンのような幾らか偶然に左右された突発的な状況による功績によらず、『地道』な武勲を重ねた結果であるのだ。
 尤も、そこから先は帝国軍との劇的ともいえる急激な戦況変化に伴い、幾つもの階級を駆け上がったのはアッテンボローもヤンに劣らない。

「しっかし、同盟軍もいよいよ人材の川が枯渇ってとこですかね」
 止せば良いのに、ポプラン少佐が雑返す。当然、アッテンボロー少将は黙っていない。
「ほ〜、ポプラン。それはどういう意味だ」
「別に深い意味なんて、ありませんよ、提督っ。本当ですってば」
 何やら、絡み始めた二人は放っておいて、キャゼルヌ少将は後輩を見返した。
「しかし、これが実現なんてことになったら、お前さんにとっては些か、苦しいことになるな」
 ダスティ・アッテンボローは士官学校の後輩で、気の置けない友人ではあるが、別にそれだけで、彼をイゼルローンのメイン・スタッフに望んだわけではない。寧ろ、士官学校時代からの付き合いがあるために彼の他の者には得難い才能も知ることが出来たのだ。
 イゼルローン駐留艦隊・分艦隊司令官アッテンボロー少将は艦隊司令官としてのヤンにとっては、艦隊副司令官のフィッシャー少将と共に絶対必要な片腕なのである。
 まさか、今回の艦隊増設案は本当に自分の信頼する幕僚を引き離し、その勢力を割かんとするために持ち上がった話なのでは……。
 そう考えつき、そんな思考を持つ己とそうさせる事を今までにもしてきた『御偉万』に対し、ヤンは不満を覚えるのだった。



 昼の休憩時間も終わり、彼らは夫々の部署に散っていった。
 例の『ヨタ話』についてはそれ以上は特に話されなかった。
 要塞司令室に戻る直前、僅かだが、空白の時間ができた。副官のグリーンヒル大尉も従卒のユリアン・ミンツもこの時は側におらず、ヤンとアッテンボローの二人だけになっていた。
「ねえ、先輩」
 何処か考え深げな表情で、アッテンボローが声を掛けた。彼は意外と場を弁える人物で、公務の間は決して、この呼び掛けはしない。プライベートでさえ、他者がいる場合は控えることもある。
「何だい、アッテンボロー」
「先の話ですがね。本当に艦隊増設がされて、俺がその司令官に──なんて命令が舞い込んだら、先輩は俺を手放しますか?」
「────」
 それは難しい質問だった。
 ヤンですら、咄嵯に返答ができなかった。
 アッテンボローが他の艦隊の艦隊司令官になれば、当然、ヤン艦隊の分艦隊司令官の座が空いてしまう。この場合、後任が誰であっても、アッテンボロー以上に意思の疎通も易く、作戦を十二分に把握し、的確に判断し、動いてくれる者はいないだろう。ヤンとしては、この後輩を手放したくはないのが偽りのない心情だ。
 だが、彼もアッテンボローも軍人である以上、最終的な命令には従わざるを得ない。
 それに、この話が実現したとしたら、それはアッテンボローにとってはある意味ではチャンスなのだ。
 艦隊司令官は当然、分艦隊司令官よりも権限は大きく、責任も重い。だが、アッテンボローならば、務まるはずだ。多くの人の手を借りながらではあるが、自分でさえ、何とかやってはいるようなのだから……。

 そんな事を考えてはいたが、そのどれもが今、アッテンボローに言うべき言葉ではないように思えた。
 答えあぐねて、真剣に黙り込んでいる先輩の姿にアッテンボローは笑い出していた。
「ア、アッテンボロー?」
「済みません、ヤン先輩。軍隊じゃ、そんな命令が来たら、それで御仕舞ですもんね」
 驚いて見上げる先輩にウィンクしてみせ、よっと立ち上がる。
 丁度、フレデリカとユリアンも此方に戻ってくるのが見え、ヤンも立ち上がった。
「ただ、その時その時で、最善を尽くすしかない──そうですよね、先輩」
「そうだな、我々にできることなんて、その程度のものなんだよな」
 その程度のものが、どれ程難しいかはさておき──……。
「えぇ、ですから、先輩。俺はどんな立場になっても、先輩のためにならないような事だけは絶対にしませんからね」

――最善を尽くして……

「アッテンボロー──」
 鳩が豆鉄砲を食らった顔そのままに、ヤン・ウェンリーは有能な艦隊の片腕を見遣った。
 ヤンの分艦隊司令官はニッコリと笑い、
「俺は恩を仇で返したりはしませんから」
 そして、「行きましょうか」とヤンを促し、フレデリカ達の方に歩いていく。
 ヤンは少しだけ、呆然として、次には肩を竦めた。
 もう一〇年以上前のことだ。士官学校で、先輩後輩の親交が持てるには先輩の側に後輩を信頼させるに足る能力と人格がなければならない。
 アッテンボロー自身や戦死した親友のラップはそうした下級生や多くの同級生に受けも良く、人望は篤かった。だが、ヤン自身にそれがあるとは自惚れても言えなかった。
 居るのか居ないのか分からない、そんな印象の薄い少年だった彼が僅かでも目立ったのは戦略シミュレーションで、優等生のワイドホーンを負かせてしまった時くらいのものだろう。
 そんな冴えない先輩に何故、アッテンボローは今に至るまで、あんなにも好意を示してくれているのか。

 そもそもの出会いの切っ掛けは、或る深夜、門限破り決行中の一年生を周回当番の三年生が発見したことに始まる。
 厳格さを旨とし、当然、門限破りなどという規則違反者を摘発するために行われるらしいパトロール中の出来事だ。規則に従えば、その三年生は不届きな一年生を引っ捕らえ、生活指導に送らなければならないはずだった。そう、はずだった。はずだったのだが、その三年生はそうしなかった。大したことではないという考えと、何よりも、面倒臭かったのだ;;;
 その翌日、当番明けで、些か寝不足気味の三年生の元に、元気な一年生が昨夜の謝辞を述べにやってきた。無論、それがダスティ・アッテンボローであり、思い掛けない感謝の礼を受けたヤン・ウェンリーは戸惑ったものだ。
 あれが親交の始まりではあったが、幾らアッテンボローが当時の生活指導主任を嫌っていたとしても、その程度の事に一〇年以上も恩を感じたりするものだろうか。ヤンからすれば、そんなことで恩を売る気には到底、なれないのにだ。

 ……いや、実際にはそんな事は本当に大したことではないのかもしれない。
 単に気の合う友人同士が出会えた切っ掛けという以外には──そして、それ以上に重い事実なども存在はしない。

知り合うことが出来た、それだけで十分。
今、共に歩くことが出来る、それだけで……。
そして、これから未来《さき》も──……。
そればかりは誰にも分からない。予測はつかない。つきはしない。

―─最善を尽くして……

 だから、その時々だけを懸命に過ごす。正に命懸けで、ずっと、共に歩んでいきたいと思うのは、細やかな願いだろう。
 軍人になんか、なる気はなかった。
 だが、何を間違ったか、軍隊《ここ》にいる所為《おかげ》で知り合えた人々もいる。
 一生、付き合っても良いと思える人々がいる。
 意に沿わぬ戦いでも、戦って、護りたいと思わせる人々がいる。
 それだけでも救われているのかもしれない。

 向こうで、彼の部下や被保護者が呼んでいる。
 少なくとも今いる場所は分かっている。
 だから、今はそこに歩いていくだけだ。

《了》

初出 1994年3月31日発行 『起点』所収



 えー、記念すべき?『銀英伝』処女作にして、『革命戦記』処女作でもありました。自称『革命家』なダスティ・アッテンボロー一押しだったためもあり、表題に何となく?『革命戦記とか振っといて、後にサークル名に昇格した、つーのが裏話とゆーか、真相だったりします。
 まだ、この頃は他の作品で本を出すことになるなんて、考えもしなかったんだよなぁ。シミジミ……。では、例によって、掲載誌のフリートークより編集抜粋☆

 ともかく、輝の一押しアッテンボロー、ってのは『知る人ぞ知る』なのですが、単にアッテンボロー個人にゾッコン☆とゆーのでもないわけです。今回も『アッテンボロー本』を目指したものの、ラストはヤンのモノローグで、『ヤン&アッテンボロー・コンビ本』になってしまいました。
 アッテンボロー個人もいいけど、ヤンと組んでいる時の彼が一番のお気に入りのようです。この二人の先輩後輩・友人関係がいたく×2 お気に入り☆
 そういう感じ方をするようになったのは多分にアニメ版の影響でしょう。特に第一弾映画『わが征くは星の大海』と第一期OVA#1〜2 更には第二弾映画『新たなる戦いの序曲』で描かれた『アスターテ会戦』時の彼らは完全にコンビでした。
 実は原作本編でのアッテンボローの登場は三巻冒頭部で、アニメ第一期相当の一、二巻には登場していません。後に外伝で補完された形になって、登場せずとも存在はしていたことになってますが。アニメ第一期はその補完を絵にしてくれたともいえます。

 というわけで、第一期のアッテンボローは原作の戒めを受けずに、かなり自由な立場で動いています。やたらとヤンと一緒にいて、美味しいポジションなのも動かしやすいキャラだったからでしょう。
 そういう見せ方の中で感じたのは──このお二人さん、相当に図太い! とんでもない精神の持ち主やなぁと再認識した次第。
 その極め付きが証明されている(?と思う)のが#6『薔薇の騎士』より、イゼルローン攻略に出ることになったヤンをアッテンボローが飲みに誘いますが、

「すまないが、アッテンボロー。今度にしてくれないか(云々)」
「OK。じゃ、次の機会に──」

 と、これだけですが、いやはや、「今度」とか「次の」とか言ってるんですから。これはもう二人が二人とも、自分/先輩は無謀な作戦といわれる攻略作戦の成功はともかく、必ず生きて戻ってくるのだと疑っていないのでは? と思われるわけです。
 それどころか、無謀といわれる作戦だからこそ、生還するには作戦そのものの成功という前提があるようにも考えられます。この辺は深読みかもしれませんし、アニメ版のみのセリフですが、原作の二人にも通じるものはあるでしょう。
 とにかく、この点に考え至った時、「怖ぇよ、この二人」とも思った輝です。いかにも、らしいとも思いましたけど☆

 さて、最後に今回の『アッテンボローに艦隊司令官任命の噂!?』のネタは十巻の『もし、同盟が存続していれば、三〇代の内に元帥たりえたかもしれない』というフレーズからの発想。
 それにしても、その後の『日頃、どんなにいい加減に見えても……』てのはあんまりな気がする。っても、否定できないのが泣けるTT(でも、ヤン先輩のこともあって、そう見せていただけとも思うんだけどね)

 にしても、OCRソフト、すげ〜よ★

2006.04.23.

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