PARTNERS〜ベルンハルト・シュネーヴァイス〜(前編)


「ったく、冗談じゃないぜ……」
 残念ながら、我が身に降りかかった災難は本当に冗談ではなかったのだが、俺としては精々が毒づくしかない。
 忌ま忌ましい『査問会』終了後も、お歴々の恩着せがましい、したり顔が未だにチラつき、腹の虫が収まらない。軍事法廷に引き出されなかったのを有難く思え、とでも言いたげな様子だった。

『……の命令は冷静さを欠き、指揮に耐えうる精神状態ではなかったと判断せざるを得ない。よって、シュネーヴァイス少尉によるキーリング大尉の拘束を正当と認め、抗命とは見做さない』
 そこまでは良かったのだが、
『しかし、拘束に及ぶ手段が拙速であり、他の乗員の不安と混乱を招き、協調性を欠いた点は否めない……』

 結果、降格は免れたが、戒告と六ヶ月の減俸処分が言い渡された。プラス、異動だ。畜生、もうすぐ昇進のはずだったのに!!
 何が協調性だ。無茶苦茶な作戦指揮で、部下を必要もない危険に曝すような特攻まがいの戦法に妥協するのが協調だってのか!? 地球上ならば、単身で放り出されても、まだしも、生還のチャンスはあるが、宇宙空間での戦闘では余程の幸運でもない限り、『はい、それまで』なんだぞ。
 そんな事態にならないように、損害は最小限で済むように作戦指揮を考えるのが指揮官の務めではないのか?
 無論、相手《テキ》のあることだし、どうにもならない場合もあるだろう。
 しかし、今回は少なくとも、そんな状況ではなかった。どう考えても誤った作戦に走った場合、翻意を促す、或いは諫めるのが副官や副長の務めではないのか?
「……士官学校じゃ、そう教えられたがな」
 戦場という『現場』では通用しないらしい。信じられんぜっ!!
 上官とは部下への命令権を持つ代わりに、その生命に対しての責任と義務をも有しているはずだ。その最低限の責務を放棄した奴でも、『上官である』というだけで、尚も立てねばならんのか? それこそ、冗談ではない。
 そんな奴に盲従せねばならない謂れなどない。
 軍医でも乗艦していれば、至上命令《ドクターストップ》という方法もあろうが、生憎と乗員数が両の手で済むような艦艇だったのだ。それでも、査問委員がいうところの混乱などもなかった。誰もトチ狂った艇長《ヤツ》との心中なぞ望まなかったし、副長《オレ》を支持してくれた。
 ただ、証言は取ったようだが、証人としては誰一人呼ばれなかった。出せなかったのかもしれない。
 あんな奴でも上官は上官ということか?
 俺なりにたとえ、軍法会議の被告席に立たされても、こちらに非はないと、咄嗟の計算はあった。その計算式はどうやら、不等号計算だったらしい。甘かったとは思わないが、やはり、悔しいな。
 さすがにマジに抗命罪なんぞが成立するよか、遙かにマシだが、本音をいえば、戒告処分にも大いに不満なのだ。

 上層部《うえ》は事なかれ主義のお偉いさん、前線には視野の狭い上官揃い……これじゃ、戦争が長引くのも仕方があるまい。
 『ジオンに兵なし』とレビル将軍は語ったが、別の意味で地球連邦軍とて、似たり寄ったりの状態だ。優秀な人材は開戦直後の『一週間戦争』までで、粗方、喪われてしまった。無論、まるっきりというわけではないだろうが……。
「まぁ、俺だって、人をどーこー言えるほどでもないがさ」
 そう経験も多い方ではないが、ちったぁ、マシな軍人且つ健全な人間のつもりだった。たとえ、下級士官でも、少数でも部下を持つ身としては兵士の生命を消費財とは考えていない。
 連邦はある意味、この物量に甘えているのだ。
 確かに今次大戦でのモビル・スーツ『ザク』の出現はセンセーショルなものだった。しかし、機動兵器の研究開発は連邦軍とて何年も前から、行っているはずだ。ジオンは事これあるを想定し、早期実用化に成功したわけだ。心構えの差だな。
 とはいえ、どんなに強力な兵器でも人間が動かすのだし、MSパイロットの育成は特殊技能の最たるもので、一朝一夕で成るものでもない。前《さき》の『一週間戦争』では連邦だけでなく、ジオン側も甚大な損害を被ったのだ。
 多少の人材の有無は数で補えるものだ。単一のサイド『国家』ジオンと地球連邦軍では圧倒的な基盤の差がある。予備兵力が残る連邦軍の方が有利には違いないが、将兵一人一人に焦点を当てれば、皆が一つの命しか持たない一個の人間なのだ。
 後から後から、兵力をぶつければ、ジオンは消耗し、何れは揉み消せるだろう。だが、この戦略こそが兵士を消費財と見ている証でもあろう。その上、作戦がスムーズに進まず、ミスが重なるとなれば、余計な流血が生じるは必定だ。
 血を流す側からすれば、迷惑この上ない。お偉方には代替えが効く命でも、こっちにとっては失くしたら最後なのだから。
 ともかく、基盤の違いが、じわじわと戦場にも影を落とす。
 あーんな上官や指揮官ばかりでも多分、連邦が勝てるだろう。
「何だか、ジオンの皆さんが気の毒に思えてくるぜ」
 馬鹿げた仮定だが、同じ条件下で一対一の用兵を競わせたら、十中八、九はジオンの指揮官が勝つんじゃなかろうか? 
 だが、条件は違う。人材以外の物量も違う。膠着状態が続いて、半年以上──ここまできたら、勝つはずだ。勝てるのが当然だ。勝てなきゃ、おかしい! それはそれで、戦略の結果ではあろうが、勘違いも甚だしく、驕る連中の方が多いだろう。それが怖い。

 上官は選べない。勿論、そんな連中ばかりではないが、信頼できる上官は極めて少ないのが事実。それは仕方がない。
 今次大戦は地球連邦軍にとっても、初めての組織的作戦行動を伴う『実戦』だったのだ。それまでの『演習』は勿論、警察行動に毛の生えたような鎮圧作戦などとも訳が違う。
 机上の理論しか知らなかったところに、現実の戦闘に接して、命の危険に曝され、冷静に行動できるか? となると、やはり、難しいのだ。人間の精神はそう強くはない。
 ただし、それだけは敵も同じ条件にあるのだが……。

 何にせよ、俺は一介の下級士官にすぎない。部下も持つが、上官だって付いて回る。それが軍人というものだ。
 それにしても、この先、俺は尊敬するに足る、従属するに足る、信頼するに足る上官を果たして、戴くことがあるんだろうか?
 どぉーお、考えても望み薄、だな。
「……やっぱ、ろくでもねぇ」
 口汚いのは承知の上だ。



 新任地は宇宙ではなく、何と地球──地球連邦宇宙軍士官が地上勤務とは!? 懲罰のつもりかよ?
 サイド生まれのサイド育ち、生粋のスペースノイドである俺には自然の重力はどうにも馴染めるものじゃなかった。
 そうして、些か不調であるものの、オデッサ作戦に駆り出された。
「ったく、美事《みごと》な戦死を遂げてこいってのかぁ?」
 そこまで、重要人物扱いされているわけでもないだろうがな。
 仮にそんな思惑があるとしても、当然、乗るつもりもない。小隊指揮官として、しっかり生きのびてやったのだ。そこそこの戦果も上げたので、文句もいえまい。
 ただ、俺如き一士官とは関わりのない、一寸した『噂』の戦闘部隊の存在を小耳に挟んだのも、この作戦時だった。
 連邦軍初のモビル・スーツ実験艦の噂は以前から流れてはいたが、ホワイト・ベースとRXシリーズの姿を多くの将兵がこの戦闘で目撃したのだ。中でも、ガンダムというMSの働きは目覚ましく、『南極条約』を侵犯したジオンの水爆を破壊したのも、そのガンダムという機体らしかった。
 残念ながら、その雄姿を俺が見るには多少の時間を必要とした。

 オデッサ作戦以後、俺はジャブローに配属された。
「地上どころか、今度は地中かよ。モグラじゃあるまいし──」
 いつになったら、宇宙に帰れるんだか。早く帰りたい。
 ジャブロー勤務は全く、生理的に受けつけなかった。重力は無論だが、地球にいながら、『空』がない! 地上では本物の空が広がっている。コロニーとて、雲を流し、『空』の雰囲気を醸し出している。ここにはそれさえもないのだ!?
 それがどんなに人間の精神に圧迫を与えるか、解っていないのか、ここの連中が鈍感なだけなのか……。何にせよ、信じられん。だが、ジャブローの正確な位置は敵には知られていないので、下手に地上には出られない。
 忙しければ、気も紛れようが──悲しくなるくらい暇だった。
 何重もの防御線に囲まれた地下基地ジャブロー。既述の通り、正確な目標を捕捉しきれないジオンは効果的な攻撃をできずにいるのだ。『定期便』などと揶揄される空爆はあるが、既に日常と化していて、反応は鈍い。とにかく、弛みきっている。
 それでも、地上防御線では戦闘になるが、基地内部は本ットにこれで良いのか? と疑うほどになのだ。
 別に戦いたがっているわけじゃない。殺し合いなど、しないで済むのなら、それに越したことはない。
 だが、仮にも現在は戦時中のはずではないのか!? 地球各地、地球圏各宙域の各戦線では苦闘を演じている将兵が数多《あまた》いるというのに、その司令本部に漂うこの雰囲気ときたら!
 苛立ちの要因は司令本部の余りの反応の鈍さ、対応の遅さだった。本気で戦争終結に向けて努力するつもりがあるのか、否か。ついつい、疑ってしまう。
 それはオデッサ作戦がこの戦争に勝利するために展開される一連の戦略の一端であるのは承知しているのだが、もしや、と。
 今この時点でも、死と同衾している者たちがいる一方で、俺はノホホンと暇を持て余している。
 それが歯がゆくもあり、申し訳なくもある。自分で望んだわけではないからこそ……。
「あいつらは無事かなぁ」
 あの艇の乗員は全員が艇長よりも副長を支持してくれた。まさか、それがマイナスに働いたりはしないだろうが、彼らも何処かの戦場で命を張っているかもしれない。
 そう考えると余計、苛々するし、同時に気が滅入る。
「…………飼い殺しにでも、するつもりかね?」
 単に人事が浮いているだけかもしれんが……。とゆーか、大有りの可能性だろう。
 それならそれで、忘れられてるってことかぁ?
「勘弁してくれよ……」
 いかん、沈没しそうだ。


 その退屈な日々に変化が訪れた。
 噂のモビル・スーツ母艦ホワイト・ベースが入港してきたのだ。
 それにしても、オデッサ作戦終結から、半月ほどは経っている。
 途中、ジオンの追撃を受けたとはいうが、エラくトロいな。宇宙艦でありながら、大気圏内飛行ができるとは驚きだ。それ以上に、はっきりいって、ムダとも思えるが……。
 宇宙航宙と大気圏内飛行とではエンジン原理が全く異なる。双方のシステムを兼ね備えているとは、いかにも汎用MS実験艦という趣ではある。要するに、全てがMSの運用及び戦術実験のためなのだろう。
「ミノフスキー・クラフトの研究試料にはなるさ」
 とは、知り合いの技術士官の弁。
 そりゃまぁ、あれだけ、ドでかい物体を飛ばせるだけのシステムなら、基本性能は向上し、応用も利くだろう。結局はデータデータか。しかも、実戦で収集とは。その分、リスクも大きいだろうに、クルーには気の毒な話だ。
 興味は尽きなかったが、そのMS実験部隊という性質上、機密中の機密扱いである特殊部隊に等しく、俺如き一下級士官が直接、接触するなどは許されるはずもなかった。
 病んだ艦体を工廠部隊が昼夜兼行で修理にかかるが、その影すら踏ませて貰えない。ただ、遠くから、その艦影《シルエット》を眺めて、“ペガサス級ホワイト・ベース”と命名された所以に納得した。
 それから、クルーについても別ルートから僅かな情報を仕入れられた。(まだ、日は浅いが)付き合いのある看護兵のジャニスがWBクルーの健康診察に携わったのだ。
 勿論、診察データなどは漏らせるわけがない。尤も、そんなもんには興味がないから、俺も聞く気はない。
「とにかく、若いのよ。大半が十代なんですもの。驚いたわ。中には4歳6歳8歳なんて、本トに稚ない子までいるのよ」
 サイド7での難民がそのまま、クルーとして軍に組み込まれたとの経緯は戦後に広く知られることである。
 とにかく、メカニックや機関要員には幾らかベテランもいるそうだが、モビル・スーツ・パイロットら戦闘要員、操艦クルー、そして、信じ難い事実《こと》に指揮官までが十代だというのだ。
「そりゃま、確かに年齢は関係ない、とはいうけどなぁ」
 経験は年齢にある程度は比例する以上、決して無関係ではない。
「どんなに年長でも、19ってことだろう?」
「みたいよ。私は顔を合わせてないけどね」
 その上、その指揮官が元は訓練生で、入軍一年未満の士官候補生だったと知るのも戦後である。その時の驚きも相当なのだが、さらに驚くべきは俺がその指揮官とある関わりを持つようになる、という点だ。ただし、生憎と神ならぬ人の身、未来を予見できるはずもなく、この時点ではそんな未来《こと》は知る由もない。
「きっと、よっぽど、有能なんだろうぜ。モグラさんに化けてる俺なんかとはエラい違いだな」
「こ〜ら、卑屈になるなんて、らしくないわよ」
 グチって、盛大に嘆息する俺だったが、鼻をギュッと抓まれ、瞬間的な痛みに飛び上がった。
「ひっでぇなぁ」
 赤くなった鼻をさすり、口を尖らせると、ジャニスはコロコロと笑い転げた。
 鬱屈した今の俺にとって、彼女の笑顔が何よりの精神高揚剤だった。


 未来予知力はないが、後にこの時を振り返ってみると、中々に運命的な邂逅──なわきゃないが、結構、インパクトのある光景に遭遇するのだった。
 俺は作戦会議場のセッティングに駆り出されていた。必要な器材と資料の用意程度だが、時間内に手早く終えねばならない。
 当然、会議が始まったら、外に追ン出されるに決まっている。
 追い出されない将軍連中が集まってきた。きらびやかな肩章や徽章をやたらと飾りつけ、肩を怒らせているが、俺には一文の価値もなく、尊敬に値するものでもない。
 戦場を知らない名前だけの将軍ども。こいつらの穴開きバケツみたいな戦略構想のために、一体全体、どれだけの……!
 心中で思いっ切り、罵倒しまくっていた時だった。
「え…?」
 一人の士官が入室してきた。それだけなら、気にも留めなかった。最初は後から追加資料でも届けにきたのかと思ったからだ。その若い士官は無論、将軍ではなく、連邦宇宙軍の一般士官服を着用していたのだ。
 だが、次の瞬間、俺は目を疑った。将軍たちに向かって敬礼を施した士官は躊躇することなく、円卓に着席したのだ。
 何でだ! どーゆーことだ!?
 階級章は──中尉っ!? 一瞬、誰かの副官か何かかとも思ったが、他に副官らしい下級士官も見えない。大体、彼は一人で現れたし、会議の座に着いている。
 将軍連中も咎めたりはしない。つまり……。
 俺は少々、混乱してしまった。
 他の設営要員に促され、作業を続けたが、ついつい、目はその士官に向けられてしまう。
 年齢は俺(21)と同じくらいか? うぅ〜む。別に昇進に焦っているわけでもないが、何もなきゃ、俺だって、今頃は……。
 しかし、俺もジャブローはそう長くはないが、見かけない顔だ。大体、こんな作戦会議に出席できるような下級士官なら、話題に上るだろうに。最近、着任したのか?
 とか考えて、ハッと気がついた。
 条件にピッタリと合う士官が一人いると……。
 まさか──じゃなくて、ひょっと──しなくても、あの噂のホワイト・ベースの指揮官かぁ!!
 あんまり、マジマジと凝視《みつ》めたので、視線を感じたのか、資料に目を通していた中尉が顔を上げた。
 慌てて、視線を逸らしたので、俺だとは気づかなかったと思うが、チラリと横目で確認すると、微かに眉を顰《ひそ》めたように見えた。一瞬、バレたかな? と思ったが、彼はまた、資料に目を戻した。
 理由もなく、ホッとすると同時に少し、落ちつく。慌てる必要もないはずだと、思いついたのだ。
 しっかし、一見した限りではとても、ハイ・ティーンには見えない。なんつー、落ち着きようだ。俺より上にも見えかねない。戦場では年齢が最重要の意味を持たない場合も確かにあるのだと、改めて、認識させられた思いだった。
 最初から、そうだったわけでもなかったはずとはこの時は考えもつかなかったが、じっくり観察する余裕もなかった。会議が開始されるので、予定通り、余計な連中は追ン出されたのだ。
 いつもなら、それで終いだ。会議室を出た瞬間──どころか、最初から興味は失せてる。どうせ、形ばかりの会議が殆どだ。
 その後まで、室内《なか》の様子が気になるのは初めてだった。

 気にしたところで、どうにもならないのも承知の上だが……と思ったが、意外な機会が訪れた。さらに必要な資料を届けるように命じられたのだ。
 珍しくも緊張しながら、扉の前に立ち、入室許可を求めた。
 返答があり、扉が開く。が、立ち合いを許された高級将校が全身で、俺の視界を塞ぐように立っていた。入室不許可らしい。無言の促しに、資料を渡す。
「御苦労」
 無愛想な一言だけで、将校は踵を返し、その背中を覆い隠すように扉が閉じられていく。
 だが、その数瞬だけでも、室内を垣間見ることができた。
 正確にいうなら、目的とした、あの若い士官を──……。
「ノア中尉、作戦に変更はない」
「しかし、現状のままでは……」
 一瞬だったからこそ、その表情までが明瞭に見えたのだろう。
 続く言葉は冷たい無機質的な扉に拒絶されてしまった。
 それでも、俺には十二分すぎた。
 奇妙なほどに新鮮で、強烈な印象が胸中に残った。
 噂通りなら、俺より2,3歳は年少のはずだ。
 それで、中尉とは驚きだが、それ以上に一艦の指揮官であるという事実は衝撃的ですらある。ペガサス級艦艇の艦長ならば、中佐、大佐が順当だ。恐らく、考えもつかない非常事態が生じたのだろう。それでも、指揮権を認められたのなら……、
「少なくとも、俺よか、遥かに認められてるってわけだな」
 比べるのも、おこがましいかもしれないが。
「確か、ノアって」
 ホワイト・ベースの指揮官について、俺が知り得たのは結局、推定年齢と官姓名(の一部)だけだった。

 ホワイト・ベースを追って、遂にジャブローの出入口を突き止めたジオン(さすがに優秀だわ)のモビル・スーツが侵入し、何とジャブロー内で、攻防戦が展開されたのだ。
 『定期便』に呼応した地下戦闘はかなり、厄介なものだった。下手をすれば、落磐を招きかねない。
 敵さんにそれを狙われたら、お手上げだったが、俺たちも必死だ。岩の下敷きにされては堪らない。
 奮戦の甲斐あり、いわば、波打ち際で撃退することができたのだ。
 その直後、WBは宇宙へと戦場を移していった。
 大気圏離脱能力を有しているのもまた、驚嘆すべきだが、俺は羨望を禁じ得ずにはいられなかった。
「──宇宙、か」
 心底、羨ましい……。

(後編へ)


なかがきとして

 本作品はオリ・キャラ大暴走本『PARTNERS』より、間違いなく最大の人気を誇るベルンハルト・シュネーヴァイス──スノー登場編です。既刊本への初登場はその前の『BSC』ですが、年代ではさらに溯っています。ただ『PARTNERS』自体がそれなりに絡みあった四部作から成っているので、本作品だけでは把握しにくいところも多々あるでしょう。できる限り最低限の手直しはしましたが、できれば、既刊を読んでいただきたく……(ゴニョゴニョ@@;)
 既存作品は山ほどあれど、いざとなると、サイト・アップは難しいですねぇ。今回、思い切ってのUpはスノーというキャラを気に入り、あまつさえ、御自身のお気にキャラ・マサキとブライト、ミライらと共演させて下さった入江さんのおかげでしょう。
 ややこしいけど、スノーには『PARTNERS』の流れの『PLUS』と別バージョンの『MINUS』があり、入江さんは『MINUS』設定で書かれています。微妙な食い違いはそのためです。

2002.03.05

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