修 行 星矢は何かというと、私の指導に文句を垂れる。全く、出来の悪い弟子《ガキ》で、今日も走り込みをさせたら、ブーブー煩いッたらなかった。 ところが、帰ってきた時は妙にやる気になっていた。理由は直ぐに知れた。 「アイオリアが?」 「うんっ。いいよね、魔鈴さん!」 途中で会ったアイオリアが明日、稽古をつけてくれるという約束をしたと、目をキラキラさせて言ってきた。 私が相手ではブータレるくせに、アイオリアだと、お目目キラキラってのはどういう了見だ、こいつ。口許を歪めつつ、その後はキッツ〜ク揉んでやると、夕刻過ぎにはバッタリ倒れ込んでしまった。全く、基礎体力がまだまだだね。 この後、夜の訓練を行うことも勿論、あるが、星矢には明日のアイオリアとの約束がある。折角、格の違う奴とやれるのだから、万全の体調で臨ませてやることにした。 どう頑張ったって、拳の一発も入れられる相手ではないけど、飛び抜けた実力者の動きを目の当たりにするのは必ず星矢の血肉になる。星矢は体で覚えるタイプだから、尚更だ。
夜も更けて、星矢は疾うに夢の中だが、聖域が完全に眠ることなどはない。宿直番もいるし、夜間訓練に勤しむ聖闘士、雑兵に至るまでが聖域の其処彼処で活動しているのが判る。 それでも、聖域の殆どが寝静まった頃、十二宮に静かなる変化があった。その中腹辺りから小宇宙が上がり、守護結界が強化されたのが判った。尤も、小宇宙の探知に敏感な者でなければ、感じられないかもしれない。 十二宮の守護者ならば、それは黄金聖闘士に他ならない。その小宇宙だというのに、これほど静かなものだとは普通は考えられないだろう。 密やかな儀式は月に一度、大抵は満月の夜に行われるけど、今月は数日、遅れた。任務に出ていたようだけど……。 「……? 少し、揺らいでいるね」 少しだけ、それが気になり、家の外に出る。だからといって、それ以上の何かが掴めるわけでもないけど──不意に傍らに湧き上がるように小宇宙を感じた。強いが、十分に制御された知っている小宇宙……。 「蠍座《スコーピオン》か?」 「よく判別ったな、鷲座《イーグル》」 闇の中から姿を現したのは私より幾つか年上の青年だった。 「判るように小宇宙を上げただろう」 「まぁな。だが、お前は俺が示すよりも先に、感知しただろう? 白銀《シルバー》にしちゃ、大したものだ」 「それはどうも。で、用件は何? スコーピオンのミロ」 上から見下ろすような高慢な口調は別に気にならない。彼にはそれだけの実力がある。何しろ、十二人しかいない、我ら聖闘士の頂点に立つ黄金聖闘士の一人なのだから! 「明日、アイオリアがお前んとこのガキに稽古をつけてやるんだってな」 「えぇ、まぁ。そんな約束はしたらしいけど」 乗り気になっているから、相手をさせてやるつもりでいるのに、やめろとでも言いに来たのか? 蠍座様がわざわざ、こんな時間にこんな場所にまで出向いてくる理由が思い当たらない。あるとしたら……。 「アイオリアがどうかした? さっき、結界強化の小宇宙も少し、揺らいでいたようだけど」 暗がりの中でも、スコーピオンが目を瞠ったのが判った。 「そこまで、感知できたのか。本当に大した奴だな。あいつが昨日まで任務に出ていたのは知っているか?」 「えぇ、それくらいは」 「あいつ、怪我をして帰ってきたんだ」 「怪我? 星矢は何も言ってなかったけど……」 とはいえ、あのアイオリアが負傷していたとして、星矢如きに悟らせるはずもないか。 「でも、自分から星矢に稽古つけてやるって言い出したみたいだし……酷くはないのだろう?」 我ながら、少々、冷たいかな、と思わないでもないけど、それよりも信頼の方が強かった。大丈夫だと判断したからこそ、アイオリアも星矢と約束したのだろうし。 「多少の怪我でも、まだまだ星矢にはアイオリアに拳の一つも叩き込めるはずはないからね」 「まぁ、な。確かに怪我というほどではないかもしれんが……」 すると、スコーピオンはカリカリと頭を掻き、溜息をついた。 「昨日までのあいつの任務な、キマイラ退治だったんだ」 「キマッ…!? あの魔獣を独りで?」 ついつい大声を上げかけた私は寝ている星矢を思い出し、言葉を飲み込むと、スコーピオンに歩み寄り、声を顰めて尋ねる。 スコーピオンは神妙そうに頷いた。それで、彼がわざわざ出向いてきた理由が判った。 「それじゃ、怪我というのはキマイラの毒に?」 「あぁ。勿論、自分でヒーリングはしたらしいし、監視でついていたシュラも手当したから、命に別状があるわけじゃないがな」 大体の経緯は私にも呑み込めた。アイオリアを取り巻く現状というものも──それが私を不愉快にさせる。 「山羊座《カプリコーン》のシュラがね……。キマイラ相手に独りで戦うアイオリアを黙って見ていたわけか」 声に険が籠もってしまった。スコーピオンが眦を上げる。 「何が言いたい?」 「別に。ただ、キマイラの相手は平気で独りでさせるのに、星矢に稽古をつけるのを心配するなんて、滑稽だな、ってね」 「イーグル」 「あんたはアイオリアが任務に出る前から、その任務の内容を知っていたんでしょうが」 「それは……」 「それでも、独りで行かせたし、共に行くとも願い出なかったんでしょう」 打たれたように、体を揺らしたスコーピオンが唇を噛みしめた。悔しそうに……。 その姿に苦い思いを味わうのは私も同じだ。言いたいことを言っているだけだ。私なんか、アイオリアがどれほどに厳しい任務を果たしているかなどは、いつも後から知ればまだ良い方で、知らぬままでいるのが殆どだ。況してや、絶対に前もって知ることなどはない。だから、こんな勝手なことも言えるだけなのだ。 もし、スコーピオンのように、先に知ることができたなら──何が出来る? いや、何も出来るはずがない。 同じように、ただ、アイオリアの無事を祈り、戻ってくることを信じてやることしかできない。 本当はスコーピオンだって、そんな危険な任務にアイオリアを独りきりで送り出したくはないはずだ。知ることに出来る立場にありながら、友人のために何一つ出来ない悔しさを、彼は毎度毎度、味わわされているのだ。 「……済まない、スコーピオン。勝手を言い過ぎた」 「いや…、いいんだ」 いいわけがない。好き勝手を言う私にぶつけたい文句は一つや二つではないはずだ。 たとえ、スコーピオンがアイオリアへの協力を願い出ても、それが認められるとは到底、思えない。そのために、教皇の中にスコーピオンへの疑念でも生じたとしたら──そんなことをアイオリアは決して、望まない。 それが解っているから、スコーピオンも決して、共に行くとは言わない。 もう一つ、スコーピオンが嘆息するのを見て、私も気持ちを切り替える。 「それで? 明日の稽古を止めさせいたとか」 「いや、そこまでは。ただ、あまり無茶をさせないように注意してくれればいい」 「無茶ったって、あの星矢相手で、無茶するほどのこともないだろうに」 心配のしすぎだと思ったが、 「そうじゃなくて、その後だ。イーグルの弟子にアイオリアが稽古をつけると聞きつければ、寄ってくる奴らもいるだろう」 「あぁ、そういうことか」 納得した。アイオリアの立場──獅子座の黄金聖闘士であることは聖域では殆ど知られていない。余程の高位の神官か、聖闘士でも黄金聖闘士のみか。白銀聖闘士に過ぎない私が知ってしまったのは偶然でしかない。 アイオリアを称するものは何よりも“逆賊の弟”──この一言に尽きる。アイオリア自身を何一つ評価しようとせず、硬直的に蔑み、侮る。そういった者が如何に多いことか。 けれど、そうではない者も僅かではあっても存在した。誠実で実直な性格と、聖闘士としてのその姿勢──“銘”は明かさずとも、如実に示す在り様を慕う者が少しずつでも、増えていっている。 アイオリアの兄の叛逆を直接には知らない幼い連中──聖闘士候補生や若い雑兵の中から、アイオリアに自ら近付く者が現れている。 勿論、アイオリアは“逆賊の弟”たる己の立場を誰よりも弁えており、自分の周りに人が集まることを歓迎してはいない。色々と理由をつけては追い払っている。 聖闘士候補生には『師匠の許可がなくては指導はできない』というのも、その一つだ。幼い候補生はともかく、その師匠連中ともなれば、当然“射手座のアイオロスの叛逆”を知っている。 その弟に自分の弟子を近付けたいとは考えない。中にはアイオリア個人には悪感情を持っていないまでも、やはり“逆賊の弟”に弟子を近付けることで、余計な軋轢を生むことを避けようとするのだ。 ところが、弟子の方はそんな師匠の心なぞ知らず、目を盗んではアイオリアの元に通ったりするから、中々に笑える。 「なるほどね。話は解った。でも、余り当てにはしないで貰いたいな」 理由をつけて、追い払っても、それ以上の理屈を通されれば、溜息交じりにでも引き受けてしまうのもアイオリアだ。 「お前が留意してくれていればいい。それだけでも、安心できる」 「……色々と、気苦労が多いようだな。スコーピオン」 「言ってくれるなよ」 苦い表情を年若い黄金聖闘士は隠さない。格下の、白銀聖闘士如きの前で、そんな表情を曝すなぞ、この自尊心の高い蠍座の黄金聖闘士にあるまじき醜態だろうに。 それだけに、苦境に在り続ける友人を見ているだけというのが喩えようもない懊悩《おうのう》の所以なのだろう。 「それじゃあな。こんな時間に押しかけて、悪かったな」 「別に、らしくもない気を遣うこともない」 「らしくもないって、あのなぁ」 「だって、本当は白銀聖闘士《わたし》如きがアイオリアと、まるで対等のように付き合うのは面白くないんでしょうが」 「…………」 面白いように顔に出る奴だ。これで、聖闘士最高峰の黄金聖闘士? 尤も、実際に任務に出れば、どこまでも冷徹に徹するのが蠍座の黄金聖闘士だという話だ。 「安心しなよ。私はちゃーんと、分を弁えているから」 ヒラヒラと手を振り、私は家の中に戻った。 どんな表情で、見送っただろうか? その蠍座の黄金聖闘士の小宇宙も、程なく消えた。 気が付けば、十二宮から上がっていた、あの静かなる小宇宙も既に収まっていた。 ☆ ★ ☆ ★ ☆
翌朝、星矢は元気一杯で煩いくらいだった。私は少々、寝不足だというのに。スコーピオンとの会話の後、直ぐ床についたが、どうも寝付けなかったのだ。 アイオリアとの約束は時間までは決めていなかったらしいが、いつも、こんなものだ。そこらで適当に扱いていれば、アイオリアの方からやってくる。 待っている間の星矢はソワソワしていて、どうにも気に入らない。初デートの相手を待っているわけでもあるまいし──アホらしい連想に腹が立って、思いっきし、星矢を蹴り飛ばしてしまった。面白いくらいに、派手に吹き飛び、鞠のように転がる。 「イテテテ★ 酷いよ、魔鈴さん」 「諸に喰らっておいて、何言ってんのさ。少しは避けな」 「チェーッ」 パンパンと誇りや砂を払いながら、立ち上がる星矢のボヤキに軽快な笑い声が重なった。 「ハハハ、相変わらずだな、お前たちは」 「──アイオリア!! 遅いよ」 「悪い悪い。待たせたかな」 いつもと同じ、穏やかな微笑を浮かべて、歩み寄ってくるアイオリアには負傷の気配などはない。スコーピオンから聞かされていなければ、私も何も気付かずにいただろう。昨夜のような、小宇宙の揺らぎも全くないのだから。 「魔鈴、どうかしたか?」 「いや、別に。それじゃ、宜しく頼むよ。精々、揉んでやって」 苦笑いするアイオリアは周囲を飛び回る星矢の肩を叩き、招くと、手合わせを始めた。
星矢の目はもうアイオリアにしか向けられていない。 日本人だからとか──それが何? と言いたくなるような理由で、私たちも目の敵にされることは多く、気を許せる相手など殆どいないに等しい。 尤も、戦士たる聖闘士を育てるのに、仲間ごっこなどの甘えは必要ないのだという考えもある。幾ら、個で戦うのが宿命ともいわれる聖闘士とはいえ、協力し合うことがないわけでもないものを。 そんな中で、浮いた者同士が歩み寄るのも当然といえば、当然だった。 星矢にとって、アイオリアは『兄貴』みたいなもので、慕っているのも頼りにしているのも、私以上に聖闘士としての目標にしているのも間違いはなかった。 「……別に、いいけどさ」 相手がアイオリアではライバル視するだけ、馬鹿みたいだ。私自身が彼の“銘”を知っているためか、やはり聖闘士としては尊敬の念を持っているためもあるだろうが。 それなら、何も知らないくせに、アイオリアに好意を持てるんだから、あの馬鹿は案外に目が高いのかもしれない。 「あ、やってるやってる」 「やっぱり、本当だったのか」 暫くすると、周囲が喧しくなってきた。 「来たか」 スコーピオンが案じていたように、噂を聞きつけた連中が集まってきたようだ。アイオリアが他者に積極的な指導を行うことは許されていないためもあり、こういう機会を逃すまいと注意しているようだ。 闇雲にアイオリアに突っかかっていった星矢が当然のように、躱されて、つんのめる。顔から地面に落っこちて、低い鼻が更に低くなったんじゃないか? 「あの、馬鹿……」 相手が相手だというのに、普段以上に何も考えずに突っ込んで、どうしようってんだよ。 「大丈夫か、星矢」 「イッテ〜、鼻打ったぁTT」 「おいおい、両手が塞がっていたわけでもないだろうに、庇うくらいはしろ。それじゃあ、直ぐに次の動作に移れないぞ」 「う〜〜」 唸ってないで、ちゃんと聞いてんのかね。あの馬鹿は。 そこに、集まってきた連中が駆け寄る。 「アイオリアさん! あのっ、俺たちにも手合わせをお願いしますっ」 「あぁ…。師匠からの許可は得ているのか?」 アイオリアは一人一人に確認を取る。それもきちんと文書を認《したた》めさせてくる。 「……これは、師匠の書いたものではないだろう」 「いえっ、それは、その……」 「残念だが、許可がないと、指導はできない。解っているだろう?」 「でっ、でも! 俺どうしても、アイオリアさんに──」 「今回は諦めてくれ。許可さえあれば、指導はするから……」 そんな会話を何人かと続けている。結果、指導する相手は数名まで減った。それでも、許可を出した師匠が私の他にもいるというだけでも、随分と変わったものだ。 それもこれも、アイオリア自身の努力の賜物というものか。 「……あれだけ、日頃の鍛錬に精練すればねぇ」 任務の内容は知らずとも、厳しい任務を成し遂げていることも何となくだが、噂されているのだから。 断られても、帰る者はいなかった。直接に指導を受けられなくとも、その鮮やかな動きは見るだけでも価値は十二分にある。キマイラの毒に中てられたとは全く思えない動きだ。 「凄いな」 「やっぱり、直接、手合わせして貰いたいなぁ」 諦めきれない連中もいるようだ。 「何だよ、あいつら。俺とアイオリアが約束したのに」 割り込まれたとプンスカ怒る星矢が訴えかけてくるが、私はスコンとその頭を叩いた。 「なっ、何だよ、魔鈴さん! 何で、叩くんだよっ」 「喧しい。キャンキャン喚く前に、ちゃんと見てな。他の奴との手合わせを見ているのも勉強になるはずだよ」 星矢は黙り込んで、他の候補生を指導するアイオリアを凝視した。そして、ブツブツと口の中で呟き出した。文句でも言っているのか、と眉を顰めたけど、そうではなかったようだ。星矢なりに、アイオリアの動きの先を読もうと頑張っているらしい。 尤も、アイオリアが本気で動いたら、とても私たちの目では追いきれないだろうけどね。 今のアイオリアの動きは手加減をしているわけではなく、単に指導する者としての動きに徹している。余裕をもって、指導相手の動きに合わせて、絶妙のタイミングで──……。 「……汗?」 不意に額が汗ばんでいるのが目に入った。あのアイオリアが汗をかいている。聖闘士候補生の十人足らずを相手にしただけで──やはり、キマイラの毒は侮れないということか。 「よーし。それじゃ、次の……」 「アイオリア。この辺で、小休止を入れたら?」 順番待ちの人数は時間と共に、数人ずつ増えてきている。何だかんだで、アイオリア個人は十二分に他者に慕われる美点を幾つも兼ね備えている。 キリがないので、私から促してみたのは本調子でないのなら、大事を取るべきだと思うからだ。けれど、アイオリアはスコーピオンが私のところに来て、キマイラの件を話したことも知らない。当然、 「いや。時間が惜しい。許可のある者たちは全員、見てやりたいからな」 「でもね……。あー、そう」 とっとと諦める。済まん、スコーピオン。やっぱり、私などには止められないわ──などと、心中で謝った時だった。 練兵場の一角が俄かに騒がしくなった。理由は直ぐに知れた。全ての人の目が集中する。 アイオリアも動きを止め、そちらを見遣る。 これでもかというほどに、示威を示す強い小宇宙……。 陽光を弾く美しい金色の聖衣が人垣の割れた中に立っていた。 何とも派手な登場をかました黄金聖闘士がこちらに、いや、アイオリアの元へと歩いてくる。 わざとやっているのは見え見えだが、私が止められなかったからか……。 「ス、スコーピオン様。如何されましたか」 「何、たまには聖域の見廻りと、練兵の様子を閲《けみ》してみようかと思ってな」 「そっ、それは有り難いことで──」 黄金聖闘士とはいえ、自分の子供のような年の青年を相手に、両手を揉み出すんじゃないかと思えるほど、下手に出ているのには笑えるが、気の毒なことに蠍座《スコーピオン》のミロは全く相手にしていなかった。 「しかし、そういう時に限って、妙なものを見かける」 スコーピオンはアイオリアの前に立った。冷笑を端正な面に貼り付かせて……。 アイオリアは当然のように、黄金聖闘士に対する礼を取る。スコーピオンの目が険しくなったことは誰も気付いちゃいない。当のアイオリアと私くらいなものか。 けれど、今の、『黄金聖闘士ではないアイオリア』が蠍座のミロに礼を取るのは当たり前の行為《こと》だ。 尤も、頭では解っていても、腹立たしいのだろう。そうせねばならないアイオリアの立場──即ち、そうさせる聖域の思惑。そして、屈辱であるはずが平然としているアイオリアも……。 だから、半ばは腹いせに違いない。 「逆賊の弟が、これほど人を集めて、何をやっている? よもや、聖域に対し、良からぬ企てでも目論んでいるのではあるまいな」 「なっ! 何だよ、それっ。アイオリアがんなコトすっかよ!!」 声を荒げたのはうちの馬鹿弟子だ。全く、相手が誰だか解ってんのかね。あー、解ってないんだろうな。 スコーピオンは視野の下の方でピョンピョン跳ねて、抗議する星矢《ガキ》を一瞥はしたが、相手にはしなかった。ただ、少しだけ目を眇めたのが気になった。 直接に対するのは当然、アイオリアだ。 「そう取られても仕方があるまい。お前の兄の、あの恐るべき謀叛を直接には知らぬ幼い連中を手懐けようとは……中々どうして、そつがないな」 アイオリアは目を伏せ、何も抗しようとはしなかった。スコーピオンの真意を、彼は正確に読み取っている。 読み取りようのない連中はスコーピオンの言葉の上っ面だけ解して、慌てている。自分たちに叛意ありなどと疑われるのも心外だが、相手が黄金聖闘士では何も言えない。 そして、それは事実の一端ではある。逆賊の弟──アイオリアの周囲に人が集まることを懸念する向きは以前から漂っている。 だからこそ、アイオリアが許可なく指導を行うことは絶対にないのだが、いつかは、それさえも禁じられかねない。 「身のほどを弁えろ」 言うだけ言うと、スコーピオンはマントを翻し、歩み去った。アイオリアの返答など、求めている様子も見せなかった。……役者だね。 スコーピオンの真意は別のところにある。けれども、同時に“忠告”でもあるわけだ。勝手に寄ってくるとはいえ、人を集めることで、周囲を刺激するな、という。
収まらないのは星矢だけで、他の連中は顔を蒼くも白くもしている。 そんな連中にアイオリアが告げた。 「今日はこれまでにしよう。皆、済まなかったな」 「何で、アイオリアが謝るんだよ! 悪いことなんか、何もしてないだろう!? あいつが──」 「いいから、黙ってな」 余計に拗れるだけだ。私は星矢の口を塞ぎ、アイオリアを見返した。 「あ、あの…。アイオリアさん」 「御指導、有り難うございました」 「いや……」 汐が引くように離れていく候補生達を、アイオリアは言葉少なに微笑み、見送った。 「……次は、何人来るかな」 「この馬鹿の面倒は見てほしいね」 手を離さずにいると、フガフガもがいている。その余りにも間抜けた様にアイオリアは吹き出した。 「離してやらんと、窒息死するぞ」 「おっと、いけない」 「プッハ〜★ 酷いよ、魔鈴さん!」 「ちょっと、息止めるくらいが何だい。そんなんじゃ、ポセイドンの海闘士《マリーナ》を相手できないよ」 とりあえず、星矢の気分はスコーピオンへの怒りからは離れてくれた。この辺は扱いやすい奴だ。 だが、練兵場の雰囲気は凍りついたままだ。 「あんな奴がいるから!」 「逆賊の弟なぞ、いつまで聖域《ここ》に──』 「教皇様も何をお考えで……」 ヒソヒソと囁かれる悪口のレパートリーの低いこと。いい加減、飽きるよ。それでも、そんなありがちな言葉の刃はアイオリアの心を切り刻むんだろうな。 「それじゃ、俺はもう行くよ」 「あぁ…。有り難う、アイオリア。ホラ、星矢。ちゃんと礼を言いな」 「う、うん! アイオリア、また今度な!」 礼じゃないだろ、それは……。けど、アイオリアが目を瞠ったのが判った。 「あぁ…。また、な」 また今度──次の約束ともつかない、ただの挨拶かもしれない。それだけでも、アイオリアには救いになったのかもしれない。 この馬鹿は何も考えないで、ただ「またアイオリアと稽古したい」から言っただけに違いない。 本当に馬鹿だけど、肝心なことはちゃんと解っている。いや、掴んでいる。案外と大した奴なのだと思う。 ★ ☆ ★ ☆ ★
夕刻、家に引き上げ、夕飯の準備やらをしている内に、スコーピオンの話になってしまった。途端に星矢の不機嫌度も上昇し、 「本ット、ヤな奴だよなー。あーんなんが黄金聖闘士かよ。もーゲンメツ」 ゲンメツ…、幻滅? 黄金聖闘士にどんな夢を見てるんだか。まぁ、解らないでもないがね。 八十八の聖闘士の最高峰に立つ黄道十二星座を冠する十二人の最強の聖闘士たち。私たち白銀聖闘士ですら足元に及ばない抜きん出た実力者たち──人格的にも優れた者であるって? 夢を見たくもなるよなぁ。 けど、私が知る限り、黄金聖闘士は曲者揃いだぞ、本当に。 「最高位の最強の聖闘士だからって、人格者ってわけでもないさ」 寧ろ、私たちとは隔絶した力、小宇宙を有するだけに、その器たる精神の有様も様々だ。 その中で、最も近しく親しい黄金聖闘士はその身分をひた隠しにしている。そのためか、マトモに見えるが、意外と私なんかも想像もつかないようなものも隠しているのかもしれない。 「だけどね、星矢。あんたには黄金聖闘士《くものうえ》にまで、目をやってる余裕なんかないだろ。自分の宿星を掴むために鍛錬するんだね」 「わっ、解ってるよ。魔鈴さん」 ブツブツ言いながら、未来のペガサスの聖闘士?は皿の上の食事を掻き込んだ。
そして、今日も夜が更け……昨夜と同じように、聖域が寝静まる頃になっても。私はやはり寝付けなかった。といって、別に彼のことだけを考えていたわけではなかったけど──ふと、十二宮の気配を探ったのも確かだった。 そして、一月に一度の結界強化を昨夜、済ませたはずの獅子宮で、別の気配が動いたのを感じた。 「……聖衣か?」 留め置かれているはずの獅子座の黄金聖衣が動いた? 家を出て、聖域でも外れの──彼が住まう家へと向かった。 「アイオリア?」 荒屋《あばらや》といえる住まいには人気がない。私は意識を集中し、周囲の気配を探る。 静かなる、毅き小宇宙を辿る。まだ近くに……。
光が…、輝きが、そこには在った。 細くなりつつある月光の下でも 鮮やかに煌く金色の聖衣を纏った若き獅子はゆっくりと振り向いた。 「魔鈴か。どうした、こんな時間に」 黄金聖衣を纏った姿を見られても、彼は全く慌てなかった。どうしたもこうしたも、その気になれば、私が追いつく前に行ってしまうのも可能だろうに、待っていたとしか思えない。 「そんなことより、その格好……あんた、また任務なの」 「まぁな」 「だって、昨日、帰ってきたばかりじゃ。それに──」 キマイラの毒に中てられて、まだ完全には回復していないんじゃないのか? そう聞きたかったけど、スコーピオンに教えられたことを言っていいものかどうか迷い、言葉を呑み込む。 「だが、行けと命ぜられれば、行くしかあるまい」 穏やかに言うようなことかね。何もかもを受け入れてしまうのは、彼の立場からすれば、仕方のないことだけど……それ以上に、彼自身の資質なんだろうか? 「そういえば、星矢はどうしている?」 「あんたに揉まれたのもあるからね。今日はバタンキューだよ。まぁ、寝るまでは煩かったけどね。スコーピオンの悪口ばっかりで」 「ミロには悪気はないんだ」 「解ってるわよ、私はね。でも、説明したくても、できないことばっかりだからね。獅子座の黄金聖闘士《あんた》のことは」 アイオリアは苦笑した。 「しかし、前に稽古をつけた時より格段に進歩しているな、星矢は」 「そうかい? 相変わらず、甘ちゃんのくせに文句ばっかりで、どうしようもない奴だけど」 弟子の成長というものは、毎日見ている師匠は意外と実感できないのかもしれない。けど、アイオリアが愚にもつかない世辞を言うとも思えない。 「あんたにまた稽古をつけて貰って、今度こそ、一発くらいは拳を入れてやるって、息巻いてたよ」 「そうか……。楽しみにしていると伝えてくれ」 月光に照らし出される横顔が寂しく微笑んだ。 どんな任務かは知らないけど、多分、今回も厳しく難しいものなんだろう。ちゃんと、無事に帰ってこられるのかどうかは、いつだって、判らない。 「私も──今度は私の修行にも付き合って貰うからね」 「……あぁ」 「もう行くんでしょう」 「あぁ…、それじゃな」 人知れず、獅子座の黄金聖闘士は任務へと向かう。いつも、こうして、たった独りで……。 誰に見送られることもなく──だから、私も何を言っていいのか判断《わか》らなかった。 「行ってらっしゃい」とも「気を付けて」とも「頑張って」なんてのも全然、違う気がした。ただ、無言で、その姿が見えなくなるまで、見送ることしかできなかった。 いや、姿が消えても、立ち去り難くて、そこに突っ立っていた。 「行っちまったか」 不意に背後から声がかかる。 「スコーピオン、あんたは声をかけなくて、良かったのかい」 「何て言って?」 確かに。私だって、今は何も言えなかったじゃないか。次の鍛錬の約束じみた言葉を代わりに送るくらいしか。 「それにしても、昨日の今日で任務なんてね。あんたの気遣いも、無駄になったね」 折角、憎まれ役を買って出たというのに。 けど、スコーピオンはその点では余り気にしていなかった。 「別にいいさ、そんなことは。少しでも、あいつが休めたのならな」 彼を少しでも休ませるために、あんな言い方までして、鍛錬を止めさせた。けど、それを誰にも説明できないのはスコーピオンにも辛いことだろう。 逆賊と呼ばれるアイオリアの兄も黄金聖闘士だった。その仲間ともいえる黄金聖闘士こそが、その射手座のアイオロスの裏切りを他の誰よりも憎んでいると専らの評判だ。 けど、実状はこうまでも違う。ならば、アイオロスの叛逆とやらにも私たちの知らないような何かが隠されているのかもしれない。そんな気さえした。 けれども、どんな真実も現実も、酷く冷たく、私などには遠いものでしかない。所詮は『他人事』なのだから。 それはスコーピオンにしても、同じだろうに。 そういえば、こうして、見送るということは今回も監視役とやらは他の黄金聖闘士なのか。 「あんたがアイオリアに付いていくことはないのかい」 それほど、他意のある問いではなかったのに、スコーピオンが意外と動揺したのに私の方が驚かされた。暫く返事はなく、また問い直すのも躊躇われる沈黙に、さすがに息が詰まりそうになった時だった。 「……アイオリアの監視役には絶対の条件がある」 「絶対の条件? 黄金聖闘士であること以外にかい」 「どれほど……どれほど、あいつが危急に陥ろうと、決して手は出さず、黙って、見届けること」 私は息を呑むことすら忘れた。それほどに厳しい枷があるとは!? 最強の黄金聖闘士が今一人控えていながら、監視に徹する? そうだ。相手がキマイラのような伝説的魔獣であってさえも、それは徹底されたじゃないか。 「酷いと思うか」 嫌になるほどにストレートな問いに、返す言葉はない。すると、可笑しそうにスコーピオンが笑った。 「堪えなくてもいいぞ。俺も、そう思うからな」 「ちょっと、スコーピオン」 さすがにマズいのではないか。それこそ、聖域の、延いては教皇に対する誹謗《そしり》と取られても仕方がない。 私は反射的に周囲に気を配った。とりあえず、人気はない。小宇宙や気配の探知には一方ならず自信はあるけど、黄金聖闘士が潜んでもいたら、さすがに探知は難しい、というか無理だろう。 「大丈夫だ。誰もいない。勝手に十二宮を空けるような不良は今んトコ、俺くらいだからな」 自信満々に言ってのけるけど……笑うところ? 「それでだ。その不良は命だと承知していても、いざ、その瞬間までは自分がどうするか、判らんときた」 「監視に付いたとして、ということ?」 スコーピオンは軽く肩を竦めた。 「そして、我らが教皇猊下も時に仰せられる。蠍座《スコーピオン》は情に脆いところがある、と。だから、十中八九、獅子座《レオ》に加勢してしまうだろう、ともな。……つまり、俺があいつの監視役に選ばれることは絶対にないわけだ」 そして、アイオリアが去った方へと目を向ける。スコーピオンの目にはまだ、彼の小宇宙が見えるのだろうか? 「お前と変わらん。俺も結局、あいつを見送るだけだ。いつも…、いつだってな」 寂しそうで、悔しそうな表情が先刻のアイオリアに僅かにダブった。 『ミロには悪気はないんだ』 先刻のアイオリアの言葉が蘇る。……あぁ、そうか。そうなのか。 『絶対に監視役に選ばれない』──その所以たる甘さや情の脆さは黄金聖闘士としては欠点なのかもしれない。けれど、それがアイオリアにとっては救いになっているのか。 「いいんじゃない」 「あ?」 「いや、そんな不良が一人くらい、いてもさ」 「……フン」 白銀聖闘士《わたし》如きに慰められても、スコーピオンの自尊心が傷付くだけかもしれない。それでも、その小宇宙には動揺は見られず、静かなものだった。 ともかく、言いたいことは言ったし、それはスコーピオンも同じだろう。だから、早々に引き上げることにした。 「さてと、私は戻るよ。明日もあの馬鹿を揉んでやらなきゃならないからね」 星矢のことなど眼中にもないだろうけど、黙って行くわけにもいかず、背を向けかけた──ところが、 「あぁ、星矢っていったっけ。お前の弟子」 驚いた。いや、本気で驚いた。聖闘士であってさえ、銘でしか呼ばないようなスコーピオンが、まさか候補生でしかない星矢《ガキ》の名前をちゃんと覚えてるなんて。 「中々、活きが良くて、面白そうな奴だな」 「そう? 馬鹿なだけだろ」 「ハハハ、確かにな。黄金聖闘士《オレ》を前にしても、全く怯まずに睨み上げてきたよなぁ。他の連中はちょっと、小宇宙を高めただけで及び腰になるってのに」 「鈍感なだけだろ」 一応は褒められているらしい。それも黄金聖闘士に弟子を評価されるのは喜ぶべきことか? 正直、微妙なところだ。おまけに、 「で、あいつの守護星座は?」 そこまで留意するとも思わなかった。 「……ペガサス」 「へぇ。翼持て、天翔ける天馬か。なるほどねぇ。アイオリアが目をかけるだけのことはありそうだしな。果たして、宿星を持っているかどうか、楽しみが増えたな」 「でも、あんた、嫌われたよ」 「え? あー、昼のことでか。仕方ないな。まぁ、あそこまで、アイオリアに懐いてるってだけでも、十分大したもんだぜ」 どういう基準よ。やっぱり、黄金聖闘士は私みたいな常識人には想像もつかないわ。 ……昼間、似たようなことを私も思ってしまったのに気付いたけど、無視無視。同じレベルのはずがないじゃないか。 一寸だけ葛藤していた私はスコーピオンに何度か呼ばれたことに気付けなかった。上の空で耳をすり抜けていた呼びかけが、突然、引っかかった。 「……グル。イーグル。──おい、魔鈴!」 今、何て? 幻聴か、空耳か──スコーピオンの口から飛び出すにはあり得ない音の響きだったような。 「なーに、呆けてる」 「いや…、今……。あぁ、別に。で、何?」 「お前が思い違いしているようだから、言っておく」 妙な科白に見直すと、打って変わった真面目な顔をしていた。 「何よ」 「俺は、アイオリアがお前の修行に付き合うのを面白くないとは思っていないぞ」 どう反応すべきか、よく判らなかった。それはスコーピオンなりの幼馴染の友人への気遣いかもしれない。昔のように、一緒に鍛錬することも語り合うことも叶わないスコーピオンの……。 孤立しがちなアイオリアの傍らに、私のような者でも誰かがいることを望んでいるのかもしれない。 「おい、まーだ思い違いしてるだろう」 「え?」 「深読みしすぎだ、お前は。いいか、魔鈴。俺は単に、お前がアイオリアの友人でいてくれて、良かったと言ってるんだ」 「マ……」 参った。いや、困った。何も言えない。聖闘士同士が銘ではなく、名を呼ぶ意味を──こいつ、解ってんのか!? 聖闘士同士はあくまでも互いを聖闘士として見る。だから、銘のみか銘をつけた名で呼ぶ。名のみを呼ぶのは余程近しい縁を持つ場合──正に対等であるか、師弟などの関係にある時か、もしくは真逆に相手を聖闘士として認めないか。 特に黄金聖闘士は対等である黄金聖闘士同士しか名を呼ばない……というより、呼ぶ必要すらない。彼ら最高峰の聖闘士の立場ならば、それで事足りるからだ。 けど、イーグルと呼び続けていたスコーピオンが私を聖闘士として認めていないとは今更で、あり得ない話だ。 それがいきなり何!? さすがに冷静さを信条とする私も狼狽した。なのに! 「それじゃ、そういうことだから」 ぬぁーにが、そーゆーことだ、コラッ!! 人をらしくもなく狼狽《うろた》えさせておいて、それだけかいっ!? ヒラヒラと手を振って、結局、先に十二宮へと帰っていくスコーピオンの後姿に、私は盛大に溜息をついた。 つーか、全然、そんなこと気にしてないだけか、こいつは。要するにオレ様至上で、人がどー思おうが、気にも留めない、と……。規格外すぎる。 「……さすがは、黄金聖闘士だね」 白銀聖闘士から見ても、人外の存在の如き雲の上の聖闘士なのに、どうにも人懐っこい面を持つギャップには笑える。私としたことが、うっかりペースに巻き込まれそうだ。 尤も、だからこそ、聖域や教皇の思惑にも左右されずに、アイオリアの友人であり続けられるのだろうけど。 「……アイオリアにも、本当はああいう面があるのかね」 あんまり、想像できないのは幸いかもしれない。 数日後、何もなかったような顔で、アイオリアは帰ってきた。今回は本当に大した任務ではなかったらしい。……前回の任務に比べれは、とは思うけど。でも、怪我をした様子も全くないのには安堵した。 星矢が大喜びで、チョロチョロと纏わり付いていた。あの日から、然程、日を置いていないためか、さすがに他に寄ってくる連中がいなかったからだ。……遠巻きにしている者がいないではなかったけど。 とにかく、アイオリア“師匠”を独占できて、星矢は御満悦だった。そして、私も──。 「やぁ、魔鈴」 「お帰り。時間ある?」 「あぁ、大丈夫だ」 「それじゃ、早速頼むよ、この馬鹿の面倒と──」 それから……。
アイオリアは柔らかな笑みを浮かべて、了解してくれた。
13『星に願いを』の続きにて、初の魔鈴さん視点ネタでした。連作っぽいのは、とりあえずココまで☆ リア魔鈴は特にアニメから入ると、それらしく見えるけど、途中で有耶無耶になってたなぁ。いいトコ、獅子宮の戦いの頃の回想シーンくらいまでで、後は会話すらなかったお二人さんでした。最終回だけ、当然のように?黄金聖闘士と一緒にいて、アイオリアの隣…だかにいた魔鈴さんにはちと笑ったけど。 にしても、魔鈴さん。星矢とは二、三歳違い……だっけ? やっぱ、そうは見えない^^; 聖闘士同士の会話や呼び方も想像の範疇。同じ『名前』を呼ぶにしても、意味が違いそう。シャイナ→魔鈴の呼び方も、十二宮編以前と以後では大分、ニュアンスが変わっているように感じられた辺りから★ しかし、お題からはどんどん遠のいているような……;;; しかも、『信念』に並ぶ長編になったな。
2007.05.10. |