蒼穹に希う《そらにこいねがう》

序章

 それが誰の言葉かは伝えられていない。 多分に感傷的な言葉と感じられた。

『美しい輝きが一つ開く度に、何人か、何百人かの生命が、
確実に、宇宙のチリとなり、消えてゆくのだ』

 宇宙空間での戦闘を的確に表現しながらも、何とも情緒に溢れた言葉だろうか。
 その語り手は自身も、激烈な宇宙の戦場に身を置いていたのだろうか。
 それとも、後方から美しい光の乱舞に影を覚え、胸を痛めたのだろうか。

 命を呑みこむ眩き光・・・・。
 俺は宇宙の戦闘などは知らない。想像もできない。想起されるのは唯一つの光景。
 巨大な都市一つを消し去った光芒の渦。
 コロニーという人工の大地の落下により、シドニーが跡形もなく消し飛んだ、あの瞬間。

『目も眩む痛いほどの爆光は、海を焼き、空を灼き、大地をも溶かし、
数千万の命を食らい尽くしたのだ』

 シドニーの全てを、数瞬前まで繰り広げられていた幾多の人生もろともに、雲さえ蹴散らし、地中深くまで抉りながら、奪い去った地獄絵図を俺は遥か上空から見届けた。
 彼の地に残ることのなかった自らの罪とともに、生涯、忘れることはないだろう・・・・。


(1)



 『砂塵の蜃楼』も止まったままなのに、また新作シリーズか? といわれそうですが、この作品『蒼穹に希う』(これもタイトルに苦労した。あんまし良くはないんだけどね)はとりあえず、完結だけはしていたりします。彼の『ガンダムA大賞』応募作だったもんで^^;
 まぁ、改めて読むと、アラも多い。何つっても、構成10日執筆10日だったしねぇ。サイトUPを決意した上はそれなりに手を入れるつもりです。
 というのも、この作品も『コロ落ち』絡みだったわけで──20日では既存のオリ設定を使い回すしか手はなかった──発表済みの輝版『コロ落ち』作品には致命的な設定の矛盾があるのを一応は気にしていたからです。というのも、

『コロニー落しで、大気圏突入後に半壊したコロニーがオーストラリアに落ちると見込まれるのは早くとも“ジャブローを狙ったはずがアラビア上空で崩壊した時点”とされるので、それから脱出するのは不可能』という考察があるからです。

 その時間差、わずか6分!? 確かにムリ、だな。そうなると、輝版設定も完璧に根本から崩壊します★ つーか、レイヤーさん、悩む余裕もないです;;;
 てなわけで、以来、それなりにコジツケを考えたんですが、どうにも、『SANDBLST』『QUICKSAND』のままの展開では難しい──との結論に達しました。
 とはいえ、既に本として纏めてしまった作品の訂正もほぼ不可能。そこで、外伝の外伝的な本作品と『砂塵の蜃楼』で、修正をかけることとしました。だからといって、↑のニ誌を抹殺したくはありませんしね。輝としてはキャラの心情面を書きたかったわけですし。
 という経緯ですが、ポンポンと連続UPとはなりません。残念ながら──確かに完結している作品ですが、不慮の事故?で、肝心のワープロのFDがオシャカになっちまったんですわ。それもコピー用も含めてなので、打ち出してあった(応募はコピーしたもの)ものを見ながら、も一度、打ち直しせねばならんのですTT

 そんなこんなでも、最近ストップ気味だった外伝P更新にも弾みをつけられれば御の字さネ☆
 本日はちょいとした外伝絡みの記念日(一周年だ♪)でもあるのでね。

2003.06.02.

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